昨日今日、高校演劇の講習会だった。山形県内すべての演劇部から330人もの部員たち、これが、演技基礎(3班)、演技応用(2班)、ジャズダンス(2班)、ヒップポップ、声楽、照明、衣装、舞台装置、殺陣の13のコースに分かれて作品作りに取り組んだ。
300人の高校生って言ったら、その体温だけだって相当なもんだけど、全部、演劇部員だからね、そりゃ、すごいよ。そのパワー!そのハイテンション!会場に入った瞬間から、挨拶合戦。『おはようございます!』の殴り込みなんだ。昨日の午前中から今日の午後の発表会まで、もう、完全に圧倒された。まあ、風邪が悪化して、鼻は出る、声は出ない、熱に震えるって最悪コンディションだったてこともあっけど、体調万全のいつもの年でも、あの若さの爆発には、あてられていた。そう、この講習会が終わると、何故か、不機嫌になっちまうんだな。
置農の生徒が引っ込み思案だからか、いやいや、そんなのは、もう昔の話し、今じゃダンスだって、前列中央で踊ってるし、コミカルに笑いをとってる奴も少なくない。他校の生徒ととも、どんどん交流をして、友達の輪を広げてる。
じゃあ、中身が面白くないのか?とんでもない!どれもこれも、とてもとても、丸一日の成果とは思えない仕上がりなんだ。ダンスなんか、たった一日で、よくもまあ、って感じだし、コントも高校生のセンスてんこ盛りで実に面白い!照明や衣装の先生には、僕も毎年アドバイスをもらいに行く。今回も舞台の奥行きを深く見せる照明技術を教わった。あっ、菜の花座の次回公演チンドン芝居『おもかげチャンチキ』で使おうと思ってね。
部員にも問題ない、中身も満足、なのに、何故、鬱々と帰路に就くのか?
今回、その答えが見つかったんだ。9回目にしてやっと。それは、嫉妬・ヤキモチ、だったんだ。あの奔放自在なエネルギーの溢れかえり!途方もないハイテンション!底知れぬ記憶力!飛び跳ねる肉体!それを支える体力と気力!さらには、上手い下手を越えた目立つぞ精神!味噌糞ごちゃ混ぜ爆笑感覚!・・・
そんなはじける高校生達を、いかにも、大人然として、微笑みなど浮かべながら、見つめている僕たち教師。実は、心の底深く、こいつらやりたい放題やりやかって、見てろ、明日からまたしごいてやる!くそ、羨ましい!って感じてたんだよな。あるいは、若さの爆発だけで舞台が作れるか、なんて、必死で水差したりしてたのかもしれない。おっと、そいつは、僕だけの特殊事情だろうけど。だから、妬いてたんだよ、要するに彼らを。僕の中にもはや失われた数々。僕の中に足りないもろもろ。ああ、ちくしょー、良い物持ってやがるぅぅ!
いけねえ、いけねえ!なに高校生相手に気張ってんだよ。落ち着けおじさん!
でもなあ、たとえ高校生だろうと、表現者としては、対等だから。子どもだろうと、高校生だろうと、青年だろうと、中年だろうと、熟年だろうと、表現者なら、土俵は一つだ。そいつ忘れて上から見るようにはなりたくない。いやいや、そうじゃない。しょっちゅうそうなってるから、この講習会の後は不機嫌になっていたんだろう。そういうこった。今年が最後の講習会引率。少しは、素直に高校生にも自分にも目を見開くことができたってことだ。
忘れないようにしよう!表現者は、みな対等!なんだ。