アヴェ・マリア!
愛する兄弟姉妹の皆様、
極東の島国日本では、1597年長崎にて日本二十六聖殉教者の壮烈な殉教に始まって、来年列福されるはずのテクラ橋本などが殉教した1619年10月の京都における元和キリシタン殉教など、厳しく残酷な迫害の時代がありました。
丁度、時を同じゅうして、欧州大陸、西端に位置する島国英国では、ヘンリー八世から始まるイギリスの離教により、厳しいカトリック迫害の時代を体験していました。多くのカトリック司祭、信徒らが拷問を受け、処刑されていき、教会、修道院は没収され、聖画などはカトリック的であるという理由で破壊され尽くされました。
さて、2001年11月のものですが、ウィリアムソン司教様のお手紙をご紹介します。
さて、このお手紙の要旨は、次にある通り、イギリスの有名な作家シェイクスピアについてです。
+ + +
【お手紙の要旨:訳編 トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)】
シェイクスピア、ありがとう Thank you, Shakespeare
最近ドイツの Hildegard Hammerschmidt-Hummel女史が、シェイクスピアが実はカトリック信者であったことを実証する本を発表しました。【註:この本は最近英語に訳されたそうです。】
ウイリアム・シェイクスピア(1564-1616)は、英国の産んだ最高の文学、世界的な劇作家ですが、彼はプロテスタントのエリザベス女王時代に活躍していました。エリザベス1世女王とジェイムス1世とはついに英国をローマから離れさせ、世界史に大きな影響を与えました。シェイクスピアの時代にイギリスは離教の真っ最中だったのです。イギリスの霊魂たち(イギリス人ら)はこの霊的な大震災に見舞われたのです。この苦悩をシェイクスピアはハムレットの中で表しています。
シェイクスピアはその劇と生活の中で自分のカトリック信仰をうまく隠し、殉教を逃れました。シェイクスピアの両親も妻も娘も俳優たちもカトリックでした。Hildegard Hammerschmidt-Hummel女史の「シェイクスピアの隠れた存在」は、シェイクスピアがカトリックであったことを指し示しています。例えば、シェイクスピア所有の1608年の花の絵はレントゲンでみると聖母子と聖ヨハネが隠されていたり、英国で恐ろしい迫害の嵐が起こっていた年には、ローマのイギリス人神学校を訪問していたりしていたことを指摘しています。シェイクスピアの劇は37あるいは38作ありますが、その中ではロンドンの名前が60回出てくるだけですが、ローマは290回も出てきます!
ところで、シェイクスピアを現代に移すと「ハムレット」が現代人の霊魂を預言しているように思えます。ハムレットの有名な苦悩「生きるべきか、死ぬべきか」「そうあるべきか、そうでないべきか」は、カトリックと現代との相克を表しているようです。
デンマークの王子ハムレットは、実は隠れカトリックであったシェイクスピアのことだったのです。そして現代に生きる霊的な青年たちのことだったのです。
「ハムレット」の筋
1 ハムレットは正統なデンマーク王位継承権のあるデンマークの王子。
2 しかし彼の悪しき叔父は、王である父を殺害し、近親相姦の罪を犯して王女である母と婚姻し王座を横領した。
3 ハムレットは自宅で追放の身であり、全くの孤独の身となった。自殺さえも考えた。
4 彼はついに戦いを挑む。叔父は抵抗する。流血の戦いとなる。
5 ハムレットは退廃するデンマークを救うために叔父に抵抗する権利がある。しかし、抵抗すると、デンマークが流血の惨事となってしまうので抵抗することはまちがっている。「そうあるべきか、そうでないべきか?」
さてシェイクスピアの場合はこうです。
1 シェイクスピアはカトリックであり、カトリック英国の正統な後継者。
2 しかし異端者のプロテスタントが英国のカトリック教会を殺害し、カトリック教会を近親相姦的に英国教会としてしまった。
3 シェイクスピア自分の故国で異邦人となる。カトリック英国は退廃している。彼の周りの人々はほとんど全てが背教している。シェイクスピアはほとんど絶望しかける。
4 シェイクスピアの少ないカトリックの友人たちは抵抗を試み(例えばthe Gunpowder Plot (1605)など)、プロテスタントは彼らを皆殺しにする。
5 シェイクスピアは、イギリスを退廃させている異端者たちに戦いを挑むことを夢見る権利がある。しかしそうすることはまちがっている。「そうあるべきか、そうでないべきか?」
現代人の場合
1 人間は「行って全世界に教えよ」と言った私たちの主イエズス・キリストの御托身の後、キリスト教世界を相続する権利がある。
2 しかし現代世界は、キリスト教世界をほぼ消滅させ、近親相姦的に世俗の人間中心主義に取り替えてしまいました。人類は深く退廃している。
3 霊的な青年たちは自分が孤独であるのを感じている。この世界では、生きていくことができない。ロック音楽、麻薬、不潔、等。
4 彼はこの世界に戦いを挑む。しかしこの世界はこのような青年に抵抗する。しかし、彼はつぶされてしまう。
5 彼は、人間中心主義の世界に抵抗する権利がある。しかし、抵抗するのはまちがっている(全く無駄だから)。「そうあるべきか、そうでないべきか?」
