手技療法は、なんでも治る魔法の技か?

2012年09月21日 | 治療の話
この技法さえ知っていれば、

どんな痛みもたちどころに消えてしまう!

といった夢のような技法があったらいいですね。

でも、そうは問屋がおろさない。

今日はそう言ったお話です。


確かに、手技療法には色んな技法があります。

中には、いったいぜんたいどういった仕組みなのか

パッとみだけでは判らない、魔法のようなものもあります。

どのテクニックも、先人たちの創意工夫により編み出された

素晴らしいテクニックです。

でも、そのテクニックを素晴らしいテクニックとして使えるかどうか

は、術者の技量に寄ります。

その「技量」とはテクニックを上手に使いこなすということも確かにそうなのですが

それ以上に、大切なことがあります。

それは、

患部がその技法を使うべき状態にあるのかどうかの判断ができるか?

ということです。

患部が炎症期にある場合、

それはどんなに優れた技法も使うべきではない時期です。

例えば、

表からは見えなくとも、関節の周辺の靭帯に傷があったとします。

関節を動かすと、その傷口が引き延ばされて痛いわけです。

そんな時に、何がしかの技法を使って関節をストレッチしたとします。

どうなりますかね?

傷口がみるみるふさがる!?

いえいえ、傷が広がって悪化してしまいますよね。


患者さんが「痛い」と言ったとき、

その「痛み」は慢性期の問題なのか急性期の問題なのか、

その判断がないままにテクニックを当て込めば、

その後にまっているのは「悪化」の二文字かもしれないのです。

なので、今は手技療法の守備範囲なのかそうでないのかの見極めが一番大切。

どんなに技法がすぐれていたとしても、

そしてどんなにその技法を上手に使えていたとしても、

使い時を間違えれば元も子もないのです。


もちろん、現場では判断に迷うこともあります。

どちらか迷ったらより悪いケースを想定して、

どうすべきかを考えます。



全ての痛みを取り去ってくれる技。

そんな、手に入れるだけで天下が取れる伝説の聖剣「エクスカリバー」のような

そんな技があったらいいんですが、

現実にはそうもいきません。

だから専門家がいるんです。

だから専門家は勉強し続けるんだと思います。


さ、勉強しよう…

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