自分の物語の主人公
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内気な少女紀子は、10歳の時に母を病気で亡くします。
自分の死期を悟った母・芳恵(宮崎あおい)は、
子どもたちが20歳になるまでに毎年のバースデーカードを用意していました。
その後、紀子は毎年の誕生日に父から受け取る母のバースデーカードを
楽しみにしながら成長していきます。
17歳のときには母の望みに従って、母の故郷・小豆島を訪れた紀子(橋本愛)。
母が利発で人から好かれ、そして自分の思いをまっすぐ貫こうとする強い女性でもあったことを知り、
とてもかなわないと思います。
そして19歳の誕生日にはもうカードは読まない、と反発。
しかし、「成長した紀子をもう想像することができない」と、
苦しむ母の胸の内をも知ることになるのです・・・。
紀子の少女から大人の女性への成長をみずみずしくとらえた素敵な作品でした。
10歳の紀子は引っ込み思案で「私は脇役でいい」と母にいうのですが、
図書館で、母はこんなことを言います。
「ここにはこんなに沢山の本があって、その本の一つ一つに主人公がいるでしょう。
決して脇役ではなくて。
あなたは自分の物語の主人公なのよ。」と。
この言葉は、紀子にはすぐに納得できるものではなかったのですが、
その後10年をかけて自分のものにしていくのです。
初恋のトキメキ、やんちゃな弟(須賀健太)の成長ぶり、
二人の子どもを見守り続けるお父さん(ユースケ・サンタマリア)どれもステキです。
そして、パネル・クイズ「アタック25」のエピソードがまた、いい。
お母さんとの絆、一歩前へ踏み出そうとする気持ちの現れ。
涙・涙・・・。
バースデーカード [DVD] | |
橋本愛,宮﨑あおい,ユースケ・サンタマリア,須賀健太,中村蒼 | |
KADOKAWA / 角川書店 |
<WOWOW視聴にて>
「バースデーカード」
2016年/日本/123分
監督・脚本:吉田康弘
出演:橋本愛、宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア、須賀健太、中村蒼、木村多江、谷原章介
母の愛度★★★★★
青春度★★★★★
満足度★★★★★