ブラックユーモアを込めたデフォルメ
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* * * * * * * * * *
1960年代、アメリカポップアート界で人気を博した
「ビッグ・アイズ」シリーズをめぐり、
実在の画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻にあった実話を元にしています。
確かに、この大きな目の絵は、インパクトがありますが
実話を元にしているということで、
地味で辛気臭い話なのでは・・・と、実は思っていたのですね。
でもまてよ、なんと監督がティム・バートン。
「アリス・イン・ワンダーランド」とか、「ナイトメア」とかの。
一体どんな作品なんだ?と俄然興味がわきました。
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このビッグ・アイズの絵は当時大ブームとなり、
その作者ウォルター(クリストフ・ヴァルツ)も
美術界の寵児として脚光を浴びたのですが、
実はこれは妻マーガレット(エイミー・アダムス)が描いていたのものだったのです。
つまりはウォルターはゴースト・ペインター。
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マーガレットは絵のサインを自分の名前ではなくて
苗字「キーン」として入れていたのです。
ウォルターも一応「画家」ではあったので、
周囲の人が始めウォルターが描いたのだと思った。
それを修正しそこねただけなのですが・・・。
すぐに訂正すればすむことです。
しかし、このウォルターというのが異常に自己顕示欲が強かった。
自分が描いたと押し通して、賞賛を浴びることが楽しくて仕方がない。
そしてまた、時代性もあるのです。
ウォルターは妻に威圧的に迫り、事実を明かすことを許さない。
子連れで結婚したマーガレットは
シングルマザーとなることの不安から、夫に従うことを選んだ。
来る日も来る日も、部外者立入禁止のアトリエにこもって
ひたすら絵を量産する。
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あくまでもポップ・アート、芸術性なんかないと言い張る人もいたようですが・・・。
それにしてもマーガレットにとって、この絵は自分自身の心の現れなのです。
ある時ついに夫の作とすることに耐えられなくなり、反旗を翻します。
そしてついには裁判の場にもつれ込む・・・。
ここが異様な迫力で迫ります。
ウォルターは、確かに商才があり、人を引きつける何かも持っているのです。
しかし、この裁判の場で図らずも彼の本性がさらけ出されてしまう。
目立ちたくて、お金が欲しくて、調子が良くて、
そして大嘘つきだ・・・。
ほとんど人格が壊れていると言ってもいいほどに。
これだ・・・この、人物の
異様にグロテスクで、ブラックユーモアを込めたデフォルメ。
ここがやはりティム・バートンなのです。
・・・そういえばビッグ・アイズの絵自体もそうなんですね。
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裁判の決着にはちょっと胸がすきます。
監督の、これまでのどちらかと言えば子供向けめいた作風からの新境地。
なんだかこの先も楽しみになってきました。
そんなわけで、予想に反して、
何やら変に胸に迫ってしまう作品なのでした。
「ビッグ・アイズ」
2014年/アメリカ/106分
監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、ジョン・ポリト、クリステン・リッター
ブラックユーモア度★★★★☆
満足度★★★★☆
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1960年代、アメリカポップアート界で人気を博した
「ビッグ・アイズ」シリーズをめぐり、
実在の画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻にあった実話を元にしています。
確かに、この大きな目の絵は、インパクトがありますが
実話を元にしているということで、
地味で辛気臭い話なのでは・・・と、実は思っていたのですね。
でもまてよ、なんと監督がティム・バートン。
「アリス・イン・ワンダーランド」とか、「ナイトメア」とかの。
一体どんな作品なんだ?と俄然興味がわきました。
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このビッグ・アイズの絵は当時大ブームとなり、
その作者ウォルター(クリストフ・ヴァルツ)も
美術界の寵児として脚光を浴びたのですが、
実はこれは妻マーガレット(エイミー・アダムス)が描いていたのものだったのです。
つまりはウォルターはゴースト・ペインター。
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マーガレットは絵のサインを自分の名前ではなくて
苗字「キーン」として入れていたのです。
ウォルターも一応「画家」ではあったので、
周囲の人が始めウォルターが描いたのだと思った。
それを修正しそこねただけなのですが・・・。
すぐに訂正すればすむことです。
しかし、このウォルターというのが異常に自己顕示欲が強かった。
自分が描いたと押し通して、賞賛を浴びることが楽しくて仕方がない。
そしてまた、時代性もあるのです。
ウォルターは妻に威圧的に迫り、事実を明かすことを許さない。
子連れで結婚したマーガレットは
シングルマザーとなることの不安から、夫に従うことを選んだ。
来る日も来る日も、部外者立入禁止のアトリエにこもって
ひたすら絵を量産する。
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あくまでもポップ・アート、芸術性なんかないと言い張る人もいたようですが・・・。
それにしてもマーガレットにとって、この絵は自分自身の心の現れなのです。
ある時ついに夫の作とすることに耐えられなくなり、反旗を翻します。
そしてついには裁判の場にもつれ込む・・・。
ここが異様な迫力で迫ります。
ウォルターは、確かに商才があり、人を引きつける何かも持っているのです。
しかし、この裁判の場で図らずも彼の本性がさらけ出されてしまう。
目立ちたくて、お金が欲しくて、調子が良くて、
そして大嘘つきだ・・・。
ほとんど人格が壊れていると言ってもいいほどに。
これだ・・・この、人物の
異様にグロテスクで、ブラックユーモアを込めたデフォルメ。
ここがやはりティム・バートンなのです。
・・・そういえばビッグ・アイズの絵自体もそうなんですね。
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裁判の決着にはちょっと胸がすきます。
監督の、これまでのどちらかと言えば子供向けめいた作風からの新境地。
なんだかこの先も楽しみになってきました。
そんなわけで、予想に反して、
何やら変に胸に迫ってしまう作品なのでした。
「ビッグ・アイズ」
2014年/アメリカ/106分
監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、ジョン・ポリト、クリステン・リッター
ブラックユーモア度★★★★☆
満足度★★★★☆