萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:落水凍る

2015-02-20 21:00:00 | 写真:山岳点景
一滴の凍結



山岳点景:落水凍る

川の崖、沁み出る水も細い滝も凍ります。
三十槌の滝@埼玉県秩父にて、この日は小雪が舞いました。

滝の写真 P.3ブログトーナメント

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚338

2015-02-20 16:44:01 | 雑談寓話
事業年度も切り替わって繁忙期が終わる4月下旬、
花サンと約束していた雪山ハイク&温泉に行ったんだけど、真白な世界で花サンが深呼吸して笑って言った、

「やっぱ来てよかったーホント言うとキャンセルするか悩んでたんだよ?彼があれこれウルサイからケンカして面倒くさくなって、でも来てよかった、」

やっぱ御曹司クン登場するんだな?
なんて思いながらコンナ事態に呆れて、そんな内心を知ってか知らずか花サンは堰が切れたみたいに話し始めた、

「トモさんと泊りで山行くことアレコレ言ってうるさかったの、俺とは一緒に行かないクセにナンデだよーって拗ねて、長ーいメール送りつけるし、電話かけてくるクセにぶすっとしてずーーっっと黙ってるし…もう何したいのか全く解らない、あの人ホント言葉通じないよ?どうやってトモさん」

だーっと言って、ちょっと停まって、
どうしたのかなって見たら彼女は困ったような悔しいような貌で笑った、

「でも、トモさんは彼と会話できるでしょ?なんで私は無理なのかなーって…なにも彼のこと解んないよ、トモさんは解るのになんで?」

相手が解らない、
ソウイウコトは珍しい事じゃないだろう、でも特定されるアタリ笑った、

「花サン、前に訊いたことはしてみた?笑」
「訊いたこと?」

なんだろう?
そんな貌で見るからもう答え聴かなくても解る気がした、
きっとナニもやってみていない、そんな貌に困りながら笑いかけた、

「いちばん好きな場所とか好きな本とか、御曹司クンの好きなモノを知ろうとした?男が男を恋するってトコは知りたくないだろうけどね、笑」

相手を知ろうとするってコトは信頼関係の基本だ、
それを解っているんだろうかって心配に彼女は言った、

「相手を解からないとコッチのことも解ってもらえないってこと?」
「だよ、でなきゃ今日の事だって認め難くて当り前だろ、笑」

笑いかけながら雪の山里、ホント世話焼けるなって可笑しかった、
御曹司クンもろとも彼女も我儘ってやつだろう?こんな事態に言ってみた、

「花サンが御曹司クンの男に恋する気持ちが解らないように、なんで花サンが山に登りたいのかイキナリ解れって言っても御曹司クンには難しいだろ?自分が理解して欲しいコトあるんなら、まず相手の何かイッコ理解してごらん?音楽の趣味でも好きな食べ物でも何でも良いから、イッコ共有できたら花サンの解ってほしいことも解ってもらえるんじゃないかな。笑いかけたら笑い返してくれるみたいに根、自分を変えると相手も変るって思うよ?」

雪の温泉地かたすみの山、銀色の斜面を歩きながら話しながら不思議だなって思った、
こんなふうに男ひとり挟んで彼女と対話する、その時間に彼女は言った、

「なんか私にはやっぱり難しいかも、甘ったれだもん…依存したいだけなのかなあ、」

ため息ひとつ白くなりながら笑ってくれる、
でもちょっと疲れたみたいな貌で、だから愉しいこと提案してみた、

「とりあえず今日は歩いて入って呑んで、いっぱい笑いなよ?うんと楽しんで余裕ちょっと作った方が良いよ、」

いま彼女に足りないのは余裕なんだろう、それも仕方ない、
だって職場でもプライベートでも御曹司クン=束縛気質かつ浮気性な関係相手がいたら当り前だ?

