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<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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私の人生はまさにチャランポラン。

最近特に感じるようになってきたのだが、人生というのは真面目に送らないほうがストレスも少なく楽しいのではないかと、思う。

若い頃は真面目に頑張ったのだが、真面目に頑張ったものほど悲惨な結果に終わったものが少なくない。
逆に不真面目、と言っては語弊はあるが、真面目に取り組まなかったものの方が成功することが多いのだ。

大学4年生の時に私も他の人達と同じように就職活動を展開した。
しかし、三流芸大生の私を「貰ってくれる」会社はなかなかなく、就職が決まらないまま卒業を迎えてしまった。
玩具店のバイト仲間のS君は早々に「イトマン」という総合商社に就職が決定。
「おれ商社マンや。世界をまたに掛けて働くで」
と自慢たらたら。
就職の決まっていない私を蔑むような目付きまでしたのでムカついた。
正直、悔しくはなかったがムカついたのだ。

なぜなら芸大生の私に商社マンになる気などさらさらなく、
「商社マンのどこがええねん。こんなやつそのうち出世街道から外れて系列の子会社で一生贈ることになったらええわ」
と思っていたら、神様にその祈りが通じたのかどうか数年後「イトマン」は会社ごと消滅。
S君のその後は杳として知れない。

で、私はというと大学時代のバイトをそのまま続けるのも格好が悪いので、建築設備関係の会社へバイトで入社。
半年一生懸命働いていたら、
「うちに来ないか」
と社長から誘われたので、そのままいつくことになった。
実にチャランポラン。

クリエティブな仕事を探していたのに建築設備の会社で働くことになったのだった。

しかしやってみれば建築の仕事も「クリエティブ」な仕事に変わりはない。
職人というアーティスト。
監督というデレクター。
設計事務所というプロデューサー。
お施主さんというパトロン。

なるほど、クリエイティブな世界とかわりはない。
が、このままであ不本意なので、仕事の合間を見て真剣に探した映像機器関係会社に真面目に就職しなおした。

ところが真面目に入った会社は驚くほど詰まらなく、建築設備会社の仕事のように「広大な現場」とは比較にならないちっぽけな仕事で阿呆らしくなって試用期間で辞めてしまった。

で、「もう一回、やとってくだはい」と恥を偲んで建築設備の会社に契約社員で戻った。
またまたチャランポラン。

それから数年、何度か真面目な入社と不真面目なバイトを繰り返したが、不真面目なバイトのほうが仕事が乗るので、いまさらながら「なんでやろ?」と思うのが不思議だ。

現職はちゃんと就職したのだが、面白くなってきたのは新規事業部隊に配転されたからで、暫く不貞腐れて好き勝手にやってたことが、ズンズン業績に反映されていくので次第に快感になった。
好き勝手、つまりチャランポラン。
難を言えば、収入が業績のようにズンズン進まず、チャランポランなのがいただけない。

土屋賢二と三浦勇夫の対談本『「ゆる人生」のススメ』(新講社刊)は正しくそのチャランポランを評価するお笑い対談。
哲学者と精神科医の会話というのはホントに恐ろしく、笑わせてくれる。
現代派ストレス社会などと言われるけれども、あまりに真剣に取り組むと、ことが成功しないばかりか病気になってしまうという怖いこともあるようで、例えば三浦先生の患者に対する発言はある意味勇気がいるものの、「真面目な人ほど鬱になる」というような現実がある限り、真面目な相談をしに来た人を茶化して笑わすのは重要かも分からない。

ツチケンエッセイはそれなりに楽しく、新刊が発行されるたびに購入しているのだが、私にとって取っつきにくい対談ものもツチケンものであれば楽しく読了できて、価値ある一冊だ。


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