団塊世代の人生時計

 団塊世代として生きてきた「過去」、「現在」、そして「未来」を、自分自身の人生時計と共に綴り、「自分史」にしてみたい。

馬鹿返り

2014-04-05 08:15:16 | 社会

馬鹿返り

2014年4月5日(土)

  万能細胞であるバンソウコウ細胞という世紀の大発見をした否科学研究所の覚束内晴子ユニットリーダーは、若返りという夢の実現を図るべく、更なる研究をしていました。ある日、ユニットのスタッフ同士で雑談している時、覚束内氏が「若い頃のように、最近厚化粧のノリが良くなったのよ~(^-^)。」という話をすると一同共感したのです。それから更に数か月後、一同は、目尻の小皺が少なくなったことにより、「若返った!」ことを確信しました。しかし、一瞬後、若返りの喜びは恐怖へと変わったのです。それは、若返りにより、究極は細胞になり、「死」に至ることを想像したからです。

 

 一方、ワールドニュースでは、奇妙な若返りの話が多く取り上げられるようになっていました。そしてその「若返り」は、セルコインという通貨を使っている人たちに共通であるということが分かったのです。

 「セルコイン」というのは、将来の若返りの技術を価値として、その複雑な計算式を解いた人がもらえるという「仮想通貨」なのです。各国政府は直ちにセルコインを政府通貨とexchangeすることを禁止する規制を行いましたが、それでも勢いを止めることはできませんでした。それは、格差社会において、老いて死ぬより、若返って死んだ方がましだという考えの人が多くなったからです。

 かくして、黄昏新聞の川柳欄に、「試験管 若返り馬鹿の 儚い墓(バカとも発音してください。)」と皮肉られるように、試験管が人々の墓として求められるようになったのです。

 巷には、子どもが溢れかえり、少子化問題が一機に解決したかに見えましたが、実は子どもの方が若返った親の手を引いている姿だったのです。

 

 事態を重くみた否科学研究所の与党寄良治理事長は、全世界から生命科学の権威を集め緊急の対策会議を行うことを決めました。その資金として100億円必要なため、今や完全に与党化した熊手喜美一人ぼっちの党代表に資金の融通を頼み、熊手氏は更にその資金の融通を大手化けの皮会社社長に依頼し、その資金を得ることができました。担保は、否科学研究所が「特定国立研究開発法人」になった際の国からの補助金でした。

 

 この対策会議では、1年間日夜かけて研究を行った結果、覚束内氏が晩稲田大学で学位を取得した論文が問題解決のカギになることを突き止めました。しかし、その論文たるや、元となる研究ノートが2冊しかなく、更にはデータ管理が杜撰で論文の内容を検証することが出来なかったのです。肝心の覚束無内は「若返り」により、当時の研究内容の記憶は全く回復不可能な状態でした。

 

 人類は、かつてない不安と恐怖そして先の見えない混沌の世界に引きずりこまれることになったのです。

 

 

 「文明の不安よ 科学の恥辱よ 人知の愚かさよ」

 

 これは、半年位前に、FMエアチェックの音源を交換する縁で仲間となった方から教えてらった、「土の歌」(大木惇夫作詞・佐藤真作曲)の一節です

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