おっと、9時回ったか。ほんじゃ出かけっか。
懐中電灯持って、長靴履いて、夜の散歩!風流だねぇ、って、違うって。田んぼの水を出しに行くのさ。
家から200メートルほど離れた源さんの田んぼ、地下水汲み上けだし、我が家だけのポンプなんで、欲しい時に必要なだけ出せる。朝だろうと、夜だろうとお好みしだい、恵まれてるねぇ。他の田んぼのように、流量気にしたり、一緒に水利用する人に気兼ねしたりする必要はない。
なのにどうして?9時から11時の間が水を出す時間って。
井戸水って冷たいだろ、11℃とかだしね、そんな冷水をもろ浴びる水口の苗は辛いのさ。いっつもブルブル震えてて、温かい水でぬくぬくと育つ暇がない。せめて、日の当たる時間帯とそのぬくもりが残っている間は、そっとしておいてあげたいと思ってさ。ただ、水持ちがあまりよくないザル田なんで、満水にしても1日で抜けてなくなる。と、なると、早朝には田を満たしておかにゃならんわけさ。夕方出して、早朝止める、でもいいにはいいんだが、それだと多すぎる。冷や水あたりの時間も多くなる。助けてくれよぉ、って苗の悲鳴も聞こえてくるじゃないか。必要最小量の出水に留めたい。
ってことで、水を出すのは、夜間9時から11時の間。夕方見回りして、水の残り具合を確認し、その夜の出動時間を決める。
なんとも妖しいオッサンの夜間散歩だが、ここらじゃ通行人はもちろん、車だって1台通るかどうかなんで通報される恐れもない。誰も見ていないのをいいことに、畔に上がって苗の様子を眺めたりする。おお、頑張って寒さに耐えているな!とか、水出すから冷たくなるが我慢しろよ!なんて声かけながら、ポンプ小屋に向かう。
スイッチを入れて、ポンプが威勢よく水をくみ上げるのを確認して、夜回り完了だ。
さっ帰って、プライムビデオでも見ようかな。今日は、疲れて頭パンパンだから、アクション映画だな、なんてね。