平和推進条例について知人からメイルがありました
2021年02月11日(木)
広島市は、平和推進条例を定めようとしています。
どんなものか、内容まではよく理解していない状況の中で、知人からこの条例に関してメイルがありました。
10日の朝日新聞です。
上段の最後ですが、「市民に協力を義務づけるのは看過しがたい」という意見があります。全く同感であります。広島市は、核兵器禁止条約に数年前までは積極的でありませんでした。今は、積極的になっていますけど。仮にでありますが、積極的ではないとしたら、広島市の「平和行政」に協力できませんですわ。
01月14日の朝日新聞です。
一般に、条例は、市民の権利義務に関して何らかも法的効果を生じせしめるものです。例えば、税金を払えとか医療援助をする、とかといったことです。
平和推進条例で、何らかの法的効果を生じせしめるような内容って、私的には想定できません。まぁ、単なる理念条例のようなものかと思っていたら、先の記事にあるように、市民に対して努力義務を課すものとなっています。
・・で、知人からのメイルは次のとおりです。
2021年2月10日提出
広島市平和の推進に関する条例(仮称)素案に対する意見書
○○ ○○
2月4日に入手した条例素案を一読しての感想、気付きは次のとおりです。
1 これでは「「平和行政」推進条例」ではないか。市政トータルではない。
① まちづくりにどのように活かしていくか。国際化、世界的な観点はあるか。
② 環境、福祉、教育などの市民生活と平和はどのように結びつくのか。
※ 議会が議決した基本構想では、「平和」とは、核兵器廃絶・戦争がない状態の下、「都市に住む人々が良好な環境で、尊厳が保たれながら人間らしい生活を送っている状態」と定義される。
③ 広島の「軍都」としての歴史の反省はあるか。
④ 別途、核兵器禁止条約の「国内法化」として、広島市施行条例がいる。
2 「条例」の形式は必要か。単なる「政策条例」づくりのためではないか。
① 広島市は、非核都市宣言さえしていない。
② 広島市は一貫して「国際平和文化都市」の都市像を掲げてきた。
議会は昨年、この都市像を「基本構想」=自治体の憲法で謳い、議決している。
なにを今更、しかも議会発案の「条例」=自治体の自治立法で、の感がある。
③ 地方分権に移行して20年を経過した。条例制定の自由度が広がった(機関委任事務の廃止)が、広島市議会は今頃になってようやく「議会改革」の一環として「政策条例」づくりの取組みを始めた。その最も手っ取り早いものから始めたのではないか。動機の不純。
結果はヒロシマらしい「アクセサリー条例」! 実効性は?
④ 条例は、タイプとして「宣言条例」である。これだけ長文の「前文」を付けるのであれば、ただの宣言で足りる。制定形式が異なるだけ。「条」を取るだけで宣言になる。
⑤ 前文は、コンパクトにし、格調高くすべき。長文は、下に枠で囲んで解説でよい。
3 立法事実=制定の「必要性」が分からない。手続も拙速
① なぜ、今、議会提案なのか。被爆75年は過ぎた。間に合わなかったのか。
② 市民の条例に対する自発性・ニーズはいかなるものか。
③ 基本構想・基本計画でさえ、いくら広報紙で呼びかけても、パブ・コメの応募は88件(34人・団体)であった。策定には力を入れるが、できればおしまい。職員も見ない。同じことにならないか。どう生かすのか。
④ 「素案」は、とりあえずの「粗案」。内容、文章とも稚拙。ただの作文。専門性・市民性が欠如。「案」には程遠い。
専門家(行政法や平和研究者など)の意見は聞いたか。
⑤ コロナ禍でもあり、急ぐ事情はないのだから、議員間での討議に並行して、将来を担う若手職員や市民シンポなどにより、もっと議論し、時間をかけてつくりあげるべき。
このまま性急に条例づくりを進めると、できた条例は、広島市政どころかそれを許した広島市民の日本中、世界中の“恥さらし”になる。
⑥ 付言すれば、河井夫妻から現金をもらった市議は、10人いる。倫理条例に照らして、市民・有権者に対して説明責任を果たさせるのが先決。条例は「不要」とはいわない(ないよりはマシくらい)が、「不急」である。
4 その他
① 附則での事務休停日条例(すでに死んでいる)の廃止は、どさくさ紛れ。廃止の理由も不明。放っておけばよい。
② 6条2項の式典の「厳粛」の押しつけは、本条例になじまない。どうして紛れ込ませるのか。余計なこと。
③ 市立大学の平和研の顔がさっぱり見えない。故意に落としたのか。
④ 岩国基地の米軍の戦闘機が、広島湾上をわがもの顔で、日夜爆音を響かせて飛んでいる。平和都市・広島の上空に「戦争」はないのか。岩国には核貯蔵の疑いが残る。
⑤ 自治体条例の「最高法規」性(憲法前文・98条参照)を謳うべき。
⑥ 憲法が定める「平和的生存権」の自治体レベルでの具体化であること。
条例には、「憲法」のケの字も見られない。
⑦ 条文とセットで「提案理由」(2~3行)がいる。解説は別。
5 素案に即して:前文
①1段目:1945(昭和20年)。約14万人→+-2万人(軍人、朝鮮人など)。 「平和」の尊さ。
②2段目:前半は意味不明。ただの議論ではない。
③3段目:政令指定都市、中四国を代表する大都市に復興・発展したこと。
④4段目:市長の「平和宣言」になぜ触れないのか。ヒバクシャは世界中に存在すること。原発も。
⑤5段目・6段目:被爆75周年を迎え→過ぎた。「知らない子供が多数」の具体的なデータがある。
⑥7段目:核兵器禁止条約が発効して新たな段階に。「多くの課題」は例示を要する。
⑦8段目:「こうした現実」とは? 「行政を始め」…「平和行政」推進条例たるゆえん。「条例を制定する」…どのように守り育てて、拡げてゆくのか。
6 素案に即して:条文
①1条:「ヒロシマの心」‥・唐突な表現。
②2条:「平和」は定義できるか。「状態」ではない。不断の努力。道すじ。
核戦争は究極の戦争。
③3条:自治体は、選挙で選ばれた2元代表制をとる。執行機関としての首長=市長と議員=議事機関。そのチェック・アンド・バランス。
ヒロシマ市長の役割ないし責務が不可欠。
④4条:その機能、つまり議事機関としての「機能」の最大限の発揮のイメージがわかない。平和の推進に関する活動の具体例は?
⑤5条:この条文では、市民はあくまでも行政に協力する受け身の立場。主権者=市政の主体としての市民は? 市民参加の進め方。
⑥6条:沖縄県は、沖縄戦が終結した6月23日を、「沖縄県慰霊の日条例」(1974年)で休日と定める。これが真っ当な定め方である。本条例により、創設するのか。
⑦7条:1号の連携先として、いつもはあれだけ「クニがクニが」というのに、
「国」は除外すると理解してよいか。
2号の「市民等」と何か。NPOなど市民団体については特に記述はないが、なぜか。
3号で、「被爆体験」のくくり方は正しくない。
⑧9条:財政上の措置には、NPO等の助成を含むか。
一部省略しましたが、この方は、大学の元教授で、私ゃ、よく理解できないのであります。
ただ、「『素案』は、とりあえずの『粗案』。内容、文章とも稚拙。ただの作文。専門性・市民性が欠如。『案』には程遠い。」とあり、内容はともかく、このような言い回しは大好きなのであります。(ハハハッ)