水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

地味な努力

2018年10月16日 | 学年だよりなど

  学年だより「地味な努力」


 堀江貴文『多動力』、佐藤航陽『お金2.0  新しい経済のルールと生き方』、落合陽一『日本再興戦略』……。みなさんにはなじみがないかもしれないが、今年のビジネス書のベストセラーだ。これらを生み出し続けている幻冬舎の編集者、箕輪厚介氏が、こう語る。

 

 ~ 『多動力』が30万部を超えるベストセラーになって、ひとつの弊害が生まれた。
 ツィッターを眺めていると「つまらないから仕事辞めました! これぞ『多動力』」みたいな発言をよく目にする。
 各業界の縦の壁が溶けていくこれからの時代において、一つの仕事に縛られず、あれもこれも手を出してみる力は間違いなく重要だ。
 しかし、結局一つの道で頭角を現さないとどうしようもない。
 一つのことを突き詰めもせずツマミ食いしても、単なる器用貧乏になってしまう。 ~


 文芸誌『小説幻冬』に、売れっ子放送作家の鈴木おさむ氏が小説の連載をもっている。森三中・大島さんの旦那さんと言った方が伝わるだろうか。
 鈴木氏がAbemaTVで72時間テレビを制作している最中に、箕輪氏に連絡があった。


 ~ 芸能界の歴史に残るような番組を寝ずに作っているわけで、今月は連載を飛ばしでも仕方がないなと思っていた。
 すると、深夜におさむさんから「ごめん! 72時間テレビで膨大な時間を使っていた。いまから原稿書くから待ってて。絶対に飛ばさないから」というLINEが来たのだ。僕はそれを読んだ瞬間、その狂気に身震いした。
 聞けば、今までに原稿を飛ばしたことは一回もないらしいのだ。
 ここがすべての真実だと思う。あらゆることを手掛け何でも屋さんに見えるような人でも、トップに居続ける人は地味なことを誰よりもやり続けている。
 落合陽一は誰よりも研究しているし秋元康は誰よりも詞を書いている。
 いわゆる成功者を見るとき「勝ち組でうらやましいな」と思うかもしれない。
 だが彼らの本を作りながら、間近で見ていて僕はいつも思う。
「これだけ血の滲(にじ)むような圧倒的努力をしていたら、そりゃ成功するに決まっているわ」と。 (箕輪厚介『死ぬこと以外かすり傷』マガジンハウス) ~


 箕輪氏自身の仕事ぶりが、「狂気」を感じさせる。あちこち仕事を移り変わる「他動」ではなく、業界の先例や先入観にとらわれることなく、やりたいことに取り組み、徹底してやり遂げるという意味での他動力を発揮し続けているのだ。
 地味な努力をし続ける力、それは勉強や部活を(もちろんそれ以外でもいい)徹底してやり続ける力と、性質は同じだ。やり続けられる体質は、訓練で作ることができる。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする