二人は風と海
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/4b/f95f51d7696436420a8976bf2657ec73.jpg)
* * * * * * * * * *
本作はこの題名から、
もう少しほのぼのしたハートウォーミングストーリーを予想していたのですが、
意外とシリアスで切実です。
妻・マーゴ(ターチャ・サイブト)の病気がきっかけで、
夫婦二人で老人ホームに入居したパウル(ディーター・ハラーフォルデン)。
彼は若かりし頃、メルボルンオリンピックのマラソンで
金メダルを獲得した伝説のランナーなのであります。
その根っからの体育会系男に、
ホームでは賛美歌を歌わせ、クリ人形を作らせる・・・。
70を超えてなお健康なパウルには、ホームのレクリエーションや規則は息苦しいばかり。
そんな中、彼は、ベルリンマラソンに挑戦することを決意。
さっそく庭をランニングし、トレーニングを始めたパウルを、
ホームの職員も入居者たちも、呆れて見ていました。
しかし、ある一人が気づいたのです。
彼は、あの、パウル・アヴァホフじゃないか!!
老人たちはみな色めき立ちます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b9/6c52b54f60a4b843337f7f8c3972b862.jpg)
本作はドイツ作品。
ここのご老人たちは、みなあの二次大戦の敗戦後の苦しい生活を経験しているのです。
そんな時代に、アヴァホフのマラソン優勝は、
ドイツ庶民に夢と希望を取り戻させたのですね。
だから誰もが“アヴァホフ”には思い入れがあるのです。
この感覚、同じ敗戦国の日本人として、
なんだかすごくよくわかる気がするんですよね・・・。
それで、老人たちはパウルの応援をはじめるのですが、
ただ退屈な毎日に、急に目的ができて、イキイキとし始めます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/89/df5bff50ba296279dd64590fadf38c0b.jpg)
しかしホームの職員たちはパウルの年でマラソンということのリスクばかりが気にかかる。
そもそもみな若いので“伝説”をよく知らない・・・。
また、急にホームの中の規律が乱れたようで面白く無いのです。
急に彼が「マラソン」などと言い始めたのは
認知症のためか、あるいは老年性の鬱の始まりなのではないか
・・・と勘ぐり、検査までする。
それにしても老人ホームというのは、どこでも同じ風なのですね。
お遊戯みたいな歌を歌わせ、工作やら手芸をさせて・・・。
これで本当に満足なのかな?と思ってしまう。
先に見たアニメの「しわ」の時にも思ったのですが、
いくら老人だって、何か生きる目標とか夢がなければダメなのです。
私ならさしずめ、死ぬまで映画見て、ブログ続けるぞ!!
・・・なんてね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/61/2e457e8f4ffeb46297ebfb52444d8073.jpg)
このご夫婦、「二人は風と海。いつも一緒。」と言っていました。
その片割れが先に逝ってしまうのは、実に切なく涙を誘います。
私は、先日見た老いらくの恋の物語「トレヴィの泉で二度目の恋を」よりも、
この長く共に暮らした男女の愛情のほうが、
やはりしっくり来て、美しいと思う・・・。
パウル役のディーター・ハラーフォルデンは、
ドイツの国民的喜劇俳優で、本作のために9キロの減量を行ったそうです。
そして実際のベルリンマラソンでロケ。
なるほど、なかなかチャーミングなおじさまでした。
奥様役の方もステキでしたよね。
さぞ若かりし頃は美しかっただろうなあと思わせ、
また、知的な雰囲気も保っていて、
こういうふうに年をとりたいなあ・・・と憧れます。
こんな風に夫と寄り添いながら年を取るのもいい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/7f/eb25e1eff83c30a99f337455e7a43d8a.jpg)
「陽だまりハウスでマラソンを」
2013年/ドイツ/105分
監督・脚本:キリアン・リートホーフ
出演:ディーター・ハラーフォルデン、ターチャ・サイブト、ハイケ・マカッシュ、フレデリック・ラウ、カトリーン・ザース
老後の生活を考える度★★★★★
満足度★★★★☆
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/4b/f95f51d7696436420a8976bf2657ec73.jpg)
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本作はこの題名から、
もう少しほのぼのしたハートウォーミングストーリーを予想していたのですが、
意外とシリアスで切実です。
妻・マーゴ(ターチャ・サイブト)の病気がきっかけで、
夫婦二人で老人ホームに入居したパウル(ディーター・ハラーフォルデン)。
彼は若かりし頃、メルボルンオリンピックのマラソンで
金メダルを獲得した伝説のランナーなのであります。
その根っからの体育会系男に、
ホームでは賛美歌を歌わせ、クリ人形を作らせる・・・。
70を超えてなお健康なパウルには、ホームのレクリエーションや規則は息苦しいばかり。
そんな中、彼は、ベルリンマラソンに挑戦することを決意。
さっそく庭をランニングし、トレーニングを始めたパウルを、
ホームの職員も入居者たちも、呆れて見ていました。
しかし、ある一人が気づいたのです。
彼は、あの、パウル・アヴァホフじゃないか!!