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第82話 誓文 act.7-side story「陽はまた昇る」

2015-02-18 22:25:05 | 陽はまた昇るside story
May teach you more of man, 銀嶺の哲人



第82話 誓文 act.7-side story「陽はまた昇る」

風が巻く。

ナイフリッジ駈けあがった風が雪舞いあげる。
白銀のかけら青にきらめいて昇らす、蒼穹へ雲また吐かれて流れゆく。
さらさら表層の雪が粒子ゆらして風紋を描かす、吐息も白く流れて英二は笑った。

「晴れたな、風怖いけど、」
「だね、壁登った後で良かったよ、」

澄んだテノールが銀嶺の尾根に笑う、その横顔は雪白あざやかに陽を映える。
かけたゴーグルに目の表情は見えなくて、けれど底抜けに明るいトーン笑って言った。

「黒木と原もナカナカ速いね、ドッチも口重たいし気が合うカンジだよ、」

さくり、ピッケル雪面に立て停まった後方を二人もやってくる。
身長差もあまりないウェア姿は歩調も合う、そんな先輩たちに訊いてみた。

「国村さん、原さんを七機に呼び戻すつもりですか?」
「逆もありだけどね、」

応えてくれるトーンは相変わらず明るい。
けれど去年よりどこか違う、その貫禄に笑いかけた。

「なんか小隊長ですね、国村さん、」
「ホントに小隊長だからね、ナンカってどういう意味だよ?」

からり笑って返してくれる声は愉快に澄む。
真青に風すこし強い尾根、山肌ゆるやかなポイントで率直に言った。

「なんか不思議だってことです、去年ここに一緒に登った時はベテラン山ヤで先輩だったけど、上司ってカンジじゃ無かったから、」

ここに昨冬も一緒に登った。
まだ雪山の経験が浅い自分をリードして教えてくれた、その人は可笑しそうに微笑んだ。

「あの頃も異動の話ホントは来てたよ、後藤さんが待ったをかけてたけどさ、」
「後藤さんもそれ言っていました、」

応えながら後続の二人が近づいてくる。
リズミカルな足取りは疲れを見せない、そんな同僚に山っ子は笑った。

「なんかイキイキしてるね黒木、やっぱ地元はイイかね、」
「はい、」

雪焼あわい顔ほころばせ大柄がふり返る。
がっしり骨太で引締まった体躯は山男の風格あかるい、その横顔が言った。

「北岳は特に好きなんです、哲人って綽名ありますけど物静かな空気が性に合うんだ、」

低い声が山風に透って明るい。
いつもは落着き過ぎなほど寡黙気味、けれど今は瑞々しい貌に笑いかけた。

「俺も北岳は好きです、一番かもしれません、」
「宮田もか、意外と気が合うな?」

応えてくれる顔はゴーグルで眼は見えない。
でも笑っている、そんな隣から先輩が尋ねた。

「国村さん、バットレスは今日一本で終わりですか?」
「だね、風ちっと出て来ちまったからさ。安全なトコでサッサと幕営するよ、原サンは雪掘り得意だったよね?」

澄んだテノール答えて先輩と歩きだす。
その背中が謳うよう楽しげでいる、こんな上司に地元っ子が訊いた。

「国村さんはホント疲れ知らずって感じだな、宮田いつもこのペースか?」
「はい、」

肯いた吐息が白い。
正午の気温いちばん高い時、けれど上がらない気温に尋ねた。

「黒木さん、この辺りが北岳草のポイントですか?」

ざぐり、雪の底アイゼン軋む感触は硬い。
この下は溶けない氷だろうか、そんな推定に先輩は肯いた。

「ここら辺だ、当たり年は真白に咲く。八本歯のコルが終わって高原になってすぐだ、」

告げられて鼓動そっと響きだす。
いま踏みしめる氷雪はるか花は眠る、咲く時どうか連れてきたい。
いま厳冬期2月の山は白銀に蒼く凍てつかす、けれど天空の花園に笑った。

「今も真白な花咲いていますね、」
「ふ、わりとロマンチストなこと言うな?」

愉快そうに笑ってくれるトーンが明るい。
その傍ら、チェーン繋いだ携帯電話だすとシャッター切った。

―見せてあげたいよ、周太?

想い見つめながら画像を確かめる。
いま白銀まとった冬の山、けれど花の居場所だけでも届けたい。
そんな願いごとポケットにまた仕舞って、歩きだした尾根はゴーグル透かして銀色まばゆい。

「みーやたっ、くろきー、遅れるなよっ」

凛と冴えた風にテノール透る。
呼びかけに手を振り答えて、共に歩きだして先輩が訊いた。

「なあ宮田、いつも国村さんと二人で登ってたんだろ?」
「はい、後藤さんと二人の時もありますけど、」
「そうか…」

雪踏みしめながら精悍な貌すこし考えだす。
こんな場所で何を考えてしまうのか?解かる気がして言った。

「黒木さん、北岳のひとを思い出してるんだろ?」

たぶん図星だろな?

