映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ちょっと今から仕事やめてくる

2018年02月28日 | 映画(た行)

心を失ってまで務め続けなければならない仕事なんかない

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仕事のノルマが厳しく、なかなか成績を上げられず、
精神的に追い詰められていた隆(工藤阿須加)。
駅のホームで電車にはねられそうになる直前、
ヤマモト(福士蒼汰)という青年に助けられました。
隆は、馴れ馴れしいヤマモトに戸惑いながらも、その明るさに救われ、
徐々に明るさを取り戻していきます。
しかしある日、隆はヤマモトが3年前に自殺していたことを知ります。
ヤマモトとは一体誰なのか?
・・・まさか幽霊?!

私は、本作のあらすじを見た時に、てっきりヤマモトはこの世の人ではなく、
これはスピリチュアルな物語かと思っていました。
・・・ところがそれは、そうではなかったのですねえ・・・。
皆様もご安心を。
ヤマモトは実在の人物です!



「ちょっと今から仕事やめてくる」とはいかにも軽い言い方ですが、
隆がこの決断をするまでは結構長い道のりです。
決して、会社で嫌なことがあったからすぐにやめようと思ったということではない。
いつまでもつづく残業や、胸糞の悪いパワハラ上司(吉田鋼太郎)にも耐えに耐えていた・・・。
だからこそ、いつの間にか心をなくし、生きる意欲も忘れて、
ほとんど無意識に電車に飛び込むところだったわけです。



確かに、ここでやめてしまったら、次の正規採用は難しいのかもしれない。
でも、こんなふうに人間性まで損なわれて続けるべき仕事なんてあるはずがありません。
あんな感じの悪い上司だって、辞めてしまえばもう関わりがないただのバカ親父ですから! 
あの態度を咎める人が他に誰もいないというのは、いや~な職場ですよね。
・・・え、大抵そんなもの? 
そうなんですか・・・? 
だったら私はとてもラッキーなサラリーマン人生だったのかもしれません・・・。



そしてまた、この会社で苦しんでいたのは何も隆だけではなく、
隆が尊敬している先輩・五十嵐(黒木華)もそうだったわけです。
なにもね、仕事が「楽しい」必要はないと思うのだけれど、
少なくとも何らかのやりがいと、ちょっとした職場の輪くらいはあって欲しいものです・・・。



飄々として明るいヤマモトに福士蒼汰さん。
真面目な故に悩む青年に工藤阿須加さん。
フレッシュコンビはなかなか良かった。



ちょっと今から仕事やめてくる 通常版 [DVD]
福士蒼汰,工藤阿須加,黒木華,森口瑤子,吉田鋼太郎
KADOKAWA / 角川書店



<J-COMオンデマンドにて>
「ちょっと今から仕事やめてくる」
2017年/日本/114分
監督:成島出
原作:北川恵海
出演:福士蒼汰、工藤阿須加、黒木華、吉田鋼太郎
働き方改革度★★★★☆
満足度★★★.5