老人たちはみな色めき立ちます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b9/6c52b54f60a4b843337f7f8c3972b862.jpg)
本作はドイツ作品。
ここのご老人たちは、みなあの二次大戦の敗戦後の苦しい生活を経験しているのです。
そんな時代に、アヴァホフのマラソン優勝は、
ドイツ庶民に夢と希望を取り戻させたのですね。
だから誰もが“アヴァホフ”には思い入れがあるのです。
この感覚、同じ敗戦国の日本人として、
なんだかすごくよくわかる気がするんですよね・・・。
それで、老人たちはパウルの応援をはじめるのですが、
ただ退屈な毎日に、急に目的ができて、イキイキとし始めます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/89/df5bff50ba296279dd64590fadf38c0b.jpg)
しかしホームの職員たちはパウルの年でマラソンということのリスクばかりが気にかかる。
そもそもみな若いので“伝説”をよく知らない・・・。
また、急にホームの中の規律が乱れたようで面白く無いのです。
急に彼が「マラソン」などと言い始めたのは
認知症のためか、あるいは老年性の鬱の始まりなのではないか
・・・と勘ぐり、検査までする。
それにしても老人ホームというのは、どこでも同じ風なのですね。
お遊戯みたいな歌を歌わせ、工作やら手芸をさせて・・・。
これで本当に満足なのかな?と思ってしまう。
先に見たアニメの「しわ」の時にも思ったのですが、
いくら老人だって、何か生きる目標とか夢がなければダメなのです。
私ならさしずめ、死ぬまで映画見て、ブログ続けるぞ!!
・・・なんてね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/61/2e457e8f4ffeb46297ebfb52444d8073.jpg)
このご夫婦、「二人は風と海。いつも一緒。」と言っていました。
その片割れが先に逝ってしまうのは、実に切なく涙を誘います。
私は、先日見た老いらくの恋の物語「トレヴィの泉で二度目の恋を」よりも、
この長く共に暮らした男女の愛情のほうが、
やはりしっくり来て、美しいと思う・・・。
パウル役のディーター・ハラーフォルデンは、
ドイツの国民的喜劇俳優で、本作のために9キロの減量を行ったそうです。
そして実際のベルリンマラソンでロケ。
なるほど、なかなかチャーミングなおじさまでした。
奥様役の方もステキでしたよね。
さぞ若かりし頃は美しかっただろうなあと思わせ、
また、知的な雰囲気も保っていて、
こういうふうに年をとりたいなあ・・・と憧れます。
こんな風に夫と寄り添いながら年を取るのもいい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/7f/eb25e1eff83c30a99f337455e7a43d8a.jpg)
![]() | 陽だまりハウスでマラソンを [DVD] |
ディーター・ハラーフォルデン,ターチャ・ザイプト,ハイケ・マカッシュ,フレデリック・ラウ,カトリーン・ザース | |
Happinet(SB)(D) |
「陽だまりハウスでマラソンを」
2013年/ドイツ/105分
監督・脚本:キリアン・リートホーフ
出演:ディーター・ハラーフォルデン、ターチャ・サイブト、ハイケ・マカッシュ、フレデリック・ラウ、カトリーン・ザース
老後の生活を考える度★★★★★
満足度★★★★☆