映画と本の『たんぽぽ館』

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少女ファニーと運命の旅

2020年04月14日 | 映画(さ行)

子どもたちだけの逃避行

* * * * * * * * * * * *


実話に基づく物語です。



ナチスドイツ支配下のフランス。
13歳のユダヤ人少女ファニーは、幼い二人の妹や他のユダヤ人の子どもたちともに
児童施設に匿われていましたが、密告者によりそこにはいられなくなり、
急きょ別の施設に移動します。
そしてそこにも長くはいられず、国境を越えスイスへ逃れることに。
ところが、ドイツ兵の取り締まりの中、引率者ともはぐれてしまい、
子どもたちだけで行動せざるを得なくなります。
自分の妹たちのみならず他の子どもたち数人をも引き連れ、
ファニーはリーダーとしての責任を負うことに・・・。



ナチス支配下のフランスは、警察もナチスに恭順しており、油断なりません。
一般の人たちもそれに同調する者もいるけれど、
反発を覚えユダヤ人に同情的な人もいる、というところで実に混沌としています。
この子どもたちの集団にはファニーの他に年長の者や男子もいたのですが、
彼女らを保護していたマダム・フォーマンは
ファニーを見込んでリーダー役を命じます。

それにしても、学級委員とは訳がちがう。
まさに命がけの逃避行で、ずっしりとファニーに責任がのしかかります。
けれど、「つらいときはつらい顔をしてはダメ」というフォーマンの言葉を胸に
目的を果たそうとするファニー。



時には子どもらしく、無邪気なシーンもありながら、
知恵と勇気で運命にあらがおうとする少女を、ハラハラしながら見守る私でした。
こうしたテーマは実に胸に迫ります。
彼女たちに対峙する人々を見ればその人の人間性がよくわかりますね。

<Amazonプライムビデオにて>
「少女ファニーと運命の旅」
2016年/フランス・ベルギー/96分
監督:ローラ・ベン=アミ
出演:レオニー・スーショー、ファンティーヌ・アルドゥアン、
   ジュリアーヌ・ルプロー、セシル・ドゥ・フランス

歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