アヴェ・マリア!
愛する兄弟姉妹の皆様、
緊急避妊薬「ノルレボ錠 0.75mg」の医薬品製造販売承認に関するパブリックコメント(意見募集)に対して、日本カトリック司教協議会常任司教委員会は、12月2日、意見公募に応じ、意見表明を行いました。
この緊急避妊薬「ノルレボ錠 0.75mg」は、日本国内での初めてのいわゆる緊急避妊ピル(モーニング・アフター・ピル)になります。
緊急避妊ピルは、排卵抑制や受精阻害作用だけでなく、子宮内膜に作用し受精卵を着床しにくくしたり、着床直後に着床が十分に完成する前に受精卵 を流産させる極早期化学的中絶作用をもち、つまり、積極的な中絶を目指しており、カトリック教会として道徳的に認められません。
意見表明は、カトリック教会の教えに基づいて、緊急避妊薬「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に反対します。
この意見書は、とくに次の3点を指摘しています。
- 緊急避妊薬は積極的な中絶を目指している。
- 人工妊娠中絶は理性に従っても人間の生命尊重の義務に反する。人間は受精の瞬間から尊重すべきである。受精した可能性がある胚の着床を阻止するための緊急避妊薬は中絶であることが明らかである。
- 「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に反対し、医薬品製造販売承認が行われた場合は、その使用を避けることを呼びかける。
詳しくは、次をご覧下さい。緊急避妊薬「ノルレボ錠 0.75mg」は、私たちカトリックの教えと道徳に反するものです。私たちは、「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に反対します。
「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に関する意見
厚生労働省医薬食品局審査管理課 殿
「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に関する意見
わたしたちは「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認に反対します。理由は次のとおりです。
- このほど医薬品製造販売承認申請が行われた「ノルレボ錠0.75mg」は、「避妊に失敗した場合等に性交後に服用する避妊薬で、 「緊急避妊」という効能・効果が期待されている」とされています。今回の医薬品製造販売承認により、日本国内でいわゆる緊急避妊ピル(モーニングアフター ピル)が初めて承認されることになります。緊急避妊ピルは、排卵抑制や受精阻害作用だけでなく、子宮内膜に作用し受精卵を着床しにくくしたり、着床直後に 着床が十分に完成する前に受精卵を流産させる極早期化学的中絶作用をもつとされます。したがって、その服用は積極的な中絶を目指しており、道徳的に認めら れません。
- カトリック教会は早くから人工妊娠中絶に反対してきました。人工妊娠中絶は人間の生命尊重の義務に反しますが、「人間の生命を尊重することは、単にキリスト者としての義務にとどまらない。人間理性のみで・・・・その義務を人に課すことが十分できる」(注1)ものです。ところで、「受精によって生じた接合子において、新しい個人の生物学上のアイデンティティーはすでに形成されている」ので、「人間は、受精の瞬間から人間として尊重され、扱われるべきである」(注2)と わたしたちは考えます。緊急避妊薬に関しては「受精した可能性がある胚の着床を阻止しようと望み、この薬や処方を要求する者は一般的にいって中絶を意図し ているということを認識しなければなりません。・・・・除胎剤使用により実際に起こっているのは着床したばかりの胚の中絶です」(注3)。
- したがって、わたしたちは日本国内で今回新たに「ノルレボ錠0.75mg」の医薬品製造販売承認が行われることに反対するとともに、その医薬品製造販売承認が行われた場合は、その使用を避けることを多くの善意の人に呼びかけたいと思います。
2010年12月2日
日本カトリック司教協議会常任司教委員会
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注
(1)教皇庁教理聖省『堕胎に関する教理聖省の宣言(1974年11月18日)』8。
(2)教皇庁教理省『生命のはじまりに関する教書(1987年2月22日)』1・1。
(3)同『人格の尊厳――生命倫理のいくつかの問題について(2008年9月8日)』23。