ビートルズ愛!!
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イギリスの小さな海辺の町で暮らす、シンガーソングライターのジャック・マリク(ヒメーシュ・パテル)。
幼なじみで親友のエリー(リリー・ジェームズ)がマネージャーを務め、
いつも寄り添っていてくれるものの、全く売れません。
そんなある日、世界的規模の停電が発生。
そのときジャックは交通事故に遭い、昏睡状態となります。
そして目覚めてみればなんと、誰もビートルズを知らない。
そこは「ザ・ビートルズ」が存在しない世界となっていたのです。
ジャックが自作のふりをしてビートルズのナンバーを歌い始めると、
みるみるうちに評判を呼び、人気急上昇となっていきますが・・・。
実のところ、ビートルズの曲を絡めたコメディということで、
さほど期待していなかったのですが、これがなんとも素晴らしかった。
SFで言えばジャックは「多元宇宙」の別の世界に紛れ込んでしまったということなのでしょう。
でもそんな理屈はどうでもいいのです。
もしこの世界にビートルズがいなかったら・・・、
そして一人だけビートルズを知っている人がいたら・・・
というifの 世界がこんなにも面白いなんて。
流れる曲はみな聞き覚えのあるビートルズ、というのがいいですよねえ。
そしてジャックはこれでじゃんじゃん儲かる、と手放しで喜んじゃうような性格ではなくて、
心苦しくてしょうがないのです。
ビートルズの作品をネコババしたみたいな状況なのが。
このちょっと気弱でさえない感じが、親しみを呼ぶ。
そしてまたこれはラブストーリーでもあります。
こんなさえない男にエリーがなぜいつまでも付き添って励ましているのか、
そりゃー、一目瞭然之ことなのに、わかってないのですよねえ、
この朴念仁は。
このエリーの片思いの行く末も楽しみ。
それからまた、終盤に登場するある人物に、驚愕!!
こんなこともありえるのか・・・。
なんだか泣けてしまいました。
それなら、このビートルズのいない世界も悪くはないのでは・・・と思えてきます。
マリクもそこから気持ちを切り替えていくわけですしね。
この世界はビートルズが存在しないだけでなく、他にもいろいろ、ないものがあるんですよ。
それを見つけていくのも、面白い。
マリクは実は気づいていないけれども、逆にこの世界にだけしかないものもあったのかも・・・。
ともあれ、ビートルズ愛に満ちた作品。
私はとても気に入りました。
<シネマフロンティアにて>
「イエスタデイ」
2019年/イギリス/117分
監督:ダニー・ボイル
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ジョエル・フライ、エド・シーラン、ケイト・マッキノン
ビートルズ愛度★★★★★
満足度★★★★★
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