伊与太と茜の明日は?
* * * * * * * * * *
一人息子の伊与太が、修業していた絵師の家から逃げ帰ってきた。
しかし顔には大きな青痣がある。
伊三次とお文が仔細を訊ねても、伊与太はだんまりを決め込むばかり。
やがて奉行所で人相書きの仕事を始めるが…。
親の心を知ってか知らずか、移ろう季節とともに揺り動く、若者の心。
人生の転機は、いつもふいに訪れるもの。
* * * * * * * * * *
龍之進の身が固まったところで、今度は伊三次の息子・伊与太です。
いえ、結婚話はまだ早い。
絵師の修行のため、家を出ていたのですが、
同じ弟子たちと上手く行かず、帰ってきてしまいました。
親としてどうすればいいのかと頭を悩ます伊三次。
そんな時、伊与太の人相書きの腕が認められ、
龍之進の手伝いをすることになりますが・・・。
本気でそれを仕事にするのなら、絵師の修行は諦めるのか。
若い心は揺れ動きます。
全く、舞台は江戸なのですが、宇江佐さんの物語はピッタリと今の世の中に重なりますよね。
実際、いつの世でも家族に関わる問題は変わらないのでしょう。
そしてまた、伊与太とは幼なじみの龍之進の妹・茜。
彼女は女だてらに袴姿で剣術の道場に通う相変わらずの跳ねっ返り娘。
そんな彼女にも縁談が舞い込むようになりますが・・・。
彼女はもちろん結婚などするつもりはなく、
意を決して松前藩屋敷の奥向きに努めることになります。
大奥の女中というよりも、奥方やお姫様の護身役。
そこのこの先の物語も楽しみですが、
"松前藩"というところがいかにも、北海道函館在中の著者の矜持が見えますね。
さて、伊与太と茜。
お互い想い合っていることは明らかなのですが、何分身分違い。
どうなりますことやら・・・。
そして、本巻「文庫のためのあとがき」が、平成25年のものなのですが、
著者に癌が見つかったことを書いています。
著者は仕事をセーブするようにしたけれども、
このシリーズだけは書けるところまで書きたいいとつづっています。
そうですね、栗本薫さんの「グイン・サーガ」のように、
本作が宇江佐真理さんのライフワーク。
残り少なくなってきましたが、私も大切に読み通したいと思います。
「心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話」 宇江佐真理 文春文庫
満足度★★★★★
心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫) | |
宇江佐 真理 | |
文藝春秋 |
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一人息子の伊与太が、修業していた絵師の家から逃げ帰ってきた。
しかし顔には大きな青痣がある。
伊三次とお文が仔細を訊ねても、伊与太はだんまりを決め込むばかり。
やがて奉行所で人相書きの仕事を始めるが…。
親の心を知ってか知らずか、移ろう季節とともに揺り動く、若者の心。
人生の転機は、いつもふいに訪れるもの。
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龍之進の身が固まったところで、今度は伊三次の息子・伊与太です。
いえ、結婚話はまだ早い。
絵師の修行のため、家を出ていたのですが、
同じ弟子たちと上手く行かず、帰ってきてしまいました。
親としてどうすればいいのかと頭を悩ます伊三次。
そんな時、伊与太の人相書きの腕が認められ、
龍之進の手伝いをすることになりますが・・・。
本気でそれを仕事にするのなら、絵師の修行は諦めるのか。
若い心は揺れ動きます。
全く、舞台は江戸なのですが、宇江佐さんの物語はピッタリと今の世の中に重なりますよね。
実際、いつの世でも家族に関わる問題は変わらないのでしょう。
そしてまた、伊与太とは幼なじみの龍之進の妹・茜。
彼女は女だてらに袴姿で剣術の道場に通う相変わらずの跳ねっ返り娘。
そんな彼女にも縁談が舞い込むようになりますが・・・。
彼女はもちろん結婚などするつもりはなく、
意を決して松前藩屋敷の奥向きに努めることになります。
大奥の女中というよりも、奥方やお姫様の護身役。
そこのこの先の物語も楽しみですが、
"松前藩"というところがいかにも、北海道函館在中の著者の矜持が見えますね。
さて、伊与太と茜。
お互い想い合っていることは明らかなのですが、何分身分違い。
どうなりますことやら・・・。
そして、本巻「文庫のためのあとがき」が、平成25年のものなのですが、
著者に癌が見つかったことを書いています。
著者は仕事をセーブするようにしたけれども、
このシリーズだけは書けるところまで書きたいいとつづっています。
そうですね、栗本薫さんの「グイン・サーガ」のように、
本作が宇江佐真理さんのライフワーク。
残り少なくなってきましたが、私も大切に読み通したいと思います。
「心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話」 宇江佐真理 文春文庫
満足度★★★★★