そして少年は大人になる。
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西加奈子さん原作の映画化です。
小さな温泉街。
小学5年のサトシ(山崎光)は、体が大人になっていく変化に戸惑っています。
そんな頃、不思議な雰囲気を持つ美少女・コズエ(新音)がサトシと同じクラスに転入してきます。
実はコズエはある秘密を持っていて・・・。
ファンタジーめいたこの作品は、子供から大人へ体が変化すること、
そしてまた、年老いてやがて死にゆく生命のことを、
サトシが理解していく成長の様を描いています。
思春期の始まりのところで戸惑う男の子っていうのがいいですよねえ。
サトシの父親(草なぎ剛)は女好きで、
浮気をしていることは町の人々や妻にまで周知の事実となってしまっています。
サトシはそれが嫌でたまらない。
周りを見れば、父親を代表として、ばかみたいな大人ばかり。
だから大人になんかなりたくない。
このままがいい、と思うわけです。
ほんの一時の少年の汚れない硬質な美しさ。
・・・好きだわあ♡
でもそんな時はあっという間に変化してしまう。
けれど、変化することの素晴らしさ、
消えてしまう命ではあるけれどでもそれは再生への入り口であること・・・、
大切な気づきをコズエが与えてくれるのです。
草なぎ剛さん演ずるところのダメ父は、
ダメ父ではありながらサトシが一歩歩み寄ってみれば、いいところもある。
ラストのシーンはなかなか良かったぞ!
料理人であるサトシの父の作ったホカホカ湯気の立つおむすびは美味しそうだったなあ・・・。
舞台となっていた四万温泉は群馬県にあるんですね。
町の人皆が顔見知りくらいの感じの人々の温度感がなんかいいなあと思いました。
<ディノスシネマズにて>
「まく子」
2019年/日本/108分
監督:鶴岡慧子
原作:西加奈子
出演:山崎光、新音、須藤理彩、草なぎ剛、つみきみほ
初恋度★★★★★
満足度★★★★☆