映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

2015年04月15日 | 映画(は行)
私の無知がもたらす、「面白くなさ」なのだろう。多分。



* * * * * * * * * *

第87回アカデミー賞作品賞受賞作、ということで期待してみましたが・・・。


かつて「バードマン」というヒーロー映画で
一世を風靡した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)。
しかしその後は鳴かず飛ばず・・・。
その彼が、ブロードウェイの舞台で脚色・演出・主演を務める作品を上演し、
再起を図ろうとします。
しかし、出演俳優の一人が大怪我をして降板。
代役に実力派の俳優マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)を迎えることに。
しかしこのマイクの才能に、リーガンは次第に脅かされていく・・・。



つまりこれは自己の“承認”をめぐる物語なんですね。
誰もが過去の自分を賞賛するけれども、今の自分を認めようとしない。
自分はここにいるのに、いないのと同じ。
周りの人々ばかりでなく、娘からも、信頼を得られない自分を何とかしたいと、
ジタバタもがく男の物語です。



リーガンの心の奥底の本音を「バードマン」の姿の彼が自身に語りかける。
彼の心は時に物を破壊する衝動を持ったり、
自身を上空に浮遊させたりもする。
こういう演出はなかなかはっとさせられ、ステキでした。
バードマン姿の彼が空を飛ぶのはあたり前。
でもコート姿の普通の男が浮遊する像といのは、めったにないですものね。

まあ、そういうところはさすがにアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督なのであります。
また、全シーンワンカットに近い長回しも見どころ。
けれど、先に私は三谷幸喜さんの「大空港2013」を見てますので・・・
さほどの驚きはありませんでした。


このシルエットは、「バードマン」というよりむしろ
「ガッチャマン」そのものなんですけど・・・。


十分面白かったという方ももちろんいらっしゃいましょう。
でも私はイマイチ、のめり込めないで終わった感じです。
本作、技巧に凝りすぎていて
「どうだ、すごいだろう」って、聞こえる気がする・・・。
アカデミー作品賞の映画って、正直あまり「面白く」はないと、私は思っております。
普通に楽しめる感動作をあえて外してますよね・・・。
だから私はやはり「評論家」にはなれないし、
ただのミーハーな映画ファンなのでしょう。
でもいいや。
私にとって面白くないものは面白くないのだからしょうがない。
そもそも昔の「バットマン」は見ていないので、マイケル・キートンも知らないし。



現代は、ほんの数秒で80万もの“いいね”やフォロワーを得られてしまう。
かつてのヒーローとしての人気と、今の社会での人気って
そもそも質がまるで違うのかもしれません。
こんな軽薄短小の世の中で、
人気を保ち続けなければならない俳優さんって、ホントに大変そう。
かつて「バットマン」で名を馳せたマイケル・キートン氏が本作で再起したわけですが、
果たして今後これをきっかけにスクリーンで多く見かけるようになるのか、
はたまた、また忘れ去られていくのか・・・、
今後に注目であります。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [DVD]
マイケル・キートン,ザック・ガリフィアナキス,エドワード・ノートン,エマ・ストーン,ナオミ・ワッツ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
2014年/アメリカ/120分
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン
斬新さ★★★★☆
満足度★★★☆☆