凝り固まった歴史観から脱しよう!
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自分の国の歴史を学ぶ―その「勉強」には、一体どんな意味があるのだろう。
「日本」と呼ばれるこの国は、一体どうやって生まれたのだろう?
たった一つの視点からでは、歴史を語ることはできない。
言語、宗教、文化、戦争…。
周辺国との複雑で密な交わりこそが、この国の過去を楽しむ鍵になる。
凝り固まった一国史観から解放される、ユーモア溢れる日本史ガイド!
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先に同著者の「父が子に語る近現代史」を読み、順不同となりましたが、
その前作である本巻を読むことに。
本巻では主に日本の始まりから江戸時代までについて述べられています。
一貫して著者が主張するのは、これまでの「日本史」は
常に中央からの視点で語られていた、と言うこと。
地方政権は軽視され、東北地方にいたってはいつも「討伐」の対象であった。
さらに江戸時代、頼山陽が「日本は本来天皇が治めるべきである」と説いたことから
尊皇攘夷運動が湧き上がり、
明治には「日本は未来永劫天皇が治める国家である」と憲法にも規定される。
戦後こうした見方は批判されてはいるものの、
こうした歴史観は変わっていない、と著者は嘆くのです。
日本は今と同じ形でずっと一つだけだったわけではなく、
その外との交流の中で育まれてきた。
このような考え方で語られる、著者の歴史の流れには、非常に興味が持てます。
せめて高校生時代くらいに、こんな風に語られる歴史の授業を受けることができれば良かったのに
・・・と、今さらながらに思います。
それにしても私、鎌倉・室町時代のことって実のところ未だによくわかっていないような気がする・・・。
大河ドラマにもあまり出てこないですもんね・・・。
もっと学ぶべきことはいくらでもある、ということを再認識しただけでも意義がある。
「父が子に語る日本史」小島毅 ちくま文庫
満足度★★★.5