悼む人、ジョン・メイ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/7d/c63d1b17052e9c115c5ae1d4cc164eac.jpg)
* * * * * * * * * *
舞台はロンドン。
ジョン・メイ(エディ・マーサン)は、孤独死した人を弔う民生係。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/dc/ad099cd4d329b5da843a1ddd9ba39ba0.jpg)
つまりは、孤独死した人の簡易的な葬儀を行い、埋葬する。
多分、仕事としてはそれだけをすれば事足りるのでしょうね。
ところがジョン・メイは、その人の家族や友人を探し出し、
葬儀に来るように案内をする。
その人のために弔辞を書き、
葬儀のBGMを選び(当人の好きそうな曲!!)、
そしてもちろん自らも葬儀に参列。
ジョン・メイは超が付くくらい真面目で几帳面。
死者に敬意を払い、これくらいのことをして当然と考えているのです。
ところが、彼の上司はそのやり方が時間がかかりすぎると言って、
あっさり人員整理で彼をクビにしてしまうのです。
そんな彼の最後の案件は、なんと彼の家の真向かいに住む老人。
こんな仕事をしているにもかかわらず、
そこにどんな人が住んでいるかも知らず、ましてや孤独死させてしまうとは・・・、
そんな後悔の念もあって、
彼はこの最後の案件をいつも以上に丁寧にやり遂げようとするのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/c3/49c58f83b53daa9540e3acc23cc57c85.jpg)
あまりパッとしない独身男のジョン・メイ。
とにかく真面目なんですね。
そして真摯だ。
私ははじめ本作を「おくりびと」のような感じかな?と思っていたのですが
これはむしろ「悼む人」ですね。
(映画は未見ですが、本を読んでいます。)
亡くなった人が誰を愛し、誰に愛されたのか・・・、
そういうことをたどっていって、死者の人生を理解し、悼む。
ほとんどは葬儀に参列するのは彼一人なんですよ。
でも、知らせを聞いても出向いて来さえしない家族なんかより、
ジョン・メイの心ある参列のほうがよほどマシ、と思えてきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/db/f55f52ae23165f159897fc5cea4d9532.jpg)
最後の案件のビリー・ストークの知り合いを訪ねて、
彼はイギリス中のあちこちを旅することになります。
そうして浮かび上がってくる破天荒なビリー・ストークの生涯。
結婚生活あり。
服役あり、ホームレス経験あり・・・。
好きなように生きて、孤独も自分で引き受けて、亡くなった彼。
ジョン・メイとは対局にある生き方なのですが、
次第にジョン・メイはビリー・ストークに共感を覚え感化されていくわけです。
本作を見ているうちに心配になるのは、
このジョン・メイこそがいつか孤独死することになりそうだなあ・・・ということ。
それだからこそ、彼は孤独死をした方に通常以上に思い入れがあるのかな、
とも思えます。
ところが!!
思いがけないラストに私達は驚き呆然とさせられ、
そしてさらには、涙することになります。
本当はこんなことであってはいけないのだろう。
ジョン・メイの行動こそはもっときちんと評価されるべきなのだけれど・・・。
あくまでも密やかに人知れず、というところが
なんともいえない余韻を残すわけですねえ・・・。
悲しいけれど幸福。
感動のラストシーンなのでした。
ジョン・メイのあまりにも几帳面な生活をじっくり描き出した上で、
最後の方では決してその彼がやらなさそうなことをする、という、
そんなところがユーモラスに語られています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/8a/7274cada52259959b405334b7f0bc14e.jpg)
「おみおくりの作法」
2013年/イギリス・イタリア/91分
監督・脚本:ウベルト・パゾリーニ
出演:エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー、アンドリュー・バカン
死者を悼む度★★★★★
満足度★★★★★
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/7d/c63d1b17052e9c115c5ae1d4cc164eac.jpg)
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舞台はロンドン。
ジョン・メイ(エディ・マーサン)は、孤独死した人を弔う民生係。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/dc/ad099cd4d329b5da843a1ddd9ba39ba0.jpg)
つまりは、孤独死した人の簡易的な葬儀を行い、埋葬する。
多分、仕事としてはそれだけをすれば事足りるのでしょうね。
ところがジョン・メイは、その人の家族や友人を探し出し、
葬儀に来るように案内をする。
その人のために弔辞を書き、
葬儀のBGMを選び(当人の好きそうな曲!!)、
そしてもちろん自らも葬儀に参列。
ジョン・メイは超が付くくらい真面目で几帳面。
死者に敬意を払い、これくらいのことをして当然と考えているのです。
ところが、彼の上司はそのやり方が時間がかかりすぎると言って、
あっさり人員整理で彼をクビにしてしまうのです。
そんな彼の最後の案件は、なんと彼の家の真向かいに住む老人。
こんな仕事をしているにもかかわらず、
そこにどんな人が住んでいるかも知らず、ましてや孤独死させてしまうとは・・・、
そんな後悔の念もあって、
彼はこの最後の案件をいつも以上に丁寧にやり遂げようとするのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/c3/49c58f83b53daa9540e3acc23cc57c85.jpg)
あまりパッとしない独身男のジョン・メイ。
とにかく真面目なんですね。
そして真摯だ。
私ははじめ本作を「おくりびと」のような感じかな?と思っていたのですが
これはむしろ「悼む人」ですね。
(映画は未見ですが、本を読んでいます。)
亡くなった人が誰を愛し、誰に愛されたのか・・・、
そういうことをたどっていって、死者の人生を理解し、悼む。
ほとんどは葬儀に参列するのは彼一人なんですよ。
でも、知らせを聞いても出向いて来さえしない家族なんかより、
ジョン・メイの心ある参列のほうがよほどマシ、と思えてきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/db/f55f52ae23165f159897fc5cea4d9532.jpg)
最後の案件のビリー・ストークの知り合いを訪ねて、
彼はイギリス中のあちこちを旅することになります。
そうして浮かび上がってくる破天荒なビリー・ストークの生涯。
結婚生活あり。
服役あり、ホームレス経験あり・・・。
好きなように生きて、孤独も自分で引き受けて、亡くなった彼。
ジョン・メイとは対局にある生き方なのですが、
次第にジョン・メイはビリー・ストークに共感を覚え感化されていくわけです。
本作を見ているうちに心配になるのは、
このジョン・メイこそがいつか孤独死することになりそうだなあ・・・ということ。
それだからこそ、彼は孤独死をした方に通常以上に思い入れがあるのかな、
とも思えます。
ところが!!
思いがけないラストに私達は驚き呆然とさせられ、
そしてさらには、涙することになります。
本当はこんなことであってはいけないのだろう。
ジョン・メイの行動こそはもっときちんと評価されるべきなのだけれど・・・。
あくまでも密やかに人知れず、というところが
なんともいえない余韻を残すわけですねえ・・・。
悲しいけれど幸福。
感動のラストシーンなのでした。
ジョン・メイのあまりにも几帳面な生活をじっくり描き出した上で、
最後の方では決してその彼がやらなさそうなことをする、という、
そんなところがユーモラスに語られています。
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![]() | おみおくりの作法 [DVD] |
エディ・マーサン,ジョアンヌ・フロガット,アンドリュー・バカン | |
ポニーキャニオン |
「おみおくりの作法」
2013年/イギリス・イタリア/91分
監督・脚本:ウベルト・パゾリーニ
出演:エディ・マーサン、ジョアンヌ・フロガット、カレン・ドルーリー、アンドリュー・バカン
死者を悼む度★★★★★
満足度★★★★★