スポーツに限った話ではないのですが、
「使い過ぎ」のために生じた故障を
「オーバーユースシンドローム」と呼びます。
この名前だけだと、ちょっとイメージしずらいと思うので、
実際の故障を挙げますね。
例えば、「ランナー膝」とか「テニス肘」、「投球肩」なども
使い過ぎが原因とされるもので、
オーバーユースシンドロームの一つです。
ま、これらのスポーツ傷害のほとんどのケースに
誤った使われ方「誤用」という問題が背景に潜んでたりしますので
単純に「使い過ぎ」でないケースがほとんどですが…
それはそれとして、
オーバーユースシンドローム患者さんから伺う経過をまとめると、
初期から極期まで下記の経過を聞くことになります。
初期:練習後の痛み
中期:動作開始時と練習後もしくは練習終盤の痛み
後期:練習開始時から増悪する痛み
極期:安静時にも痛みが続き、日常生活にも支障が生じる
初期には、運動後(作業後)に痛みを覚える程度で、
その痛みも、さほど時間もかからないで数時間~数日のうちに消えてゆきます。
しかし、悪化するに従い、
運動開始時の痛み(途中痛みが消えるか軽減する)も覚えるようになり、
更には、運動開始時から徐々に悪化する痛みに襲われるようになります。
こうした故障では先ず、
痛みを覚える動作を中止してもらわなくてはなりません。
痛みを乗り越えようと更に痛めつけると患部の「怪我」は深刻さを増して言ってしまう訳です。
これは根性でどうこうなるものではありません。
現実を受け入れ、その対処に全力で取り組むことが大切です。
極期にまで行ってしまうと、場合によっては後遺障害を負うことにもなりかねませんので、
これはホント、口を酸っぱくして言いたいです。
残念ながら、この時期に来ての「一発逆転」は通常ありません。
先ずは傷付いた組織が治癒することを待たなくてはなりません。
とはいえ、ただほっておけばよいわけでもなく、
回復がつつがなく進むように環境を整える必要があります。
例えば、患部が傷付いて脹れているわけですから、
アイシングや固定(テープなど)を行います。(あと場合により患部の挙上)
それから、患部の負担を減らすためのエクササイズがあれば
それをご提案します。
使い過ぎによって壊れたとされる患部も、
「ただ単に使い過ぎ」だけではないのです。
・となりの関節が硬いために、代わりに大きく動いて故障している
・姿勢の崩れによって無理な位置に押しやられている
など、無理が祟る背景があるもので、
背景の問題に対して手を打つことで患部に無理がかからず、
むしろ患部の負担が軽くなる場合は、
治療の初期から積極的にエクササイズを進めます。
つづく(…と、思う)