酷暑真っ最中の去る5日、来年の大河ドラマ「軍師 黒田官兵衛」の主人公岡田准一さんが、博多区の官兵衛の墓所、崇福禅寺を訪れました。
そして今日、新たな主要な出演者の発表がありました。織田信長を江口洋介さん、秀吉を竹中直人さんが演じるそうで、なかなか面白くなりそうです。
岡田さんは、もともと歴史好きで、今は官兵衛関連の本を読みあさっているとのことで、どんな本か興味津々。
官兵衛は福岡藩祖。身近な題材だけに、ただ眺めているだけでは・・・と思い、ドラマのことが発表になるや、いろいろな作家の本を読んで官兵衛を立体的に見ようを思いました。
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◆ 葉室麟 『風の軍師 黒田官兵衛 』 官兵衛はキリシタンでもあり、その動きの背後にはイエズス会があり、インドのゴア、ルネサンス後期のイタリアまでが出てきて世界史的な規模の広がりを見せてくれます。
秀吉のキリシタン弾圧に「太閤謀殺」を目論んだり、キリシタンの自由の国を九州に作るべく挙兵をしたりという、今までにない斬新な官兵衛が書かれています。
資料が残っていないというだけで、もしかしたらこんなのもありかな…と思ってしまうストーリーです。
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戦国時代秀吉のもとにいた「二兵衛」、つまり「竹中半兵衛」と「黒田官兵衛」の名軍師としての生きざまを書いた本です。
◆ 火坂雅志 『軍師の門 上』 竹中半兵衛の知略で、秀吉が信長に認められていく様子、半兵衛と官兵衛の絆、説得に行った荒木村重に官兵衛が幽閉され過酷な地下牢生活を送るところが書かれています
◆ 火坂雅志 『軍師の門 下』 官兵衛の稀代の知略謀略に秀吉は絶大な信頼を置く一方、自分の権力を脅かしかねない官兵衛を次第に遠ざけていくところが書かれています。官兵衛は信義を重んじ、その人柄から敵からも家来からも信頼されます。
官兵衛の幽閉を敵方に寝返ったと勘違いした信長は、子の松寿丸(後の長政 )の打ち首を命じますが、半兵衛の機転でひそかに隠され生かされます。
のちに事実がわかると「官兵衛に対面すべき面目なし」と信長にいわせて、長政は官兵衛のもとに返されるという感動の場面もあります。
竹中半兵衛がいなかったら、黒田藩はなかった・・・ということになります。
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これは前に読んだ事がありますが、地名、人名、人物相関図が複雑です。火坂氏の2冊の本で歴史の流れを確認した後、もう一度この4冊をじっくり読み直しました。
◆ 司馬遼太郎 『播磨灘物語』 (一、二、三、四巻) やはり司馬氏の小説は重厚感があり、歯切れのいい文体でストーリーも軽快に進みます。感想は「以前のブログ」で書いていますが、今回でやっと内容の把握がしっかりできました。
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信長とは対照的な人格の官兵衛が、なぜ冷酷非道な人物像を持つ信長の配下に加わる事に奔走したのか・・・、その部分が気になって読みました。
◆ 辻邦生 『安土往還記』 信長の時代に渡来した外国人船員が、信長との交流の中でみた「大殿」の心と行動を、辻氏特有の美しい文体と表現で描いています。
『いかなる信仰も持たず、狂気のように、この世の道理を純粋にもとめ、自己に課した掟に一貫して忠実であろうとする』信長を肯定した見方で描いています。
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官兵衛はキリシタンですが、なぜ惹かれたのか・・・。その原点になる部分が出てこないかと読んでみました。
◆ ピーター・ミルワード 松本たま訳 『ザビエルのみた日本』