ハムレットを読むと、暗闇の中にいる英国のカトリックたちの苦悩が分かります。また霊的暗闇にいる霊魂たちの苦悩が分かります。シェイクスピアはカトリックだったからこそ、このことが分かったのです。
ありがとうシェイクスピア、ありがとう、天主の御摂理よ! 天主の富と上智と知識の深さよ、その裁きははかれず、その道は極めがたい!
+ リチャード ウィリアムソン
ウィリアムソン司教様のブログは、以下の通りです。
Dinoscopus A collection of weekly columns by Bp Richard Williamson, of the Society of St Pius X
ウィリアムソン司教様のお手紙の一部はインターネットで読むことが出来ます。
Bishop Williamson's Letters
ウィリアムソン司教様のお手紙が書籍になっています。くわしくは次をご覧下さい。
True Restoration Press
Volume I: The Ridgefield Letters
From "The Nine" to the Episcopal Consecrations of 1988 (May 1983 - July 1988)
Rev. Richard Williamson, With an introduction by Dr. Peter Chojnowski
Volume IV: The Winona Letters, Part III
From Defending the Family to Persevering in Truth (January 2000 - August 2003) as well as some other writings through 2006
Rt. Rev. Richard Williamson, With an introduction by Fr. Lawrence Smith
TO BE OR NOT TO BE
A Catholic Opinion On Hamlet Summary of a conference given by Bishop Williamson to the teachers of Holy Family School (Levis) on February 23, 2002. By Jean-Claude Dupuis.
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極東の島国日本では、1597年長崎にて日本二十六聖殉教者の壮烈な殉教に始まって、来年列福されるはずのテクラ橋本などが殉教した1619年10月の京都における元和キリシタン殉教など、厳しく残酷な迫害の時代がありました。
丁度、時を同じゅうして、欧州大陸、西端に位置する島国英国では、ヘンリー八世から始まるイギリスの離教により、厳しいカトリック迫害の時代を体験していました。多くのカトリック司祭、信徒らが拷問を受け、処刑されていき、教会、修道院は没収され、聖画などはカトリック的であるという理由で破壊され尽くされました。
さて、2001年11月のものですが、ウィリアムソン司教様のお手紙をご紹介します。
さて、このお手紙の要旨は、次にある通り、イギリスの有名な作家シェイクスピアについてです。
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【お手紙の要旨:訳編 トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)】
シェイクスピア、ありがとう Thank you, Shakespeare
最近ドイツの Hildegard Hammerschmidt-Hummel女史が、シェイクスピアが実はカトリック信者であったことを実証する本を発表しました。【註:この本は最近英語に訳されたそうです。】
ウイリアム・シェイクスピア(1564-1616)は、英国の産んだ最高の文学、世界的な劇作家ですが、彼はプロテスタントのエリザベス女王時代に活躍していました。エリザベス1世女王とジェイムス1世とはついに英国をローマから離れさせ、世界史に大きな影響を与えました。シェイクスピアの時代にイギリスは離教の真っ最中だったのです。イギリスの霊魂たち(イギリス人ら)はこの霊的な大震災に見舞われたのです。この苦悩をシェイクスピアはハムレットの中で表しています。
シェイクスピアはその劇と生活の中で自分のカトリック信仰をうまく隠し、殉教を逃れました。シェイクスピアの両親も妻も娘も俳優たちもカトリックでした。Hildegard Hammerschmidt-Hummel女史の「シェイクスピアの隠れた存在」は、シェイクスピアがカトリックであったことを指し示しています。例えば、シェイクスピア所有の1608年の花の絵はレントゲンでみると聖母子と聖ヨハネが隠されていたり、英国で恐ろしい迫害の嵐が起こっていた年には、ローマのイギリス人神学校を訪問していたりしていたことを指摘しています。シェイクスピアの劇は37あるいは38作ありますが、その中ではロンドンの名前が60回出てくるだけですが、ローマは290回も出てきます!
