映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

祈りの幕が下りる時

2018年02月12日 | 映画(あ行)

過去と現在がつながる時

 

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東野圭吾による加賀恭一郎・新参者シリーズの完結編。
シリーズ前作は見ているので、まあ惰性という感じで見たわけですが・・・。
完結編というにはわけがありまして、
これまで日本橋の所轄に加賀(阿部寛)が新参者として赴任してきて、
そこで起こる事件解決に取り組んできたわけですが、
この度は、加賀の父との確執や失踪した母のこと、加賀自身のことが事件と関わってくるのです。

まずは、東京都葛飾区のアパートで滋賀県在住の押谷道子の絞殺死体が発見されます。
そのアパートの部屋の住人は姿をくらましている。
そしてその住人と押谷の接点も見つかりません。
加賀は、押谷が中学の同級生だった演出家・浅居博美(松嶋菜々子)を訪ねて
東京へ来たことを突き止めます。
浅居博美は以前剣道の道場で加賀と会ったことがあるのです。
浅居の近辺を調べ始める加賀ですが・・・。

加賀が失踪した母親の関係で持っていたカレンダー。
そして、この度の殺人現場の男の部屋にあったカレンダー。
どちらにも月ごとに橋の名前が書かれていて筆跡が一致。
やにわに加賀の母親の過去と現在の事件がつながりを見せる。
これぞミステリという劇的な展開。
ゾクッっと来ます。
そしてまた浅居博美のたどった過去も、悲しいものでしたが・・・。
困難を乗り越えて、せっかくここまで成功を収めてきたのに。
まことに切ない事件なのでした。



加賀がずっと日本橋にこだわり、この地にとどまり続けた理由も明かされます。
大いなるマザコン、それも良しですね。

<シネマフロンティアにて>
「祈りの幕が下りる時」
2018年/日本/119分
監督:福澤克雄
原作:東野圭吾
出演:阿部寛、松嶋菜々子、溝端淳平、田中麗奈、キムラ緑子、小日向文世、山崎努

ミステリ度★★★★☆
切ない真実度★★★★★
満足度★★★.5