急性斜頚=寝違えの運動療法

2009年07月29日 | Weblog
昨夜から「ぎっくり腰」のように急に頚が痛み出し、

身動きが取れなくなったとご来院されたAさん。

痛みのために横になることができず、一睡もしていないといいます。

骨盤から頭のてっぺんまでをまるで丸太のように固めて、

じりじりと摺り足でしか移動できずにいる姿を見ると、

かなり強い痛みが頚を襲っていることが見ているだけで伝わってきます。

早速、お身体を調べてみると

・どの方向にも頚は動かすことができない

・右腕を挙げようとすると強く痛む(同時に頚が右に倒れてしまう)

・腰をコルセットでガッチリと固めていると幾分らく

だということが判りました。

触診をしてみると、幸い炎症はないようです。

急性斜頚

いわゆる「寝違え」のようです。

右腕の動きと連動した痛みと、その動きに頚が引かれ負けてしまっていること

腰をしっかりと固めることで頚が楽になるという事実から、

右上部僧帽筋と肩甲挙筋の痙攣(スパズム)と

頚部はもとより脊柱全体の支えがもとより弱い様子が伺えました。

治療は、上部僧帽筋と関連の深い前腕伸筋の調整と

肩甲挙筋と関連の深い小指球筋の調整、

そして、それぞれの部分にキネシオテープで補強をしました。

加えて後頚部に関連の深いヒラメ筋の付着する踵骨の部分にははり治療を施しました。

この時点で頚の動きは前後屈と左右の回旋が完璧でないながらもできるようになって来ました。

しかし、これだけでは不十分です。

脊柱や体幹の全体の支えが弱いことで起こった故障でしょうから、

この部分の補強も考えねばなりません。

グラついたまま返せばすぐに症状がぶり返してしまうこともありえるのです。

そこで、脊柱全体の安定性を高めるためにこんなことをしていただきました。


CIMG5367


特に伸展の制限が強かったため内腿にボールを挟んでの後ろ歩きを処方しました。

頚部の後屈や脊柱全体の伸展を引き出すのに効果を発揮します。

頚部痛でも腰痛でも「後ろに反ると痛い」なんて症状に使います。



エクササイズ後のAさん、帰りは普通に歩いて変えることができるようになりました。

自宅でも同様のエクササイズを3日続けてもらい、

就寝時はタオルでつくる「簡単ネックカラー」を頚に巻いてもらうよう指示して今回の治療は終了です。



このように、私の治療では働いていない筋肉を働かせることでようやく治療が完結することが多々あります。

筋肉や関節の治療では、上手に機能させることを考えて治療を進めます。

筋肉や関節が痛みなく、正常に働くには運動も治療に欠かせない要素なのです。

運動療法とは私にとって手技療法とあわせて治療の両輪をなす重要なスキルなんです。

こういった方法や考え方が「当たり前になるといいなぁ」

なんて、

そう望むのは、僕のエゴなのでしょうか…

※同業の先生方であれば、

人の体を正常に働かせることを考えると受身の治療だけでは充分でないことは

容易に理解できることと思います。

こういったスキルき興味をもたれた方はコチラをご参照下さい。


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