『長い黒髪に白い肌が印象的でした、雪みたいに光ってみえるほど透けそうに白い…美人なんですけど無邪気な雰囲気で、なにか人間離れしていて、』

正月の御岳山、出張所で話してくれた舞台はこの山だ。
しかも「似ている」なら尚更だろう?だから尋ねた隣、低い声なおさら低く言った。

「…そのこと国村さんに言うなよ?ぜっ、ったいにだ、」

こんな言い方この人もするんだな?
可笑しくてつい笑った肩を軽く叩かれた。

「そんなに笑うな、イケメンの余裕ってムカつくぞ?」
「黒木さんこそイケメンです、前も言いましたよ?」

笑いながら銀嶺さくさく踏んでゆく、その感触にただ嬉しい。
頬なぶる薄い空気は凍えて、けれど愉しくて仕方ない時間に先輩が言った。

「三十路のオッサンをイケメンが褒めても嫌味だぞ、バレンタインも沢山もらったんだろ?」

その話題やっぱり振るんだ?ある意味で予想どおりに笑った。

「今年は身内の差入だけです、14日も勤務だったの黒木さん知ってるじゃないですか?」
「たしかにな、でも青梅署に着たって原が言ってたぞ?」

さらり言い返されて困らされる。
そんなこと何故また言ってくれるんだ?その背中を見ながら答えた。

「それは青梅署の救助隊に届いた物ですよ、俺は食べていませんし、」
「ファンレターは宮田メインらしいぞ、」

また言い返して雪軽やかに歩いてゆく。
その足取りに想いだして聴きたかったことを尋ねた。

「それより黒木さん、谷口さんとは親しいですか?」

谷口俊和、あの先輩だけは気になる。
それは嫉妬に近いのかもしれない?その本音に精悍な貌すこし傾げた。

「会えば話すってカンジだ、お互い七機が長いし一期違いだから気楽でな、」

なんで訊くのだろう?
そんな眼差しゴーグル透かす相手に訊いた。

「プライベートで一緒に登ることは無いんですか?」
「ない、谷口がプライベートもつきあうのは井川ぐらいだ、」

応えてくれる声が風にも透る。
吐息すぐ凍えて流れゆく、その青空に瞳細めながら尋ねた。

「谷口さんと井川さんは高卒と大卒で期は違うけど同じ齢ですよね、」
「ああ、地元もあいつら近いんだ。警視庁に入る前から知り合いらしいが、」

低い声が雪踏む音に重ならす。
ざくり、ざくり、硬雪を聴きながら先輩はこちら見た。

「宮田、ずいぶん谷口を気にするな?なんかあったのか、」

確かに気にし過ぎだろな?その等身大ありのまま笑った。

「気にしています、あの雪上技術を盗みたくて仕方ないんです。芦峅寺ガイドに憧れるから余計に負けたくありません、」

雪の奥多摩、稜線伝いに谷口は駈けて来た。
あのスピードにずっと嫉妬している、それくらい本当は羨ましい。

―芦峅寺ガイドの家が羨ましいんだ、俺とは違い過ぎて、

都心の高級住宅街と呼ばれる場所で自分は育った、それは羨ましがられることかもしれない。
すこし前まで自分もどこか自慢に驕って、けれど今は悔しい本音に先輩は笑った。

「意外と負けず嫌いだな、涼しい貌してるけど実はガッツくタイプだろ?」
「がっつかないと伸びませんから、」

さらり応えながら自分の肚底に可笑しい。
こんなに拘る理由なんか解っている、だって羨ましくて仕方ない。

―俺が生きたい世界の人なんだ、谷口さんは、

谷口は代々の芦峅寺ガイドに生まれた、それは山に生きる宿命と言って良い。
その宿命を自分こそほしくて足掻いている、山で生き続けることは自分にとって現実の夢だ。
現実だからこそ嫉妬して、叶わないとしても足掻いて、夢だからこそ今この雪嶺はきらめいて幻より光まばゆい。

