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皇帝の新しい旗

2009年06月07日 | トマス小野田神父(SSPX)のひとり言
アヴェ・マリア!

愛する兄弟姉妹の皆様、

 有名なアンデルセンの童話がありますね。日本では普通、『裸の王様』と言われていますが、その直訳は『皇帝の新しい服』と言います。そこで私は「服」を「旗」に取り替えて似た話を考えてみました。

 新しいものが大好きな皇帝のもとに、何人かの詐欺師がやってきます。一人は、もし正確に名前を聴きとったなら、カーブ・ランナー、もう一人はイブス・コンガーリ、またウォーター・カストールなどという名前でした。まだまだいましたが名前は覚えきれません。

 詐欺師らは皇帝に、自分たちは帝国の昔の旗を新しい旗に変える必要があると言います。昔ながらの旗はそのままで、ただ現代人に合う旗を作ってみよう、新しい御旗は義務化しない、昔のと同じ意味だ、ただ現代人のメンタリティーに合わせて作ってみるすることができると言いました。Googleのロゴだって、時には変わるが、同じGoogleだ、人々はロゴではなくサービスを求めている、旗もデザインではなく内容だ、と口説いたそうです。

 ただ付け加えて、新しい御旗は特別で、皇帝に逆らう心を持っている人には違う意味に取れ、正しく理解できない、と詐欺のデザイナーたちは言いました。

 そこで新しいアイデアに従って、旗のデザインが変えられました。今までは旗に十字架のデザインがありましたが、カトリックではない人々を傷つけないように、仏教の卍型のようにしました。(ナチスの逆卍ではありません!)赤十字のしるしもこの頃は変わったからと言って、卍には、はい上るヘビも付け加えました。

 十字架の上にはイエズス・キリストがかかって描かれてましたが、これからは磔られた姿ではなく万歳をしている復活の姿になります。

 今まではラテン語で、周りに信仰、希望、愛と書かれていましたが、詐欺師たちはラテン語は誰も分からないからと帝国の国語で、自由、平等、博愛と書きました。帝国の臣民たちは、少数の例外を除くと、意味が変わったことに気がつかず、ラテン語でないことだけに注意が向けられるだけでしょう。

 旗の生地はまっ白でしたが、青、黄色、赤と三色にしました。なぜなら他の共和国の旗がそうだから、それにならって三形色にしたそうです。しかし一般には、ノエの子孫らを代表し、青は白人、黄色は黄色人種、赤は肌の色が濃い人々を象徴すると言われていました。

 他の国の旗には月が描かれているのもあるので、カーブ・ランナーの提案で、三日月が付け加えられました。

 別のウォーター・カストールの考えで、帝国内の労働者のしるしにサンダルも描かれました。これは俗に「阿倍野55の提案」と言われているそうですが、詳しいことはよく分かりません。

 新しい旗の余白には、自由にどんなデザインでも好きに入れて良いことになりました。他国との対話と多様性の豊かさと建築的世界、開かれた心を象徴するためだそうです。これはイブス・コンガーリの考えです。そのために、今まで描かれていた聖母マリア様の姿は消えることになりました。

 新しいデザインを見て、皇帝は少し不安になったようでしたが、旗を現代化する(イタリアの言葉でアジョルナメントとも言われていました)ことにとらわれていたようです。どっちみち、旗は義務化されないので、帝国が世界中の国から理解されて愛されるために、皇帝としては旗をどうしても新しいデザインにしたかったと思われます。

 皇帝の大臣の中には、例えばオクタビスルノ大臣のように反対する者もありました。ルーブル大臣も反対意見でした。特に、シンボルが変わり意味も変わってしまうと主張していました。

 しかし、皇帝がこれでも良いとしてしまい、デザイナーらの主張によると皇帝に逆らう人は正しい理解が出来ない不思議のデザインだというので、人々はおかしく見えてはならないと信じてしまいました。

 こうして華々しく、帝国の御旗は認可され、デビューしました。第二帝国旗時代が始まったのです。帝国は、ますます栄え、臣民は豊かになり、春のような開花の時代が来るだろうと噂されました。

(続く)


天主様の祝福が愛する兄弟姉妹の皆様の上に豊かにありますように!

トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)

--このブログを聖マリアの汚れなき御心に捧げます--

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