映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アルカディア

2019年03月17日 | 映画(あ行)

私達は“未知”が恐ろしい

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カルト集団で自給自足の生活を続ける村「アルカディア」を
10年前に脱走した兄弟、ジャスティンとアーロン。
幼少時から特殊な環境で生活していた彼らは、
街での生活にうまく馴染めず、清掃の仕事で食べていくのがやっと。
友人も恋人もいない孤独な日々を過ごしていました。
そんなある日、アルカディアからビデオテープが送られてきたことから、
二人は再び村を訪れてみることにします。
10年ぶりの村の人々は優しく彼らを受け入れましたが、
なぜか10年前と少しも変わらず若々しいのです。
そして二人は村で起こる超常的な出来事を目撃することになる・・・。

私達は「未知」のものを一番恐ろしいと感じる・・・と、冒頭で文章が示されます。
そういった意味では、この村で起こるのは「未知」のことばかり。
人知を超えた“何者か”がこの村を支配しているようなのです。
月が2つ・・・いえ、後には更に増えて3つ。
その3つ目の月が満月になったときに何かが起こる?



その“何者か”は、最期まで姿を表しません。
そこがミソですよね。
どんなにおぞましい姿であったとしても、
それが姿を表した途端に「怖さ」は激減してしまうでしょうから。
そしてその「何者か」の意図が全くわからない、
というところがまた、恐ろしいのです。
およそ人間的な「感情」は汲み取れない。
極めて残酷でもあり、そのことが何かの利益を生むとも思えないのに・・・。

この兄弟は極めて仲が悪くて性格も真逆・・・のように見えたのですが、
結局はやはり似ているのでした。
この村の怪しさに対しての疑惑、その対処。


なんと本作、その兄弟役の二人が監督なんですね。
そして名前もそのまま。
極めてユニーク。


わからないことはわからないままに、そっとその場を立ち去るのがいいのかもしれません。

アルカディア [DVD]
ジャスティン・ベンソン,アーロン・ムーアヘッド,キャリー・ヘルナンデス,テイト・エリントン,リュー・テンプル
TCエンタテインメント

 


<WOWOW視聴にて>
「アルカディア」
2017年/アメリカ/111分
監督:アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン
出演:アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン、キャリー・ヘルナンデス、リュー・テンプル、ジェームズ・ジョーダン

不可解さ★★★★★
不気味さ★★★★☆
満足度★★★.5