「は…」

そっと笑って吐息が白く凍える、そして山の雲へ消えてゆく。
呼吸ごと雪嶺に融けてしまえたら幸せかもしれない、自分は。

『私には身分違いの不幸に思えるぞ?』

ほら祖父の声また映りこむ、あの言葉が何を意味するか解っている。
自分そっくりの祖父が言う「身分違い」それは自分が山を願うことすら当て嵌まる。

『この私が敵わないと思う唯ひとりの男がおまえの祖父だ、泥塗れの私だからこそ宮田君の清らかさは沁みる、』

泥塗れ、そう笑った貌は自分そっくりだった。
あの祖父と同じ貌でしかない自分、けれどもう一人の祖父とも似ていると信じたい。
だからこそ仰ぐ銀嶺は高潔まばゆくて沁みて、灼かれるほど憧れる白銀の世界に山ヤが笑った。

「宮田も変なヤツだな、」

これは褒め言葉だろう?その横顔へ笑い返した。

「黒木さんも変なヤツですよね、意外と可愛いし、」
「かわいい?俺が?」

確かめる真白な吐息が笑っている。
きっと初めて言われたろう?この沈着な男に思ったまま言った。

「可愛いですよ、上司に初恋かさねてトキメクって純情カワイイでしょう?」

こんな言われたこと一度も無かったろう?
そんな堅物で有名な男は呼吸ひとつ、真白なため息吐いた。

「おまえなあ…口止め料に何がほしいんだ?」

ほら、良いカードを手に入れたらしい?
こんなこと可笑しくてナイフリッジの風笑った。

「考えておきます、」



(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「The tables Turned」】

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山岳点景:冬、雪川で

2015-02-18 21:00:00 | 写真:山岳点景
水、雪、氷



山岳点景:冬、雪川で

戦場ヶ原@栃木県日光にて、雪ふる日です。
こういう場所では温度がいちばんのご馳走になります、笑

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚337

2015-02-18 01:42:00 | 雑談寓話
好き、を嫌いになることはある意味でダメージがデカい。

嫌いを好きになることは楽しいだろう、
でも好きなものを嫌いになるのは体力っていうかエネルギーが要る、

好きなモンを見る→愉しい楽しいで癒される

だから癒されるコトが減るワケで、
癒されツールが一個減るコトはエネルギー補填が一個分難しくなる。
そういうのは車でいえば車輪が一個動かなくなるようなモンで、イキオイあれこれ滞る。
だから好きなモンを嫌いになることはメンドクサイかつダメージでかい。

そういうのって例えばテレビに出ている俳優や芸能人ならチャンネル点けなければそれで済む、
それって、

俳優・芸能人=テレビの住人

っていう認識で今この自分がいる場所で生きている人だって感覚が希薄な所為で、
言い換えれば嫌いなマンガや本は開かなければ嫌な思いをしない、または世界に存在しないのと同じだってことで、
だから俳優やら芸能人やらが誰とつきあったとか破局とか性格悪いとかナントカある意味ドウでもいい、テレビを点けなきゃ無い存在だから。
それでも好きな俳優やら芸能人が出ていれば観たいし、そのとき映りこむ「嫌い」をどういうことにすればいいかは悩ましいけど、笑

でも自分が関わる人間はそうもいかない、
たとえば職場の人間なら仕事に行けばそこにいる、そして仕事で関わるなら「存在しない」なんて言っていられない。
学校でも同じクラスに居れば嫌でも視界に映るワケで存在を主張されてしまう、それが家族や血縁者なら尚更にいないことにとか出来ない、

って考えると、同じ職場の人間を「無い」ことにしたければ職場を変わればいい、

なんて安直な解決法すぎるけど、御曹司クンに関しては有効だろうって思っていた。
だって御曹司クンとは職場以外の接点はメールと電話くらいで、それも返信&受話しなければ済む。
そんなふう無いことにしたかったけど、でも理由は「嫌い」なわけじゃなくて単純に「存在が無い」ことにしてほしかった、

存在が無い=世界から消える

見えない場所にいれば存在を薄れてゆく、そして御曹司クンの世界から消えていける。
それなら御曹司クンも諦めてくれる→他に誰かを見つけるだろうって思っていて、
自分も新職場&繁忙期で忙しくしていれば御曹司クンを思い出すことも減る、

なんて考えで年度末繁忙期が終わって、春が来て、
事業年度も切り替わって落着いたから花サンと約束していた雪山ハイク&温泉に行ったんだけど、
4月の終わりだって言うのに雪が降る某温泉地、真白な世界で花サンが深呼吸して笑って言った、

「やっぱ来てよかったーホント言うとキャンセルするか悩んでたんだよ?彼があれこれウルサイからケンカして面倒くさくなって、でも来てよかった、」

やっぱ御曹司クン登場するんだな?

