映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヘイトフル・エイト

2016年03月10日 | 映画(は行)
ヘイトフル・エイト?



* * * * * * * * * *

あれ?
 西島作品じゃないけど、私たちが出てきちゃいましたね。
何しろトンデモ作品なので、私たちの出番ってことで・・・。


クエンティン・タランティーノ監督作品だもんねえ・・・。
 で、これ、西部劇なんだね。
そう、一面真っ白な雪の中で、あんまり西部劇って感じはしないけど。
 舞台は南北戦争から数年後のワイオミング。
 間違いなく西部劇です。
冒頭、雪で埋もれたキリスト像の道標の映像に、
 やけに重々しく、またちょっとアクの強い音楽が重なるよね。
そう、これが後で知ったんだけど、音楽はエンニオ・モリコーネでした。
だからさ、やっぱり西部劇!! 
 いかにも往年の西部劇という雰囲気の幕開けなのであります。



さてストーリーは・・・
吹雪のため閉ざされた一軒のロッジ風雑貨店。
 この設定が何やらミステリっぽいのだけれど・・・。
そうだね、一人また一人と死人が出るけど、犯人探しともちょっと違う。
 しかし、思いがけない展開は確かにある!!
 しいて言えば、生き残るのは誰か・・・?


まずは、賞金の掛かったお尋ね者ドメルグ(唯一の女性登場人物)を捕らえたジョン・ルースが、
 彼女を町まで連行しようとする道中、吹雪になってこの小屋に避難するんだね。





 途中で同じく賞金稼ぎをしているマーキス・ウォーレンと、
 自称新任保安官のクリス・マニックスを拾う。





 その小屋には店主から留守を頼まれたというボブと3人の先客がいる。



縛り首の処刑人と、カウボーイ、そして南軍の元将軍の老人だね。







一見、たまたま集まった、なんの関係もない人々のようなんだけど・・・
この中に、ドメルグを救い出すために紛れている人物がいる、と、ウォーレンは言う。
 それは一人か、もしくはそれ以上・・・。
言われてみれば誰も彼も怪しい奴ばっかり!!
 で、まずは二人がコーヒーに入れられた毒で死ぬのを皮切りに、
 小屋は血みどろの殺戮の場と化していくわけ・・・。
 まあ、あんまり楽しくはないよねえ・・・
けど、結局この話は、この題名自体が罠なんじゃないの?
ヘイトフル・エイト、ね。
 ・・・確かに。


ここまで血みどろだともう、残酷感は麻痺しちゃうけど、
 考えてみるとこのストーリーはとにかく平等だという気がする。
えー?平等?
 むちゃくちゃ黒人差別発言があったじゃない。
それはそうだけどさ、本作での「死」とか「本性」の扱いは全く平等なんだよ。
 白人も、黒人も。
 男も女も。
 老いも若いも。
 お尋ね者も保安官も。
 善も悪もない。
 おまけにだれにも正義がない。
 普通はストーリー上どこかに肩入れするヒイキがあるじゃない。
 でも、そういうところがほんとに平等で、潔いわーって思う。
なるほどね・・・。
 ま、好きではないけど、面白い作品ではあった・・・。
タランティーノ監督らしい、ブラックな味わいと、過剰な血みどろ合戦が好きな方なら
 間違いなく楽しめます。

「ヘイトフル・エイト」
2015年/アメリカ/168分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン
血みどろ度★★★★★
意外性★★★★☆
満足度★★★☆☆