映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ダイバージェント

2015年04月10日 | 映画(た行)
どう見ても争いが起きないわけがない世界に思えるけれど・・・



* * * * * * * * * *

16歳になると強制的に5つの共同体のいずれかに振り分けられ、
その中で生涯を過ごす・・・という秩序の中で
平和を築き上げた近未来のストーリー。


公開時、多少そそられはしたものの見ないで終わっていましたが、
「きっと、星のせいじゃない。」のシャイリーン・ウッドリー主演ということで、
興味を持ち、後追いでみました。



本作の5つのファンクションとは、
勇敢、
無欲、
平和、
高潔、
博学。



ベアトリス(シャイリーン・ウッドリー)は、
この5つのどれにも該当しない異端者(ダイバージェント)と判定されたのですが、
それはこの世界では大変に危険なことなのです。
何処にも所属しない異端者は、
どの世界からも敵視され、抹殺される運命にあるという。
ベアトリスは結果を偽り、「勇敢」のファンクションに所属することにし、
名前も「トリス」に変えます。
そこは軍事や警察の役割を担うところで、
つまりは典型的体育会系組織。
非常に過酷な訓練の中で、トリスはなんとか落ちこぼれないよう
徐々に強さを身についていくのですが・・・。
「無欲」が担っている政治を、「博学」が奪おうとしている背景があり、
その争いに巻き込まれていくトリス・・・。



この世界観、どことなく「ハンガーゲーム」にも似ています。
おそらく“戦争”で一度滅びかけた人類が、
なんとか「平和」を保つように新しい秩序を構築し社会を築いていくのですが、
それはやはり人々を抑圧するものでしかなく、
若いヒロインが反旗を翻し、社会を変えようとする・・・。
本作は人気のヤングアダルト小説の映画化ということで、
自分の居場所、自分の将来を見定めようとするティーンの心に沿い、好まれたようです。


しかしこの近未来の社会設定には、ちょっと疑問があります。
確かこの世界では「平和」が農業を営んでいたようなのですが、
工業はどうなのでしょう?
あれだけの建築物や情報のテクノロジーがあって、電車だって走っていたわけだから、
工業がないわけがありませんが、
それを営んでいたのはどのファンクション?



「勇敢」の社会から落ちこぼれた者は「無所属」として排除され、
ホームレスのような生活を余儀なくされる。
そしてまた、ほとんど行き来不能なこのそれぞれのファンクション。
こんなふうに社会を分断してしまっては、
差別が生じ、争いが起こるのは必至。
これで平和を保とうとするなどとは、笑止。


そこで私は思うのです。
この世界には実は、表沙汰にされない裏の支配ファンクションがある。
それが「工業」で
本来の目的は「武器」を作り売りさばくこと。
武器商人たちが、実はこの5つのファンクションを操り、
確実に争いが起こるように画策している・・・というのが私の読みであります。


だから、もし本作に続編があるとすれば、話はそちらの方へ向かっていく。
・・・あはは。大嘘ですが。
すでにアメリカでは続編の「インサージェント」を公開中なのですね・・・
少なくとも私の想像とは違いそう・・・。

「ダイバージェント」
2014年/アメリカ/139分
監督:ニール・バーガー
出演:シャイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、ケイト・ウィンスレット、マギー・Q、ジェイ・コートニー
主人公の魅力度★★★★☆
未知の世界度★★★☆☆
満足度★★★☆☆