映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

エクソダス 神と王

2015年02月06日 | 映画(あ行)
悩める人間としてのモーゼ



* * * * * * * * * *

リドリー・スコット監督の歴史スペクタクル作品。
…実のところ私はさほどの期待感はなく、
見ないつもりだったくらいなのですが、
スケジュール的にちょうど良いのが見当たらず、
まあ、これでもいいか、くらいの気持ちで見ました。


旧約聖書の「出エジプト記」です。
となれば、往年の名作「十戒」の、
あの海がま二つに割れるシーンはあまりにも有名。
それを踏まえての焼き直しで、お手並み拝見ということになります。
紀元前1300年。
栄華を誇るエジプト王家で養子として育てられたモーゼ。
しかし、兄弟同様に育ったエジプト王ラムセスに反旗を翻し、
一人で40万人ものヘブライの民を率い、エジプトを出て約束の地を目指すことになります。



「王を救ったものが民衆を率いるものになる」という予言。
そのために、それまで何の問題もなくうまく行っていたモーゼとラムセスの間にヒビが入るわけです。
もしこの予言がなければ、この物語はなかったかも・・・。
予言というのは時として、こんな不思議な未来を自ら呼び起こします。





はじめの方の戦闘のシーンは迫力がありました。
また、ヘブライ人たちのモブシーン、
奴隷として働くシーンや、旅立つシーン、海をわたるシーンなど、
迫力満点。
映像としても楽しめます。


そして、十の災い、
鰐やカエル、イナゴ、アブが襲いかかる・・・。
ワニの大群はちょっと怖かったですね。
ジョーズも真っ青。
これらは、水の汚染で魚が死んで、ウジが発生して、
アブやブヨが大発生、
そして疫病が蔓延・・・というふうに
実際にあり得る連鎖の説明があったことが興味深かったのです。
そして例の海をわたるシーンは、
海は真っ二つに割れたりはしなかったのですが、
大きく潮が引くのですね。
もしかしたらどこかで大きな地殻変動があって、
引き波のあとに大津波が来て・・・。
神のなせる技であったにしても、
どこかきっかけを説明できそうなのが、新解釈なのかなあ・・・と。



そしてまた、モーゼは決して神を盲信しているわけではないのです。
それは彼が幼い時からヘブライの民として育ったわけではないからなのかもしれません。
しかし、神はそれをも見越して、
神に頼るだけでなく、自ら考え行動する人物を育てようとしたのだ
・・・という風にも考えられますね。
これもまた、現代的解釈なのかもしれません。



しかし実は、この海を超えてもなお、モーゼとヘブライの民の苦難は続くのです。
なんのための神の奇跡だったのか・・・
神のみ心は、凡人には計り知れません・・・。


「エクソダス 神と王」
2014年/アメリカ/150分
監督:リドリー・スコット
出演:クリスチャン・ベール、ジョエル・エドガートン、ジョン・タトゥーロ、アーロン・ポール、ベン・キングスレー

スペクタクル度★★★★☆
満足度★★★☆☆