最近の大学は、学問をするだけの場所ではなく市民の憩いの場にもなっているようだ。
私は仕事の関係であちらこちらの大学を訪問するのだが、大学によっては確かにとってもリラックスできる雰囲気のところがあり、中途半端な公園よりもよっぽど環境に優れていることが少なくないのだ。
図書館はあるし、カフェもあるし、学食もあるし、トイレも奇麗だし、言うことなし。
清掃も行き届いている。
尤も、私立の大学には、
「部外者お断り」
という排他的なところも少なくなく、門をくぐって中に入るためには、
「こちらに訪問先と用件をお書きください」
と警察官みたいな格好をした警備員のおっさんに指示されることもある。
これじゃ民間企業だ。
こういう私大は本来の大学という意味を成しておらず、えてして「金持ちお坊ちゃま、お嬢ちゃま大学」や「こんな名前聞いたこともない」というところが少なくない。
形だけの大学だ。
たぶん、警備員を置いて威厳をつけているのだろう。
これと比較して国公立の大学はキャンパスへの人の出入りが自由自在。
建物に入るのは別として、門のところで警備員にとやかく言われた大学は皆無だ。
私の実家の近くには大阪府立大学があるのだが、ここはすっかり市民の憩いの場。
かつて私もジョギングを楽しむ場所にしていたことがあり、春夏秋冬、様々な草花を楽しむのにも不自由しない。
さらにさらに、橋下知事の「赤字の府立の大学は要るんかい」という、ともすれば売却される危機をもはらんでいるだけに、市民に向けたイベントも盛んで、市民講座は言うに及ばず、なぜか春には桜のライトアップまで演出して「桜宮」か「大阪城公園」か、と言うぐらい、美しい景色を楽しませてくれるのだ。
吹田の阪大も千里の山にあるからかどうか分からないが、春夏秋冬に見せる景観の変化は素晴らしく、「さすがEXPO70、万博会場の駐車場あと」と分けの分からない感動をしたりする。
新緑では杜の都。
仙台の東北大学のキャンパスが印象深かった。
そんなこんなであちこち行くけれども、やはりキャンパスの威厳では東京大学の本郷キャンパスは一味違うものがある。
歴史的建造物が建ち並び、春夏秋冬に木々が見せる景色は圧倒である。
そんな、東大本郷キャンパス。
今週初め、
「こんな夜になんで打合せやねん」
とブツブツ言いながら赤門をくぐり、とぼとぼと歩いていたら、突き当たりの建物がなぜかイルミネーションに輝いている。
「季節外れのクリスマスか」
と、常識はずれのイルミネーションかと思ったのだ。
なんといってもあらゆる意味で常識を超越した東京大学。
上はノーベル賞学者から下は汚職官僚まで、あらゆるジャンルの人々を排出している大学なので、ちょっとやそっとのことでは驚かないのだ。
半月遅れのクリスマスを楽しんでいてもなんら不思議ではない雰囲気を持っている。
よくよくみると「2011」なんて文字も見えているので季節外れのクリスマスイルミネーションではなさそうだ。
結構奇麗だしまあいいか。
私には関係のない建物なので「きっと学生の娯楽施設でもあるんやろ」と思って帰ってから調べて見ると、なんと「医学部2号館」。
医学部でなんでイルミネーションなのかわからないのだが、これも大学キャンパスの公園化のひとつなのだろうか。と思ったのであった。
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