映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヒステリア

2015年04月06日 | 映画(は行)
ヒステリーは病気・・・?



* * * * * * * * * *

“「大人のおもちゃ」として愛用されている電動バイブレーターの知られざる誕生秘話”
と聞くと、ちょっと引いてしまうのですが、
このたび見てみたら、いやらしさはなく、ちょっとしたコメディになっています。


舞台は英国、ヴィクトリア期、
すなわち産業革命まっただ中の19世紀ロンドン。
若き美男子医師モーティマー(ヒュー・ダンシー)が、
女性たちのヒステリー治療のための医療用電気器具として
世界初の電動バイブレーターを開発したのです。


その当時女性のヒステリーは、子宮が痙攣する病(!)と捉えられており、
彼の勤務する治療院では、男性医師が女性の陰部をマッサージし、
治療としてあえて子宮を痙攣させていた・・・という、
いやそれこそ赤面モノではありますが・・・。
しかし、人気が出て指を使いすぎたモーティマーは、
指が痛くて動かせなくなってしまいます。



彼の友人が、当時まだ出始めだった「電気」を利用したモノ作りオタクであったために、
この器具を思いついた。
なるほど、この時代だからこそ成り立つストーリーで、
非常に興味深く拝見しました。



そしてまた本作はラブストーリーでもあります。
モーティマーはこの治療院の院長の娘エミリー(フェリシティ・ジョーンズ)と結婚し、
跡継ぎに収まろうと思ったのです。
娘のほうも乗り気で、話はトントン拍子に進んでいたのに、
彼の指が使えなくなって、話がご破算になってしまった。



さて、そのエミリーには姉・シャーロット(マギー・ギレンホール)がいて、
彼女は家を出て自立して生活をしていました。
自由奔放な彼女は、モーティマーとは早くから顔を合わせていたのですが、
言いたいことをズバズバ言う彼女を
モーティマーは、苦手だと思っていたのですね。
けれども・・・、とその先はお定まりではありますが、楽しめます。



彼女は父の治療院を
「夫に満足に奉仕されていない有閑マダムたちの、性的満足を得る場」
と正確に認識していました。
そして貧しい人たちのための施設を運営し、
女性参政権を勝ち取ろうとする運動家でもあります。
このイキイキとした女性が
このストーリーをしっかり引き締め、魅力あるものにしているわけです。
ユニークな題材を、ユーモアにくるんで
決して危なくなく仕上げた良作。



ヒステリア [DVD]
ヒュー・ダンシー,マギー・ギレンホール,ジョナサン・プライス,フェリシティ・ジョーンズ,ルパート・エヴェレット
アミューズソフトエンタテインメント


「ヒステリア」
2011年/イギリス・フランス・ドイツ/100分
監督:ターニャ・ウェクスラー
出演:マギー・ギレンホール、ヒュー・ダンシー、ジョナサン・プライス、フェリシティ・ジョーンズ
歴史発掘度★★★★★
ユニークな題材★★★★☆
満足度★★★★☆