今日は足関節捻挫の臨床のお話しです。
患者さんはフットサルをしていて左の足首を捻挫してしまったA君(14歳)
A君は昨年、同じ左足首の骨折を経験しています。
今回は
『もしかしたら骨折してたりしていないだろうか?』
と心配して受診したようです。
昨年の骨折は骨端線骨折というちょっと判りにくい骨折で、
当時、普通の内反捻挫と間違われてしまって治療が右往左往した経緯から
症状以上に不安になったのかもしれません。
来院時は怪我のアクシデントから12日目。
幸い骨折特有の目立った腫れもなく内出血のあともない状態でした。
仮に靭帯が切れていれば出血による痣が黄色く残っている頃なので
それもないところから捻挫の程度も軽度なようだと推察されました。
触察していると外くるぶしと足をつなぐ前距腓靭帯という靭帯の
外くるぶし側の付着部に圧痛が見つかりました。
足首を内へ返した際の可動性の拡大も思ったよりは少なく、
靭帯のテンションも感じられたことからも靭帯が切れちゃってるわけではないことがうかがえます。
捻挫は甘く見るとひどい目に遭いますからね。
総じて傷の程度は軽いとの判断となり、一先ずホッと胸をなでおろします。
さて治療。
A君の足首がどの程度の負荷に耐えられるのか確認したところ、
つま先立ちで足首の不安定感と痛みを覚えることが分かりました。
足関節捻挫も関節周囲筋のアンバランスを正すことで治りが良くなりますので、
基本治療の方向性は緊張によって失われた可動性を取り戻すことから始めます。
この場合、足を内に返す筋肉たちの緊張がターゲットとなります。
それから、左の股関節の外側にある外転筋の緊張
これは見逃してはいけません。
股関節が内に閉じにくいという条件があったから足首を内にくじくことになったのです。
足だけではなく、全体の中で協調性を取り戻してゆくことが肝要です。
さらに、緩んで支えが弱まった足首にはテーピングも役立ちます。
足首の縦方向の動きは許し、横揺れを止めるような固定をします。
初回の治療では爪先立ちが痛む所から爪先立ちが痛まないところまでの変化が付きました。
2回目の治療は3日後。
この日にはくるぶしの圧痛も無く、爪先立ちも大丈夫。
だいぶ回復が進んだことが分かります。
横方向の支持性を試す動作で足首の支持機能をチェックすると、
サイドステップで痛みと不安感(関節をくじきそうな不安定感)が現れました。
この状態ではまだ走り回るには難ありです。
ともあれ2回目の治療でリハビリを始められる状態になりました。
彼にチョイスした最初のエクササイズは体幹と下肢の連動制を高める「スローハーバード」。
スローハーバードとはハーバードステップ(踏み台昇降)を
ゆっくり行うエクササイズで私のオリジナルの手法です。
ゆっくり行うことで片脚から体幹の安定性とコントロールが格段に良くなるので、
練習やトレーニングのアップにもおすすめのエクササイズです。
スローハーバードは下の動画をご残照ください。
動画の10:34からスローハーバードの紹介になります。
「膝の外側が痛い! ランナーズ・ニ―DAY3 原因究明・根本解決!!」より
エクササイズ後はサイドステップの痛みも癒えていました。
しかし、ハーバードステップからのカーフレイズ(爪先立ち)はまだできません。
これは「走る」という動作にはまだ適応できないことを示しています。
故障してない右はできていることを確認し、
この左右差がなくなったらジョグや反復横跳びといった脚のトレーニングを徐々に始められることを告げ、
さらに、運動療法を始めると患部の炎症も起こりやすいため
リハビリ後(練習後?)はアイシングを欠かさないよう伝えて2回目の治療を終えました。
本当なら競技復帰まで様子を見たいところなのですが、
A君は海外留学で正月まで戻りません。
ちょっと心配は残るけど、彼はクレバーなのできっとこのアクシデントも乗り越えてくれると信じて
『一回に伝えるにはちょっと多いかな?』
と思いつつも伝えるべき情報をまとめて伝え、二回目の治療を終えました。
A君の一日も早い回復と競技復帰を祈りつつ、治療院を後にするA君を見送ったのでした。
当院ではこのように常に根拠を持った治療と提案を心がけて治療に当たっています。
足関節捻挫に限らず、お困りの方はぜひご相談ください。
以上、足関節内反捻挫の治療のお話でした。
とよたま手技治療院
HP : http://toyotama.net/
TEL : 03-3994-5048
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