1学年だより「やりたいことノート(3)」
すでに「やってしまってる」人もいるかもしれない。興味のあること、好きなこと、趣味の分野で、一冊のノートがある人は、それが将来の自分のベースキャンプになっていくだろう。
『ワラグル』という小説は、放送作家としても活躍する浜口倫太郎氏の作品だ。お笑い界を舞台にして、芸人や周辺の人達をめぐる、虚実皮膜の物語が描かれる。
~「そうだよね。KOM(キングオブ漫才)の凄さって漫才を競技化したことなんだよね」
「競技化って?」
「まあスポーツにしたってことだよ。だってKOMってスポーツ見てるみたいじゃない。甲子園とかワールドカップとかオリンピックの試合みたいに白熱するでしょ」
「確かに」
「この競技化のおかげで、スポーツ観戦するようにみんな漫才を見るようになったんだ。そこからドラマも産まれるでしょ。KOMを見て漫才師を志す人が増えて、さらに漫才が進化して面白くなる。相乗効果ってやつだね」
文吾が思わず感心する。
「梓って賢いね」
「でしょ。まぁお笑い限定ですが」 (浜口倫太郎『ワラグル』小学館) ~
文吾は、コンビニバイトで知り合った梓が、並々ならぬお笑い好きであることを知る。
梓は、いわゆる「ハガキ職人」とよばれる投稿マニアで、兄弟の漫才コンビ花山家の深夜ラジオでは常連だった。花山家は、自分たちの座付き作家を募集するとラジオで告知する。すぐに梓は応募し、いくつかの課題をクリアして最終選考に臨む。
~ 最終テストの花山家の漫才を作るために、テレビで花山家の漫才を見ていた。もう何度も何度も見ているのでネタも完璧に覚えてしまった。
テーブルの上には、梓がその漫才を手書きで写したノートがある。自分が発見したポイントなどを赤字で書き込んでいるので、もうノートがまっ赤だ。台詞の文字数やボケとツッコミの間の秒数まで書き込まれている。
そんな細かなところにまで目を向けるのかと文吾は唖然とする。梓と付き合いはじめてから文吾も数多くの漫才に触れてきたが、自分は何も見ていないことがよくわかる。
梓ぐらい目が肥えてはじめて、漫才の本質が理解できるのだろう。見るではない。観るのだ。 ~
梓は、日頃からハガキのネタになりそうなことを思いつくたび記録していた。テレビやライブで見たネタや面白い話を、ノートに書き留めては分析していた。
自分が本気で興味をもったこと、本気で取り組んでいることなら、それに関するノートが何冊もあるのは「普通の」ことだ。部活動でも、ノートをたくさん書いている人は間違いなく伸びる。
何事も、ノートをつくることから、自分の本気がはじまると言えるだろう。
分散登校で利用する電車が変わると、前よりも混雑する路線もあるでしょう。
今までは見かけなかった、車いすの方や、小さい子供さんと接する機会もあるかもしれません。
電車の乗り方を今一度確認しましょう。健康な高校生男子の目線では気づけないこともあります。
マナーに注意するのは当然ですが、困っている人がいたら助けられる男になりましょう。
すでに「やってしまってる」人もいるかもしれない。興味のあること、好きなこと、趣味の分野で、一冊のノートがある人は、それが将来の自分のベースキャンプになっていくだろう。
『ワラグル』という小説は、放送作家としても活躍する浜口倫太郎氏の作品だ。お笑い界を舞台にして、芸人や周辺の人達をめぐる、虚実皮膜の物語が描かれる。
~「そうだよね。KOM(キングオブ漫才)の凄さって漫才を競技化したことなんだよね」
「競技化って?」
「まあスポーツにしたってことだよ。だってKOMってスポーツ見てるみたいじゃない。甲子園とかワールドカップとかオリンピックの試合みたいに白熱するでしょ」
「確かに」
「この競技化のおかげで、スポーツ観戦するようにみんな漫才を見るようになったんだ。そこからドラマも産まれるでしょ。KOMを見て漫才師を志す人が増えて、さらに漫才が進化して面白くなる。相乗効果ってやつだね」
文吾が思わず感心する。
「梓って賢いね」
「でしょ。まぁお笑い限定ですが」 (浜口倫太郎『ワラグル』小学館) ~
文吾は、コンビニバイトで知り合った梓が、並々ならぬお笑い好きであることを知る。
梓は、いわゆる「ハガキ職人」とよばれる投稿マニアで、兄弟の漫才コンビ花山家の深夜ラジオでは常連だった。花山家は、自分たちの座付き作家を募集するとラジオで告知する。すぐに梓は応募し、いくつかの課題をクリアして最終選考に臨む。
~ 最終テストの花山家の漫才を作るために、テレビで花山家の漫才を見ていた。もう何度も何度も見ているのでネタも完璧に覚えてしまった。
テーブルの上には、梓がその漫才を手書きで写したノートがある。自分が発見したポイントなどを赤字で書き込んでいるので、もうノートがまっ赤だ。台詞の文字数やボケとツッコミの間の秒数まで書き込まれている。
そんな細かなところにまで目を向けるのかと文吾は唖然とする。梓と付き合いはじめてから文吾も数多くの漫才に触れてきたが、自分は何も見ていないことがよくわかる。
梓ぐらい目が肥えてはじめて、漫才の本質が理解できるのだろう。見るではない。観るのだ。 ~
梓は、日頃からハガキのネタになりそうなことを思いつくたび記録していた。テレビやライブで見たネタや面白い話を、ノートに書き留めては分析していた。
自分が本気で興味をもったこと、本気で取り組んでいることなら、それに関するノートが何冊もあるのは「普通の」ことだ。部活動でも、ノートをたくさん書いている人は間違いなく伸びる。
何事も、ノートをつくることから、自分の本気がはじまると言えるだろう。
分散登校で利用する電車が変わると、前よりも混雑する路線もあるでしょう。
今までは見かけなかった、車いすの方や、小さい子供さんと接する機会もあるかもしれません。
電車の乗り方を今一度確認しましょう。健康な高校生男子の目線では気づけないこともあります。
マナーに注意するのは当然ですが、困っている人がいたら助けられる男になりましょう。