なんて思いながら存在なかなか消えない事態に呆れて、
そんな内心を知ってか知らずか花サンは堰が切れたみたいに話し始めた、もちろん「彼」御曹司クンについて。

折り合い・・ブログトーナメント

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short scene talk ふたり暮しact.82―Aesculapius act.95

2015-02-17 23:26:01 | short scene talk
緊張前夜@自室
Aesculapius第6章act.31-32幕裏



short scene talk ふたり暮しact.82―Aesculapius act.95

「ねえ雅樹さん、どうしても今夜は一緒に寝られないの?(明日は手術だからってきっと言うんだよね)」
「うん、明日は手術だからよく寝ないといけないんだ。光一は希くんと仲良く寝てね?(笑顔)(子供ふたりと寝るのはさすがに僕もちょっと気を遣いそうだし)」
「あの…だったら僕ひとりで寝ますよ?うちでは小十郎と自分の部屋で寝てるもの(僕がいると気を遣っちゃうからだよね雅樹先生)」
「大丈夫だよ?光一も前は独りでも寝てたんだし、せっかくお泊りに来てるなら二人一緒の方が愉しいだろ?光一もそうだよね、(笑顔)(希くん独りだと心配だし喘息も夜泣きも)」
「ん、そりゃ愉しいけど(でも雅樹さんいないと寝られるかね俺ずっと慣れちゃってるし)」
「まくら投げするなら障子やふすまを破かないでね?(笑顔)(ふたりで楽しく眠ってくれると良いな)」

「…寝られない(ちっとも寝られないんだけど僕)」
「はあ…(変だな独りだからよく寝られるはずなのに光一たちどうしてるかな)」
「…ん、(ちょっと様子見て来ようもし夜泣きとかまくら投げ大破とか困るし保護者として確認しないと)」
「光一、希くん、ちゃんと寝てる?(ってあれ)」
「…熟睡だね二人とも(希くん検査で疲れたんだろうな光一も付添いとか気を遣ったろうし)」
「ふふ…(笑顔)(ふたりとも天使の寝顔だな希くんお父さんに会ったからホームシックになるかもって心配だったけど)」
「ん…(光一も僕がいなくて寝付けないかもと思ったのによく眠っちゃってるなちょっと寂しいかも僕)」

「ん…ふぁ(よく寝たね熟睡だったけど)あれっ?」
「まささん…?(イツの間に隣きたのかね全然気づかなかったねいつ来たんだろねどうしたんだろ??)」
「…雅樹さん、ね…どうしたの?(希まだ寝てるからコッソリ起こさないとねっ)」
「ん…こういち(幸せ×寝惚け笑顔)(かわいいな光一だきしめちゃえ)」
「あ…(また寝ちゃったね雅樹さんまだ時間早いから良いけど)…さびしかったのかね?」



気分転換に会話短篇UPしました、Aesculapius「Dryad31-32」幕間です。
第82話「誓文6」+Aesculapius「Dryad32」+Favonius「少年時譚99」読み直したら校了です、

雑談ぽいやつ昨夜もUPしました、
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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚336

2015-02-17 00:35:12 | 雑談寓話
「依存と恋愛感情は別物だよ、承認欲求がくっついてるアタリ似てるけど相手を尊敬して認めているかって違いはデカイよ?そこどうかな?」

って花サンに言った終電当り前シーズン2月週末@山中湖周辺、
雪景色の車窓なドライブする助手席で彼女は言った、

「それって私が御曹司サンに依存しているってこと?」
「その判断を訊いてるよ、花サンとしてはドウ?」

訊きながら雪のカフェに停まって、
雪道ちょっと踏みながら花サンは溜息と笑った、

「そうだね、依存じゃないっては言いきれないかも…尊敬してるかって言われたら尊敬できるポイントが浮ばないし、」

それもなんだか切ないよね、御曹司クン?笑
なんて思っちゃった傍からカフェの席に座って訊かれた、

「トモさんは御曹司サンの尊敬ポイントってある?」

逆に訊いてくれる貌はちょっとだけムキになっている、
こんなムキになるあたり負けん気が強い+御曹司クンに好かれたい気持ちがある、
そんな貌に笑ってオーダーしてから思っているまんま答えた、

