竈さらえ 著者:見延典子
2016年3月17日(木)
そもそも本はあまり読まないし、数少なかった蔵書(と言えるようなものではありませんが)はとっくの昔大部分処分してしまいました。この本は、珍しく最近買った本です。
短編小説集で、「問題小説」に掲載したものが多い。大衆文学というのでしょうか。読んでみて、私がその時代のことを良く知っている訳ではないのですが、時代考証に優れていると感じました。
中でも、「廓めぐり宮島詣り」が面白かったです。江戸時代の設定です。江戸時代の性風俗はおおらかだったと聞いていますが、それがよく表現できていると思いました。
とてもおおっぴらな性であります。
宇能鴻一郎のエロ小説もおおっぴらでありますが、どことなく、男性性による女性を凌辱する感覚が見え隠れします。著者の見延典子さんが女性であるためか、そもそも江戸時代がそうだったのか、男女が対等の関係で扱われているのであります。
実は、見延さんの講演会を聞きに行ったのです。友人に誘われたのですが、時間がちょっとあったため、一杯ひっかけたのです。それでなくても、忘却力が優れているので、何の話をしたのか、全く覚えていません。
ただ、コメントを求められたので、広島市の助役経験者が2人来ていまして、そのお二人のことをしゃべった記憶があります。多分場違いのことを言ったのでしょう。(^_^;)
レジメが本の間に挟んでありました。
これをみると、私が時代考証が優れていると感じたのは、間違いではなかったですね。よく調査・研究しておられます。
題名の「竈さらえ」ですが、「領内または他国から入りこみ、届を出さず城下に住みつく、いわゆる内所竈を、いっせいに摘発することをいう」ということです。
ふとしたきっかけで知り合った少女と少年ですが、少年が内所竈であったため、親とともに役人に虐殺されます。それを目の前でみていた少女は自ら裕福な家であることを自覚し、少年の家庭とのギャップに衝撃を受けるという哀しい物語なのであります。
この本も、「回る文庫」に回すことにします。
http://blog.goo.ne.jp/windy-3745-0358/e/d9d0b77de685ee8491089e29d054eae3
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