ところで、シェイクスピアを現代に移すと「ハムレット」が現代人の霊魂を預言しているように思えます。ハムレットの有名な苦悩「生きるべきか、死ぬべきか」「そうあるべきか、そうでないべきか」は、カトリックと現代との相克を表しているようです。
デンマークの王子ハムレットは、実は隠れカトリックであったシェイクスピアのことだったのです。そして現代に生きる霊的な青年たちのことだったのです。
「ハムレット」の筋
1 ハムレットは正統なデンマーク王位継承権のあるデンマークの王子。
2 しかし彼の悪しき叔父は、王である父を殺害し、近親相姦の罪を犯して王女である母と婚姻し王座を横領した。
3 ハムレットは自宅で追放の身であり、全くの孤独の身となった。自殺さえも考えた。
4 彼はついに戦いを挑む。叔父は抵抗する。流血の戦いとなる。
5 ハムレットは退廃するデンマークを救うために叔父に抵抗する権利がある。しかし、抵抗すると、デンマークが流血の惨事となってしまうので抵抗することはまちがっている。「そうあるべきか、そうでないべきか?」
さてシェイクスピアの場合はこうです。
1 シェイクスピアはカトリックであり、カトリック英国の正統な後継者。
2 しかし異端者のプロテスタントが英国のカトリック教会を殺害し、カトリック教会を近親相姦的に英国教会としてしまった。
3 シェイクスピア自分の故国で異邦人となる。カトリック英国は退廃している。彼の周りの人々はほとんど全てが背教している。シェイクスピアはほとんど絶望しかける。
4 シェイクスピアの少ないカトリックの友人たちは抵抗を試み(例えばthe Gunpowder Plot (1605)など)、プロテスタントは彼らを皆殺しにする。
5 シェイクスピアは、イギリスを退廃させている異端者たちに戦いを挑むことを夢見る権利がある。しかしそうすることはまちがっている。「そうあるべきか、そうでないべきか?」
現代人の場合
1 人間は「行って全世界に教えよ」と言った私たちの主イエズス・キリストの御托身の後、キリスト教世界を相続する権利がある。
2 しかし現代世界は、キリスト教世界をほぼ消滅させ、近親相姦的に世俗の人間中心主義に取り替えてしまいました。人類は深く退廃している。
3 霊的な青年たちは自分が孤独であるのを感じている。この世界では、生きていくことができない。ロック音楽、麻薬、不潔、等。
4 彼はこの世界に戦いを挑む。しかしこの世界はこのような青年に抵抗する。しかし、彼はつぶされてしまう。
5 彼は、人間中心主義の世界に抵抗する権利がある。しかし、抵抗するのはまちがっている(全く無駄だから)。「そうあるべきか、そうでないべきか?」
ハムレットを読むと、暗闇の中にいる英国のカトリックたちの苦悩が分かります。また霊的暗闇にいる霊魂たちの苦悩が分かります。シェイクスピアはカトリックだったからこそ、このことが分かったのです。
ありがとうシェイクスピア、ありがとう、天主の御摂理よ! 天主の富と上智と知識の深さよ、その裁きははかれず、その道は極めがたい!
+ リチャード ウィリアムソン
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Bishop Williamson's Letters
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True Restoration Press
Volume I: The Ridgefield Letters
From "The Nine" to the Episcopal Consecrations of 1988 (May 1983 - July 1988)
Rev. Richard Williamson, With an introduction by Dr. Peter Chojnowski
Volume IV: The Winona Letters, Part III
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Rt. Rev. Richard Williamson, With an introduction by Fr. Lawrence Smith
TO BE OR NOT TO BE
A Catholic Opinion On Hamlet Summary of a conference given by Bishop Williamson to the teachers of Holy Family School (Levis) on February 23, 2002. By Jean-Claude Dupuis.
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