「バイセクシャルも自分の大事な一部分だって言うトコ尊敬してるよ?好きなモンは好きって言えるのイイじゃん、笑」

このことは彼女と意見が分かれるとこだろう?
解っていながら言った先、色白の貌がちょっと青ざめた、

「ね、トモさんは御曹司サンが男の人を好きだってこと、嫌じゃないの?」

やっと問題に向きあえるかな?
イチバンな懸案事項に笑って言った、

「あいつがバイセクシャルなことは嫌う理由にならないよ?笑」
「でも音信不通にされてるって言ってたよ?メールあまりこなくなったみたなこと言ってたけど、」

訊き返してくる言葉に状況ちょっとわかる気がした、で、そのまま訊いてみた、

「メールしない理由、御曹司クンがバイセクシャルだから嫌ってるんだって花サンは想ったんだ?」
「…正直そう想ってたけど、めんどうになったのかなーとか、」

ちょっと遠慮がちに応えてくれる声は困りだしている。
で、運ばれてきたコーヒーかなんか飲みながら言ってみた、

「御曹司クンがバイセクシャルなのはホントだし、自分のこと愛してるとか言ってくるのもホントだよ?でも連絡遠ざけてるのはソレが理由じゃない、御曹司クンのことメンドクサイヤツだって思うけどバイだから面倒なわけじゃなくて単純に性格の問題だよ?それに嫌いなワケでもないしね、笑」

嫌いになったわけじゃない、困ってはいたけど。
そんな本音に彼女は訊いてきた、

「嫌いじゃないのに、なんでメールしてあげないの?」
「気持ちに応えられないのに引きずらせるの悪いだろ、御曹司クンも新しい恋愛ちゃんとしたほうがいいしさ?笑」

新しい恋愛、その相手は花サンじゃないのかもしれない。
それでも幸せになってくれるなら良い、そんな本音に訊かれた、

「もしかしてトモさん、御曹司サンのこと好き?」

これってドンナ答え期待しているんだろう?
そんなこと考えながらも正直に笑った、

「好きだよ?恋愛とは違うけどね、笑」

恋愛とは違う感情、だけど嫌いと好きの択一なら好きだ。
そのまま答えたら彼女は言った、

「恋愛とは違っても好きって、友達としての好き?」
「そうだね、笑」

笑って答えながら本音、ちょっと違うのかもしれないって思った。
だって友達みたいに共通の趣味嗜好なワケでもない、それならこの好きはドッカラくるんだろう?

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第82話 誓文 act.6-side story「陽はまた昇る」

2015-02-16 23:30:07 | 陽はまた昇るside story
The sun, above the mountain’s head 未知の視点



第82話 誓文 act.6-side story「陽はまた昇る」

馥郁あまやかな湯気くゆらすテーブル、ティーカップと菓子は温かい。
けれど投げかけられた祖父の言葉に空気が硬くなる、まるで尋問調だ?

