映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

天の茶助

2016年03月05日 | 映画(た行)
人の運命は単なる気まぐれなシナリオか?



* * * * * * * * * *

天上で、地上に生きる人間たちの運命のシナリオが書かれている。
そんな設定の物語です。

その無数のシナリオライターたちにお茶を汲む担当の茶助(松山ケンイチ)。
その茶助の何気ない一言でシナリオが書き換えられ、
茶助が気にしていたユリ(大野いと)が交通事故で死ぬことになってしまうのです。
茶助はユリを助けるために人間界に降り立つ。
そこで彼は奇跡の力を駆使し、病んでいる人々をも助け始めるのですが・・・。



沖縄を舞台として、エイサーなど地元の祭事・祭礼の中で、
天界と通じる男を描くということで、
その雰囲気はとても良いのです。
沖縄はどこか天界に近い・・・
まあ確かに、我が北海道よりはずっと天に近い感じがする。
南国ゆえなのでしょうかね。
いいなあ・・・。



でも、それはいいとしても本作の設定自体に難があるような気がします。
一人ひとりの運命のシナリオ・・・。
一体ライター一人で何人分を描くのかなあ・・・。
で、天から降りた茶助に、人の病を癒す力があるというのも
なんだか都合が良すぎるような。
途中でその茶助自身の真実が明かされるというところでははっとさせられるのですが、
全体にご都合主義でとりとめなく、感動の持って行き場がないような・・・。
だって、先がどうなろうと、それが「シナリオ」でした、で済んでしまう。
だからなんだか人の心理とか行動とかに説得力がなくて、
共感も湧かないということかもしれません。
せっかくの松山ケンイチさん出演作でしたが、残念でした。



天の茶助 [DVD]
松山ケンイチ,大野いと,大杉 漣,伊勢谷友介,田口浩正
バンダイビジュアル


「天の茶助」
2015年/日本/105分
監督・原作・脚本:SABU
出演:松山ケンイチ、大野いと、大杉漣、伊勢谷友介、田口浩正
ファンタジー度★★★☆☆
沖縄度★★★☆☆
満足度★★.5