水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

志望理由書の書き方(2021年版)その4

2021年08月18日 | 大学入試
志望理由書の書き方(2021年版)その4

1 なぜ書けないのか。
 粗く言って二つの原因がある。
 一つは、相手のことが好きではないから。
 それほど好きではない相手にラブレターを送ろうとしても、気合いは入らない。
 ○○大学、○○学部、○○学科に入りたいと書いていながら、ほんとうにそうなのかと疑問を抱くような文章になっている。
 相手を好きになるには、どうすればいいか。
 相手のことを知ることだ。
 「愛は知の極点である」という言葉は、大学で学ぼうなどと志しているなら知ってないといけない。
 哲学者、西田幾多郎の言葉だ。
 そもそも自分が目指そうとしている学部、学科は何をするところか。
 ここに対する知識が足りない。つまり愛が足りない。
 その学問はどんな事情で、なんのために生まれたものなのかについて知らなすぎる。
 それがないと、そもそも学問は人を幸せにするためにあるという大原則を見失う。
 まず知ろう。

2 「愛は知の極点である」を自分にも適用しよう。
 書けない原因の二つ目は、自分のことを好きでないからだ。
 好きなのかもしれないけど、好き度が足りない。
 もっと好きになって、もっともっと自分を掘り返さないと。
 掘ったらいくらでも出てくる。
 こんなことがあった、こんな経験をした。そのときこう思った、感じた。
 好きなものは、食べ物は、音楽は、映画は、スポーツは、本は、何?
 あこがれる人は? 好きな科目は? 行ってみたい場所は? 国は? 大学は?
 なんでそう感じるのだろう? なんで好きなんだろう? なんでそう思ったのだろう、なんで泣いたのだろう、なんでくやしかったのだろう、なんでわくわくしたのだろう、なんでびびったのだろう、なんで驚いたのだろう、なんで笑ったのだろう、なんで動けなかったのだろう、なんで調べはじめたのだろう……。
 自分が好きなものは? きらいなものは? 今何をしたい、将来何をしたい? どうなりたい? どんな暮らしをしたい? 誰と一緒にいたい? どんな男でありたい? どう思われたい? どうなってたら満足できる?……。
 掘り起こせば、いくらでも自分はわいてくる。志望動機はその土台の上にしか存在しえない。

3 具体的にどうすればいいか。
 ノートを一冊作ろう。
 1・2のことをどんどん書いていこう。
 その上で、志望動機、学びたいこと、自分の経験をどういかしたいか、将来の進路など項目に分けて書いてみよう。

① あなたが志望する学部・学科はどのようなことを研究していますか。
② その学部・学科で扱うテーマに関連して、今、世界や日本で、どのような問題が起きていますか。
③ 上で答えた問題の背景・原因には、どのような事情があると言われていますか。
④ 志望する学部・学科の内容に関して、これまでにどんな本をこれまで読みましたか(または読む予定ですか)。これまでにどんな経験をしましたか(する予定ですか)。
⑤ あなたが、その学部・学科で、研究したいことを、具体的に、人にわかるように説明してください。
⑥ あなたは将来、どんな職業につき、どんな仕事をしたいと考えていますか。
⑦ そういう職業につきたいと思い始めたのはいつごろですか。またそのきっかけは何ですか。
⑧ そのような自分の目標を実現するために、高校時代にどのようなことをしてきましたか。
⑨ あなたは、性格面で、どのようないい点をもっていますか。どういう点がアピールできますか。
⑩ それを具体的に表すエピソードを書いてください。
⑪ あなたが志望する大学の教育理念はどういうものですか。
⑫ あなたが志望する大学の特徴はなんですか。他大学とはどの点が違うと思っていますか。
⑬ あなたが志望する大学の学部・学科に所属する大学の先生は、どんな研究をしていますか。
⑭ あなたがその大学を志望する最も大きな理由はなんですか。
⑮ 入学後、どんな学生生活を送りたいと考えていますか。
⑯ 家族はあなたにどんな人生を歩んでほしいと願っていますか(と自分では考えてますか)。

 ノート見開き二頁分に上記の項目一つ分をあてて、少しずつ書き足していく。
 たぶん、将来就活でやらないといけないのも、同じような作業だ。
 ノートがびっしりうまったときは、面接の対策も9割方終わっていると考えていい。
 
 もちろん、実際に書いたあとに添削してもらったなら、それをノートに貼って見返す。
 また書く。同じように繰り返す。
 去年、東北大にAOで受かった先輩は、けっこうな回数書き直しました。
 毎回、真っ赤っかにしました。全部ノートに貼ってました。
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子供はわかってあげない