「同期でなければ英二とも話さんのだろう?それほど正反対な男の姉に惚れたのは外見か、それとも金か、」

深い徹る声は穏やかに響いて心地いい、けれど言葉は棘がある。
こんな展開ある意味で予想どおりだ?呆れながら英二は愛犬を撫で家宰に微笑んだ。

「中森さん、茶のお替りくれる?」
「はい、」

ロマンスグレー微笑んでティーカップとってくれる。
馥郁ゆるやかな湯気が立つ、そのティーポットごし姉が口開いた。

「お祖父さま、そんな失礼な言い方ひどいわ、」
「いや、英理さん大丈夫、」

低く闊達な声が制して大きな目まっすぐ祖父を見る。
浅黒い貌はすこし硬い、それでも落着いた声で友達は言った。

「ひとめぼれでした、だから外見に惚れたと言われたらそうです。でも本気で惚れたのは言葉と笑顔でした、」

ひとめぼれだ、そう真直ぐ言えるのは潔い。
それだけの確信あるから言えてしまう、そんな大きな目ストレートに祖父を見つめ言った。

「それに私には宮田君と英理さんは正反対に見えます、きょうだい同じ環境で育っても人間は同じになりません。私も双子の妹と正反対ですから、」

そういえば双子だと言っていたな?
思い出して知りたいまま笑いかけた。

「そういえば双子の妹がいるんだよな、写メあったら見せろよ?」
「ねえよ、きょうだいで写メとか撮らないだろ?」

大らかに笑う言葉遣いがモード切り替わる。
目上用と友達用、こんなことも成長した同期に言い返した。

「俺は姉ちゃんのあるけど?姉ちゃんも俺の入ってるよな、」
「前に出かけた時のならあるけど、」

綺麗なアルトすこし緊張して、けれど答えてくれる。
これで幾らか和らぐと良い、そんな想いに祖父は言った。

「言葉と笑顔に惚れたと言ったな、では英理が笑えなくなったらどうする?そんな可能性は普通にありふれてるぞ、」

笑えなくなったら、

その可能性はどこにもある、だって自分はその現実を生きていた。
それは姉も祖父こそも同じ、こんな家族に囲まれた青年はまっすぐ笑った。

「私が笑わせます、何も無くても笑う贅沢だけは絶対です、」

またストレートな答だ?

―こんな回答きっと予想外だろうな、どうする?

何も無い、

そう胸張って言う男など祖父は知らない。
こんなこと不意打ちだと思っているだろう?けれど綺麗に隠した横顔は微笑んだ。

「絶対となぜ言いきれる?たとえば声も届かんようになったら笑わせる方法などあるのか、」
「見つかるまで探します、」

低い、けれど闊達な声が応えてくれる。
迷いの欠片も無い、そんな求婚者は言った。

「私は諦めることは苦手です、英理さんの笑顔は絶対に諦められません。見つかるまで探し続けたいんです、だから英理さんと結婚します、」

結婚します、なんだ?

結婚させて下さいじゃない、許しを請いに来たのでは無い言葉。
こんな大胆な言い方されたのは初めてだろう?そのターゲットは端正な貌を傾げた。

「今、なんて言った?」
「英理さんと結婚しますと言いました、」

まっすぐ答えて澱まない。
もう決まっていることだ、そんな意志表示に祖父の目が姉を見た。

「英理、この男で幸せになれるのか?」

おまえはどうなんだ?
そんな視線に色白の貌は頬そっと赤らめた。

「はい、尚光さんだから幸せです、」

この人だから、そんな言い方は幸せだ。
だからこそ確かめたい事に口を開いた。

「姉ちゃん、関根の実家でずっと暮らす覚悟はある?家の工場を手伝う可能性は考えないとだけど、和歌山は成城も銀座も遠いよ?」

まったく違う生活になるかもしれない、その可能性は覚悟している?
そう問いかけた真中で華やかな瞳は綺麗にほころんだ。

「海とお城があるわ、葉山のお祖母さまみたいに海の傍で暮らすのは憧れなの。潮風は大変だけどね?」

そうなっても幸せよ?
そんな笑顔に言うことは今無いだろう、けれど寂しい本音に微笑んだ。

「そっか、姉ちゃん本気で嫁に行くんだ?」
「本気よ?お婿さんに来てもらうから行くのではないけど、お嫁さんになるわ、」

微笑んでティーカップ口つける、その仕草もどこか華やぐ。
ずっと見慣れている年子の姉、けれど今すこし遠い幸せに祖父が口開いた。

「英理、婿をもらうのは嫁に出るより面倒だと解っているのか?親戚連中も簡単には納得せんだろう、どう黙らせる?」

逆撫でするような言い方、けれど「婿をもらう」前提だ。

―ひねくれた言い方だけど賛成ってことか、おおよそだけど?

