どこにでもいる普通の少女?
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永遠の出口 (集英社文庫) |
森絵都 | |
集英社 |
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「私は、"永遠"という響きにめっぽう弱い子供だった。」
誕生日会をめぐる小さな事件。
黒魔女のように恐ろしい担任との闘い。
ぐれかかった中学時代。
バイト料で買った苺のケーキ。
こてんぱんにくだけちった高校での初恋…。
どこにでもいる普通の少女、紀子。
小学三年から高校三年までの九年間を、
七十年代、八十年代のエッセンスをちりばめて描いたベストセラー。
第一回本屋大賞第四位作品。
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私、この本の上記概略には少し異議があります。
「どこにでもいる普通の女子」?
確かに本作は紀子の小学三年から高校三年までの
「少女」と呼ばれる時代の成長度合いを描いた物語なのですが、
中学時代のぐれ方は意外と過激で、
上記のように「ぐれかかった」という程度とは思えません。
私、そういう女の子は、
自分ではなんでそうなってしまうのかわかってはいないと思うのですが、
それでも自分の意思を通す強さが人とは違うと思うのです。
例えば私のような小心者で小さくまとまった人間は
たまに羽目をはずしたくてもできないのですよ・・・。
そういうものにとって、家族のまとまりとか友人との付き合いもなげうって、
なりふり構わず自分の意志を通しちゃうという人物は、
「特別」なものに思えてしまう。
で、実のところ、そういう人は苦手だったりもする・・・。
でも、本屋大賞第4位?
そうなんですか、共感できる方は結構いるんだ・・・。
今時の本当の「少女」にとっては等身大なのかもしれません。
ごめんなさい、昔の「少女」の私にとってはあまり思い入れのできないストーリーでした。
「永遠の出口」森絵都 集英社文庫
満足度★★.5