対決した間柄ながら、唯一わかり会える存在
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16歳でフランス王妃となるも、間もなく王フランソワ2世が崩御。
18歳で未亡人となったメアリー(シアーシャ・ローナン)が
故郷のスコットランドに帰国、再び王位の座につきます。
しかし当時、プロテスタントの勢力が増していて、女性君主は神の意に反するとする反対勢力も。
メアリーは家臣の陰謀や内乱で何度も王座を奪われそうになります。
一方イングランドの女王エリザベス(マーゴット・ロビー)は、
美しく、結婚して子供を生んだメアリーに複雑な思いをいだきます。
二人は従姉妹の関係で、王位継承権を巡るライバル同士でもあったのです。
本作の原題は“Mary Queen of Scots”ということで、主にメアリーの方に焦点を当てたもの。
エリザベスについての圧倒的な人生についてはまた別の名作がありますしね。
メアリーは結婚して子供も生んだと聞けば、
幸福なときもあったのだろうと思うわけですが、
本作を見ればそんなことは幻想に過ぎないとわかります。
彼女が妊娠に至る経緯というのがもう、
ロマンチックとは程遠い、とにかく妊娠すればよいのだというなりふりかまわなさ。
しかも女王の行動はお付きの者たちに筒抜け。
これはもう、したたかでなければ生きていけません。
女性が王位につくことは、好ましくないと考える輩がやはり多かったのですね。
それだから、周りの男達は女王を王位から引きずり下ろして自分が王位につくことを夢見てしまう。
そういう思いは、やはり断然男性の方が強いのです。
何かと互いに目障りな存在でありながら、
女王として生きることの重圧と孤独をわかりあえるのは互いにこの二人しかいない。
そうした思いの詰まった二人の邂逅シーンは素晴らしかった。
それにしても、メアリーの最期にはまた、心おののかされますね・・・。
真紅の衣装で・・・。
こんな血筋に生まれなければ、
それこそ幸せな結婚をして穏やかな家庭を築いたかもしれないのに・・・。
でも、メアリーが生んだ子供こそが現イギリス王室の血につながっている
というのがまたドラマチックですね。
紐解けば悲惨な話に枚挙がない、王族の歴史・・・。
<ディノスシネマズにて>
「二人の女王 メアリーとエリザベス」
2018年/イギリス/124分
監督:ジョージ-・ルーク
出演:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー、ジャック・ロウデン、ジョー・アルウィン、デビッド・テナント
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