真直ぐに賛成だと言えない、けれど実質もう相談を始めている。
こんな言い方も祖父らしいだろう?微笑んで傍らのジャーマンシェパードに言った。

「ヴァイゼ、慰めてやってくれな?」




雪が深い、もう世間から遠くなった。

踏みしめてゆく白銀かすかに響く、その踏み跡も雪がふる。
ざくりざくり、スノーシューに進んでゆく道は静謐に融けながら明るい。

「宮田、ちっと足緩めな?黒木たちが遅れてる、」

澄んだテノール呼んで振りむいて、至近距離にアンザイレンパートナーが笑ってくれる。
底抜けに明るい目は銀嶺を映しだす、白銀まばゆい空と大地のはざま愉しくて笑った。

「光一と二人で話したかったんだ、今ちょっと良い?」
「イイよ、なにかね英二?」

名前で呼び返して銀色の森ゆっくり歩く。
かさり、梢から銀色こぼれる道で笑いかけた。

「姉ちゃんが結婚を決めたんだ、これで実家は完全に俺の家じゃなくなるよ?」

あの家に自分の帰る場所は無い。
それが寂しくて、けれど自由ひとつ与えられる。
その代わりに選ばなくてはいけない場所を白い吐息へ笑った。

「光一、俺も名字を変えるかもしれない。色々と便利だから、」

この決断、君はなんて想うのだろう?
本当は一番に訊いてみたいけれど傍にいない人、あの笑顔を護れる選択に笑った。

「祖父の全部を継ぐなら養子になるほうが楽なんだ、伯父や母を黙らせられるからさ?でも俺は宮田って名前が好きだよ、検事だった祖父を好きだから、」

想い言葉にしながら貌まだ笑っている。
けれど涙こぼれるかもしれない、そんな本音ごと雪嶺に微笑んだ。

「俺は宮田の祖父みたいに生きたいんだ、清廉潔白って言われる検事になりたくて祖父と同じ大学に行きたかった、祖父みたいに真直ぐ闘える男になりたかったんだ。でも俺は鷲田の祖父とも似てる、自分で呆れるくらい狡賢くて結局は鷲田の名前を利用するんだ。そういうの気づきたくなくて逃げていたけど、もう名字から変えて肚決めようと思ってさ、」

さくり、さくり、雪踏むごと白い吐息に想い融ける。
ならんだ隣も雪を進む、ただ凛とひそやかな空気に笑いかけた。

「こんなに名字に縛られる俺だから山で生きていたいよ、名前なんか役に立たない場所で、俺の力でしか俺を支えられない場所で生きられるか知りたいんだ、」

周太、君は名前を変えても受けとめてくれる?

本当は今すぐ訊いてみたい、けれど言える日なんて来るだろうか。
そんなこと考えながら山の雪はふる、ただ静かな白銀の世界で山っ子は言った。

「おまえの名字が何になっても関係ないね、アンザイレンパートナーしてくれんならソレで良いよ?」

何者でもかまわない。

そんな言葉が沁みてしまう、何か一つ解けてゆく。
ずっと誰かに言って欲しかったのかもしれない?そんな肚底が笑った。

「おう、ずっと一緒に登ろうな?」


(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「The tables Turned」】

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気になる風景―工場地帯

2015-02-16 21:00:00 | 写真彩々
無機質×人間の息吹



気になる風景―工場地帯

なんか気になります、通るたび。

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山岳点景:芳蹟の山×久留里城

2015-02-15 21:00:00 | 写真:山岳点景
白×蒼、冬の城



山岳点景:芳蹟の山×久留里城

久留里城@房総半島、新井白石と里見八犬伝ゆかりの城です。



平将門の息子が築城したという伝説もあります、
が、史実では真里谷武田氏が築いて後に里見義尭が今の場所に造りました。

里見義尭は滝沢馬琴『南総里見八犬伝』に登場する里見義実の孫にあたります。
ヒロイン・伏姫の父として描かれたのが里見義実です、彼が結城合戦に敗れて房総半島にやってきて物語は始まります。
その結城合戦も史実にあることです、ってカンジにあの小説はフィクションだけれども実在の人物+史実も登場しています。



山城に登る道、2月の今は氷柱が多く見られます。
途中に洞穴もありますが人工っぽい感じでした、石仏など祀っていた感じです。



二の丸跡にある資料館は弥生時代から現代まで、
出土物の土器・宝飾品に刀剣・鎧、農具、伝統芸能、そして地元の鉄道アレコレも展示されています、笑



天守閣からは久留里城の郭を一望できます、眼下の田圃あたりまで三の丸エリアでした。



上総掘り=井戸掘り櫓が資料館脇に置かれていますが傍、撫子がひとつ陽だまりに咲いていました。
撫子は常夏ともかく夏から秋の花です、種類によっては春咲きもありますが2月の撫子は名残花だと思います。

「歴史」ブログトーナメント



もし行かれるなら、靴は歩きやすいもの必須だと思います。
木の根道が多いのでヒールやサンダルはNGです、今時季は凍結や霜柱とけた泥濘など滑りやすいポイントも多くあります。
駐車場→資料館→天守閣って順路ですが、山歩きが好きなら林道コースもあるんですけどソッチは登山靴のほうが無難だと思います。
低山ですが道が狭い+木の根道+急斜を降りるポイントもあるので歩くの苦手な方はお勧めできません。


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