映画と本の『たんぽぽ館』

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エヴァの告白

2015年02月15日 | 映画(あ行)
微妙な愛憎のバランス



* * * * * * * * * *

1921年、ポーランドから希望を胸に
新天地アメリカへ渡ってきたエヴァ(マリオン・コティヤール)。
しかし、妹が胸の病で入国審査を通ることができず、隔離されてしまいます。
また自身も理不尽な理由で入国を拒否されてしまいます。
強制送還されそうになったエヴァは、
ブルーノ(ホアキン・フェニックス)という男に助けられます。
一見紳士の様に思われた彼は、
実は移民の娘たちをいかがわしい酒場で働かせ、売春を斡旋していた。
妹を救い出すためにはなんとしてもお金が必要だ。
厳格なカトリック教徒から売春婦へと身を落としながらも、
どこか気高い意志を保ちながら強く生きていこうとするエヴァ。
そんな時、彼女に思いを寄せるマジシャン、オーランド(ジェレミー・レナー)が接近してきます。
しかし、彼とブルーノの間には、ある確執が・・・。



ブルーノは卑劣で唾棄すべき男ではあるのですが、
次第に見返りを求めない真の愛を持つ様相が見えてくるのが心にくいのです。
この男の純情に、ついホロリ。
エヴァは自分を苦境に陥れたこの男を憎むのですが、
でも自分が生き、また妹を救い出すためには、この男に頼る他ない。
そう思えばこそ、彼についていくのですが・・・。
彼が自分に寄せる思いも伝わる。
微妙な愛憎のバランス。
この辺りが実に上手い。
さすがの存在感と演技力のマリオン・コティヤールなのでした。
結局はメロドラマなのか。
でも結構好きですねえ、これ。



原題はThe Immigrantで、単に「移民」なのですが、
「エヴァの告白」としたのは、
エヴァが教会で告白(いわゆる告解というか懺悔)をするところからとったようです。
この時、ブルーノがこっそりそれを聞いてしまい、
エヴァが自分といることを「罪」と思っていることを思い知るという、
なかなかいいシーンです。
良い邦題だと思います。

エヴァの告白 [DVD]
マリオン・コティヤール,ホアキン・フェニックス,ジェレミー・レナー
ギャガ


「エヴァの告白」
2013年/アメリカ・フランス/118分
監督:ジェームズ・グレイ
出演:マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー、アンジェラ・サラファイン

時代性★★★★☆
男の純情度★★★★☆
満足度★★★★★