中臀筋症候群の治療:骨盤と頭蓋骨の関係

2013年05月12日 | マニュアルメディシンの話

<はじめに>

骨盤は頭蓋骨と硬膜という組織でつながっています。

なので、骨盤の機能障害(ゆがみ)が頭蓋骨へ影響したり

その逆に頭蓋骨の機能障害(ゆがみ)が骨盤へ影響したりするのです。

なので、「骨盤のゆがみ」を取るために

「頭のゆがみ」を取らなくてはならなかったり

その逆だったり、といったことがあるのです。

 

<症例の話>

たびたび右の臀部がはってきて腰の付け根が痛むとお困りのAさん。

患部を調べると中殿筋の緊張が強く、

痛みの原因は中殿筋の故障のようだ、と考えました。

(中臀筋による痛みの領域)

しかし、骨盤の変位を見ると

仙骨という骨を中心に骨盤全体は左に倒れ、

仙骨の動きが周辺の関節の中でも際立って窮屈になっています。



この状況では、股関節を中心に中殿筋が

引き伸ばされる位置にあることになります。

中殿筋が縮んでいるのなら中殿筋に引き込まれるように

骨盤は右へと傾斜するはずなのにその逆なのです。

ということは、中殿筋は『何か』に引かれ負けるように

働いていることになります。

その『何か』の緊張を解かない限り、

中殿筋はリラックスすることはできません。

わたしの治療では、その『何か』を探すことを大切にしています。


Aさんの場合は、頭蓋骨に問題がありました。

なぜ「頭」と断じたのかと申しますと

Aさんの場合、

お顔の向きを向きやすい方向に向けていただくと中殿筋の緊張がかるくなり、

骨盤から股関節の動きがスムースになることから、そう考えたわけです。


もうすこし細かく言うと、

蝶形骨と後頭骨による関節(蝶形後頭関節、ってそのままか)の右半分が

屈曲位(上方へ折れ曲がった状態)で固定され、

硬膜伝いに右側の仙骨を引き上げ、

右の寛骨がお辞儀をし、

見せ掛け上の脚の長さが長くなり、

立った時に左脚の長さと帳尻を合わせるために、

骨盤を左に傾斜させて膝を内輪(下腿外反)にしていました。

この状況では、股関節を境に

外転筋である中殿筋が引き伸ばされる位置に追い込まれてしまうわけです。

幸いAさんの臀部痛は頭蓋への治療で一先ずは解消されました。

(頭蓋から仙骨への操作の動画⇒コチラ

 

ここまでの話は直後効果でしかないので、その後の経過を診て行く必要があります。

ですので、Aさんには次回のご予約を頂き、この回の治療は終了となりました。

次回、経過を伺うのが今から楽しみです。


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