アヴェ・マリア!
良心および強制に関する一般的考察
ある人に自らの良心に反して行動するよう強制すること、あるいは自らの良心に従って行動するのを妨げることは、即その人の良心を侵すことになるでしょうか。法律上の強制についてはどう考えるべきでしょうか。
◆ 一般的に言って、法律上の強制については、内的行為と外的行為、それに私的行為と公的行為とを区別する必要があります。純粋に内的な行為は、本性上一切の強制から免れ、このため私たちの考察の対象となりません。これに対し、私たちが着目するのは内的である(霊魂の諸行為)と同時に外的である(身体の諸行為)「混合的」な行為です。
私的な行為は、それ自体の性質として法的な強制から免れますが、有害な社会的影響を生む場合はこのかぎりではありません。例えば、
--無責任な両親によって子供に加えられる虐待行為
--秘密結社ないしは、共通善(皆にとっての善のこと)の転覆を図るその他の結社の私的な会合
公的行為は、その反対に、これが共通善に動揺をきたす場合、法律上の強制の直接的影響下に入ります。
◆ 誰かが自らの良心に従って行動するのを妨げることは、もしそれがこの人にとっての善、あるいは共通善のためになるならば、無論正当です。
-誰かが自殺するのを妨げることは、愛徳の行為かつ義務でさえあります。
-公的権力が麻薬もしくは扇動的ないし不道徳な言説が広がるのを妨げることは、共通善に対する正義の義務です。そして、これは当の害悪を持ち来たらす者たちがどれほど、かかる所行を自らの正しい権利に属するものと確信していようと、同じことです。
◆ 誰かをその良心に反して行動するよう強制することは、はたして認められるでしょうか。この問題を考えるにあたっては2つの場合を区別する必要があります。
自らの過失によって誤っている良心の場合: 当人に彼の義務を思い起こさせた後、それを果たすよう強制することは許されます。例えば、
--私的な次元では、生徒が勉強するよう強制すること
--社会的次元では、一家の家長が自分の子どもたちを養育するよう強制すること、また納入業者に契約を遵守するよう強制すること
自らの過失によらず誤っている良心の場合: 自らの過失によらずして誤っているに反して行動することは、罪を犯すことになります。したがって、誰かをそのような良心に反して行動させることは、他者が罪を犯すのに協力することになります。しかし、ここでも2つの場合を区別しなければなりません。
--確かに、他人の罪に形相的に協力すること(すなわち、他者から当人の意志に反した強要的行為それ自体を直接的に望み、引き出そうとすること)は決して許されません。このようにすれば、愛徳に反する過ちを犯すこととなるでしょう。
--しかし、他人の罪に質量的に協力することは許されます。すなわち、これはある人が、最初はするのを望んでいなかった行為を自発的に為すことを望みつつ、場合によっては行為を妨げないことを意味します。無論、この際にも、当の協力が遠隔的で、このように行動するのに見合うだけの重大な理由がなければなりません。精神的強制のみが用いられる場合-例えば社会生活上の一定の差別-は、当の協力は充分遠隔的なものと言えます。さらに、具体的状況から判断して、大部分の頑強に心を改めようとしない者たちの誠意ある(知的ないしは道徳的)「改心」が期待でき、また単なる説得によってはこれほど大規模な改心が得られないと思われる場合、かかる強制を行使するのに見合うだけの充分な理由があると考えられます。
具体的な適用の例: 政府が自然な秩序を復興させようと図っている国において一夫多妻制もしくは離婚根絶を目指す場合。
結論: 人の良心に強制を加えることは、常に良心を侵すことを意味するわけではありません。それは事実からほど遠いことです。しかし、このことをよく理解するためには、倫理神学が注意して区別していることに注目しなくてはいけません。
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