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「幸福な生活」 百田尚樹

2014年03月02日 | 本(その他)
ラスト一行のミラクル

幸福な生活 (祥伝社文庫)
百田 尚樹
祥伝社


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『永遠の0』『海賊とよばれた男』
国民的ベストセラー作家が魅せる超技巧!
衝撃のラスト1行!
そのページをめくる勇気はありますか?

宮藤官九郎さん「嫉妬する面白さ――」

単行本未掲載「賭けられた女」を新たに収録


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百田尚樹さんといえば、「永遠の0」。
何しろ私はまだこれしか読んだことがなかったのですが、
本作を読んで、ちょっと著者の印象が変わりました。
短篇集となっていますがこれがまた、ブラックなユーモアに満ちた面白さ。
つい病みつきになりそうです。
紹介文にもある通り、ラスト一行がなんとも効いているのです。
たいていのストーリーは主人公の心情が淡々と描写されていきます。
どこにでもありそうで、納得しながら読み進みますが、
驚きのラスト一行。
これは実は主人公にとっては悲惨な結末なのですが、
読んでいる私は、悪いとは思いつつ、ついプッと吹き出すように笑ってしまう。
ははあ・・・なるほどね・・・という感じ。
このミラクル、一読の価値ありです。


私が好きだったのは「ママの魅力」。
珍しく語り手は少年で、お母さんのことを描写しています。
お菓子作りが得意でお父さんともとても仲がいい。
けれど少年はお母さんがすごく大きくて太っているのがちょっと不満。
そして、お父さんは逆に痩せているので、「ノミの夫婦」なんていわれている。
ある日、少年が獰猛な土佐犬に噛まれそうになった時・・・。
お母さんの正体がミソなんですけどね、考えもつかなかった。
虚を突かれましたが、これは別に、あってもおかしくないオハナシ。
他の作品と違って、ラスト一行を読んでも
ちょっとほんわか暖かみがあるので、好きです。

文庫の解説は宮藤官九郎氏!

「幸福な生活」百田尚樹 祥伝社文庫
満足度★★★★★