映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

パレードへようこそ

2016年03月29日 | 映画(は行)
差別や偏見を乗り越えて



* * * * * * * * * *

1984年、イギリスであった実話を元にしています。
実話であるからこそ納得。
もしこれがフィクションだったら、
そんなことがあるわけない、キレイごとすぎる・・・と思ってしまいそうです。



時はサッチャー政権下、
炭鉱閉鎖に反対する炭鉱労働者たちがストライキを始めました。
ロンドンに住む同性愛者の一人、マーク(ベン・シュネッツァー)が、
警官に目の敵にされている彼らにシンパシーを覚え、
炭鉱労働者を支援する募金活動を始めるのです。
しかし募金は集まったものの、炭鉱組合からは無視されてしまいます。
唯一ウェールズ奥地の炭鉱町が受け入れる。
とは言え、たまたま勘違いだったのですけれど・・・。
張り切ってその町へのりこんだマークたちですが、人々の目は冷たい・・・。
でも、偏見なく彼らを受け入れる人々もいたのです。
そして次第にその和は広まっていく・・・。



サラリと彼らを受け入れるヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)や、
クリフ(ビル・ナイ)がよかったですねー。
声高に差別や偏見はよくないなどと言ったりしない。
ごく自然体というところがいい。
女性や年寄りのほうが弱者の気持ちをよく知っているからなのかもしれません。
また本作は、自分がゲイで、
このような支援活動を行っていることをずっと家族に言えなかったジョー(ジョージ・マッケイ)の、
成長物語でもありますね。
ゲイの友人達も、そのことを責めたりしません。
みな、同性愛ということで、家族と少なからず軋轢を引き起こしているからにほかなりません。
自分らしさのままで、生きていくこと。
清々しいです!



本作のラスト、同性愛者たちのパレードのエピソードには感動させられます。
手と手をつなぐ、「連帯」がそこにある。



しかし、この活動のリーダーであるマークは、
エイズで若くして亡くなっているのだとか。
現実はどこまでもシビアです・・・。

パレードへようこそ [DVD]
ビル・ナイ,イメルダ・スタウントン,アンドリュー・スコット,ジョージ・マッケイ,ベン・シュネッツァー
KADOKAWA / 角川書店


「パレードへようこそ」
2014年/イギリス/121分
監督:マシュー・ウォーカス
出演:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン、ドミニク・ウェスト、パディ・コンシダイン、ジョージ・マッケイ、ベン・シュネッツァー

「パレードへようこそ」
歴史発掘度★★★★☆
連帯度★★★★☆
満足度★★★★★