映画と本の『たんぽぽ館』

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イエスタデイ

2019年10月20日 | 映画(あ行)

ビートルズ愛!!

* * * * * * * * * * * *

イギリスの小さな海辺の町で暮らす、シンガーソングライターのジャック・マリク(ヒメーシュ・パテル)。
幼なじみで親友のエリー(リリー・ジェームズ)がマネージャーを務め、
いつも寄り添っていてくれるものの、全く売れません。

 

そんなある日、世界的規模の停電が発生。
そのときジャックは交通事故に遭い、昏睡状態となります。
そして目覚めてみればなんと、誰もビートルズを知らない。
そこは「ザ・ビートルズ」が存在しない世界となっていたのです。

ジャックが自作のふりをしてビートルズのナンバーを歌い始めると、
みるみるうちに評判を呼び、人気急上昇となっていきますが・・・。

 

実のところ、ビートルズの曲を絡めたコメディということで、
さほど期待していなかったのですが、これがなんとも素晴らしかった。

 

SFで言えばジャックは「多元宇宙」の別の世界に紛れ込んでしまったということなのでしょう。
でもそんな理屈はどうでもいいのです。
もしこの世界にビートルズがいなかったら・・・、
そして一人だけビートルズを知っている人がいたら・・・
というifの 世界がこんなにも面白いなんて。
流れる曲はみな聞き覚えのあるビートルズ、というのがいいですよねえ。
そしてジャックはこれでじゃんじゃん儲かる、と手放しで喜んじゃうような性格ではなくて、
心苦しくてしょうがないのです。
ビートルズの作品をネコババしたみたいな状況なのが。
このちょっと気弱でさえない感じが、親しみを呼ぶ。

 

そしてまたこれはラブストーリーでもあります。
こんなさえない男にエリーがなぜいつまでも付き添って励ましているのか、
そりゃー、一目瞭然之ことなのに、わかってないのですよねえ、
この朴念仁は。
このエリーの片思いの行く末も楽しみ。

 

それからまた、終盤に登場するある人物に、驚愕!! 
こんなこともありえるのか・・・。
なんだか泣けてしまいました。
それなら、このビートルズのいない世界も悪くはないのでは・・・と思えてきます。
マリクもそこから気持ちを切り替えていくわけですしね。

 

この世界はビートルズが存在しないだけでなく、他にもいろいろ、ないものがあるんですよ。
それを見つけていくのも、面白い。
マリクは実は気づいていないけれども、逆にこの世界にだけしかないものもあったのかも・・・。

 

ともあれ、ビートルズ愛に満ちた作品。
私はとても気に入りました。

<シネマフロンティアにて>

「イエスタデイ」

2019年/イギリス/117分

監督:ダニー・ボイル

出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ジョエル・フライ、エド・シーラン、ケイト・マッキノン

 

ビートルズ愛度★★★★★

満足度★★★★★



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