2021年08月18日 | 演奏会・映画など
 今度は妹にやられた。
「子供はわかってあげない」は日本の映画史に残る傑作で、萌歌さんの今年の最優秀主演女優賞はまちがいない――。
 いや、そんな外形的な評価など、この作品の奇跡の前には何でもない気がする。
 テアトル新宿で目にしたものは、一体なんだったんだろう。
 若さのかがやき、不安定さ、純粋な心、失われない子供の部分……。
 大人との対比で、今の親と生みの親との対比で、もっと幼い子供との対比で、同級生たちとの対比で描かれるそれら。
 高校2年生、17歳という年齢の少女のもつあやうさときらめきが具現化されたもの。
 アニオタで、かわいくて、水泳の選手としてもそこそこで、親に嘘をついて冒険するくらいの勇気をもち、嘘をついたことを心から悪いと思う純粋さがあり、真剣になればなるほど笑ってしまうという癖があり……。
 こんなキャラクターをここまで自然に演じられる女優さんているだろうか。
 いそうな気がするけど、かわいすぎても、色っぽすぎてもいけないし、上白石萌歌という子をキャスティングした時点で、この作品が奇跡に近づく大きな一歩になっていたのだろうと思う。
 もちろん細田くんもすばらしいし、千葉雄大くんもはまっていたし、義父の古館寛二さんの安定感は言うまでもないし、母親の斉藤由貴さんはもはや神。
 実父で元新興宗教の教祖という不思議な父親役は、豊川悦司以外には考えられない。
 劇中だけで使われるアニメを、最高のクリエイターと声優で作ってしまうこだわりは、おそらく作品全編に貫かれている。
 一回観ただけでは全然味わいきれてないから、近くの劇場でもはじまったら、もう一回観るべきかもしれない。この夏のもやもやをすべてふき晴らしてくれる作品だった。
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大地の子みやり

2021年08月18日 | 学年だよりなど
1学年だより「大地の子みやり」


 日本のゴルフ人口は数百万人規模と言われる。総数は減少傾向にあるが、2000年代以降、ジュニア層のゴルフ人口が増え、いろんな形でサポートする機関や団体が生まれている。
 なかでも、京大卒の元プロゴルファー坂田信弘氏が作った「坂田塾」は、数々の有名な選手を育成し、日本のゴルフ界に大きな影響を与えてきた。
 ゴルフ漫画『大地の子みやり』は、プロゴルファー本多弥(み)麗(やり)さんをモデルにした物語だ。
 1996年、坂田塾の札幌校が誕生し、その3期生に鈴木みやりという少女が入塾した。
 将来はプロを目指したい、子どもながら既に経験も積んでいるといった入塾希望者がほとんどの中で、健康のためにゴルフをやらせたいという母親に連れられてきたのだった。
 そんな子がいてもおもしろいと思った坂田氏は、入塾を許可する。
 もちろんゴルフ経験はなく、体力も運動神経も十分ではない。ろくにボールにあたらない日々が続くが、毎日楽しそうに通っていた。さすがに母親は心配する。プロを目指すような子ども達に混じって練習するのはさすがに申し訳ないと、塾長の坂田に退塾を申し入れる。
 本人が続けたいのなら、それをとめる資格は親にないとつっぱねる。
 ただ坂田の内心にも、「このままゴルフを続けさせるのが本当に幸せか」という葛藤もあった。
 小学校6年の時、みやりは、体育の授業でひざを骨折した。2年間練習できない日々が続くが、月に一度の合同指導には必ず参加し見学を続けていた。中学校2年で、練習に復帰する。
 子どもの成長は早い。中学生でプロのトーナメントで活躍することも珍しくない。
 鈴木みやりは、復活後、毎日懸命に練習するが、スコア100を切ることすらままならない。
 再び退塾を申し入れた母親に、坂田は「親の覚悟が足りない」と諭す。


~ 「全国大会で、なぜ熊本校が強くて、札幌校が弱いか、わかるか?
 同じ指導を受け、同じ練習の量を続けているのに、なぜだと思う。
 親の覚悟だ。
 口を出さず、手助けもせず、ただ、じっと我が子の練習を見守り続ける覚悟だ。
 辛いのにと思い、不憫と思い、悲しいと思った時もあっただろう。
 練習に疲れて熟睡する我が子の寝顔を見ながら、泣くときもあったと思う。
 でもな、親は耐えてきた。そして塾生達の夢の花が咲き始めた。
 塾生が咲かせる花は、塾生の努力だけで咲く花じゃない。
 ゴルフ場、練習場、支援メーカー、ボランティアのコーチ達、地元の財界人達、全員の協力で 根をつけていく花なのだ。そして、その花は、最後の最後、親の覚悟で咲いていく。
 我が子の努力を信じ切れる親になれ。」 (坂田信弘・かざま鋭二『大地の子みやり』小学館) ~


 みやりは出場できた試合で予選落ちし続けるが、ゴルフに対する思いは変わらなかった。
 ゴルフの名門、私立尚志学園でゴルフを続けたいと行ってきたみやりを、母は後押しする。
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