シリーズ初の描きおろし!!
* * * * * * * * * *
江戸の大火で別れて暮らすことになった髪結いの伊三次と芸者のお文。
仲の良い夫婦をめぐる騒動を夜空にかかる月が見守っている。
伊三次の色恋沙汰、お文の父親のこと
、八丁堀純情派に屈した本所無頼派のその後・・・。
長女・お吉が誕生する頃の、語られることのなかった10年を描く傑作長編。
大人気シリーズ、初の書き下ろし!
* * * * * * * * * *
さて、伊与太と茜の行末を案じて終わった前巻ですが、
本巻はちょっとインターバル的に時間を巻き戻し。
なんと初の書き下ろしだったのですね。
だから章立てがなくて、一冊まるごとの長編となっているのですが、
実際は幾つかのエピソードで構成されているので、
あまり違った感じはしません。
あの大火で家を失った直後の様子が描かれています。
伊三次は姉と義兄のところ、お文さんは伊与太と共に勤め先の「前田」のところに
身を寄せることにして、やむなく別居。
そんな時にお文が第2子を身ごもっていることが分かります。
そんなある時、お文は図らずも、実の父親と対面。
互いにはっきりとは名乗り合わないけれども、
しっとりした父娘の情愛が通い合います。
また、伊三次にはなんと珍しい、ちょっぴり浮ついた話が・・・!!
無論実際は何事もないのですが、お文さんには知られては、ちょっとまずい。
しかし、女房の感を甘く見てはいけません。
お文さんはそんなことはお見通し。
「さて、つまらない話をしちまった。そろそろ蒲団に入ろう」
お文はそう言って腰を上げた。
伊三次は思わず、その手をとった。
あれ、とお文は驚いた声を上げた。
「子供達が目を覚ます」
お文は潜めた声で伊三次を制した。
「覚まさねェよ」
伊三次はそう言って行灯を吹き消し、お文を押し倒した。
「罪滅ぼしかえ」
本作、一番いいところのネタばらし。
しばらく龍之進中心の話が続いたので、
久しぶりの伊三次とお文さんのやり取り。
やっぱりいいもんですねえ・・・
「月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話」 宇江佐真理 文春文庫
満足度★★★★★
![]() | 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫 う 11-18) |
宇江佐 真理 | |
文藝春秋 |
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江戸の大火で別れて暮らすことになった髪結いの伊三次と芸者のお文。
仲の良い夫婦をめぐる騒動を夜空にかかる月が見守っている。
伊三次の色恋沙汰、お文の父親のこと
、八丁堀純情派に屈した本所無頼派のその後・・・。
長女・お吉が誕生する頃の、語られることのなかった10年を描く傑作長編。
大人気シリーズ、初の書き下ろし!
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さて、伊与太と茜の行末を案じて終わった前巻ですが、
本巻はちょっとインターバル的に時間を巻き戻し。
なんと初の書き下ろしだったのですね。
だから章立てがなくて、一冊まるごとの長編となっているのですが、
実際は幾つかのエピソードで構成されているので、
あまり違った感じはしません。
あの大火で家を失った直後の様子が描かれています。
伊三次は姉と義兄のところ、お文さんは伊与太と共に勤め先の「前田」のところに
身を寄せることにして、やむなく別居。
そんな時にお文が第2子を身ごもっていることが分かります。
そんなある時、お文は図らずも、実の父親と対面。
互いにはっきりとは名乗り合わないけれども、
しっとりした父娘の情愛が通い合います。
また、伊三次にはなんと珍しい、ちょっぴり浮ついた話が・・・!!
無論実際は何事もないのですが、お文さんには知られては、ちょっとまずい。
しかし、女房の感を甘く見てはいけません。
お文さんはそんなことはお見通し。
「さて、つまらない話をしちまった。そろそろ蒲団に入ろう」
お文はそう言って腰を上げた。
伊三次は思わず、その手をとった。
あれ、とお文は驚いた声を上げた。
「子供達が目を覚ます」
お文は潜めた声で伊三次を制した。
「覚まさねェよ」
伊三次はそう言って行灯を吹き消し、お文を押し倒した。
「罪滅ぼしかえ」
本作、一番いいところのネタばらし。
しばらく龍之進中心の話が続いたので、
久しぶりの伊三次とお文さんのやり取り。
やっぱりいいもんですねえ・・・
「月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話」 宇江佐真理 文春文庫
満足度★★★★★