新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

伊集院静『ミチクサ先生』その⑤ 伊集院氏、くも膜下出血

2020年02月14日 | 本・新聞小説
伊集院静、くも膜下出血!先月半ば、このにニュースに「ええっ!」。執筆ばかりか多岐にわたる才能でテレビにもよく出演されていたのに。幸い手術は成功し、しばらくは療養されるということです。
連載小説「ミチクサ先生」はひとまず2月20日まで連載し、その後休載ということで、早く元気になって続きの執筆に入られることを望んでいます。
ということで、次は赤神諒「太陽の門」です。映画「カサブランカ」に着想を得て外国人が主人公。スペイン内戦の中、劣勢でも誇りを失わない市民が何を求めて戦っていたかに迫り、『日本人が謳歌してきた〈自由と民主主義〉のかけがえのない価値を、歴史を通じて見つめ直すささやかな試み』でもあると意欲的です。

赤神氏は日経小説大賞を受賞した新進気鋭の歴史小説家です。

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『ミチクサ先生』その⑤  (120~151回)
子規は進むべき道を見据え帝大をやめて新聞『日本』の記者になり、従軍記者として清国に渡ります。そこで軍医の森鴎外に出会い意気投合しました。
大学院へ進んだ漱石もその後四国松山に英語教師の職を得ます。清国から帰国した子規は病状が進み入院しますが小康を得て、松山の漱石と同じ家で生活することになりました。「愚陀仏庵」と名付けた部屋には沢山の俳句好きの友達が集まってきます。それまでと一変した騒々しいまるで戦場みたいな生活ですが、集まってくる人たちのこれまで見たことのない人間の創作の無垢な姿が嫌ではなくむしろ受け入れていました。こうして『漱石と子規が二人して過ごした最初で最後の「愚陀仏庵」での52日間』が始まりました。
子規も漱石も理想を求めてひたすら坂を上る強い意志は、この時代特有のものでしょうか。しだいに病状が悪化していく子規を漱石は胸を詰まらせながら見守ります。子規と漱石の心と心を交わす静かな友情、男の友情はそれだけで小説になります。

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