映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サハラに舞う羽根

2017年05月11日 | 映画(さ行)
ワイルドなヒース・レジャーも良し



* * * * * * * * * *

先日ヒース・レジャー出演作を見て、また見たくなってしまいました。
本作も以前に見たことはありますが、ブログ開始以前なので、再視聴。
1884年、イギリス。
ビクトリア朝ですね。
大英帝国が地球上の約1/4を支配していた、そんな時期。


将軍の父に期待されるまま、軍人となったハリー(ヒース・レジャー)は、
エリート士官として、美しい婚約者エスネ(ケイト・ハドソン)や、
信頼できる友人ジャック(ウェス・ベントリー)らに囲まれ、
輝かしい未来を約束されていました。
そんな時、英植民地の一つ、スーダンで反乱が起こり、
鎮圧のため軍が派遣されることになりました。
血気にはやる友人たちは出兵に勇み立ちますが、ハリーは除隊届を提出したのです。
ハリーの友人たち3名は臆病者のシンボルである「白い羽根」を彼に送りつけます。
そして婚約者のエスネまでもが・・・。
しかし「君にならボクの命を預けられる」と言った親友のジャックだけは
羽根を送りつけてはきませんでしたが、
気持ちを話すまもなくスーダンへ出兵してしまいました。
ハリーは4枚の白い羽根を返上すべく、
国のためにではなく、友人たちのために、単身でスーダンに赴きます。
そしてアラブ人に身をやつし、荷運び人夫として雇われ、軍に随行するのですが・・・。
大英帝国の栄光ある軍隊が悲惨な戦闘に追い込まれていきます・・・。


イギリスの戦争といえば、私は、つい一次大戦・二次大戦を連想してしまっていたのですが、
あれだけの植民地を手中にした裏には、
各地での戦争があったはずなのですね。
本作でハリーが戦争に行きたくなかった理由は、
彼自身の言葉ではハッキリとは説明がありません。
ただ、推測されるのは、この植民地政策自体に疑問を感じていたようでもあります。
そして戦争、すなわち人と人が殺し合うことが良いことだとは思えなかった。
まあ、今にすれば当たり前ではありますが、
時代的には、それを口にできるような雰囲気ではなかったということですね。
ハリーはそんな自分の気持ちに正直だっただけなのですが、
その代償は大きかったのです。
臆病な卑怯者というレッテルを貼られてしまう。
それで結局彼もまた戦場へ行くことになるわけですが、
羽根を送りつけた友人たちの窮地を救うことになる。
最後の一人を救うためには、あえて反乱軍の捕虜にまでならなければならず、
そこでは本当に命がけの悲惨な体験をするのです。
本当の卑怯者ならこんなことはしません。
ハリーの強い意志に、圧倒されるのでした・・・。


ヒゲモジャのヒース・レジャーもまた、ワイルドでいいですね―。
あ~、つくづく惜しい・・・。

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「サハラに舞う羽根」
2002年/アメリカ・イギリス/132分
監督:シェカール・カプール
原作:A・E・W・メイソン
出演:ヒース・レジャー、ウェス・ベントリー、ケイト・ハドソン、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン
スペクタクル度★★★☆☆
信念度★★★★☆
満足度★★★★☆