水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ジャンルを越える(2)

2021年09月24日 | 学年だよりなど
1学年だより「ジャンルを越える(2)」


 大谷選手がもし投手だけをやっていたら、余裕でもっと勝ち星を増やしていただろう……。
 大谷選手がもし打者に専念していたら、ぶっちぎりでホームラン王をとるはずだ……。
 そう考える人は多い。メジャーリーガーも含めて。そうなのかもしれない。一方で本当にそうなのかなとも感じる。二つやっているからこそ、両方に取り組めているからこそ、今年これだけの成績を残しているのではないかと。
 次元は異なるが、「文武両道」したからこそ、勉強も部活動もいい結果になったと言える先輩達をたくさん見てきた。
 もちろん、彼らも片方に専念していたら、もっといい成績をその「片方」であげられたかもしれない。ただ実感としては、専念した場合と、両方やった場合とで、やはり結果は同じくらいではなかったかとも思う。
 たとえば一昨年、野球部で3年の夏までがんばり東大に合格した西山先輩が、「部活動があったからこそ、モチベーションも保てたし、集中力を身につけられた」と言うのは真実だと思うのだ。
 逆に、勉強にしぼった結果、部活動をやっていた頃ほど伸びなくなったという先輩もいた。
「片方に専念すれば、もっとよくなる」という発想自体が、自分の枠を離れられていないということなのかもしれない。
「大谷選手に感謝する」と語るのが、シンシナティ・レッズのマイケル・ロレンゼン選手だ。
 大学時代、外野手と投手両方で活躍していた彼は、2013年に1巡目指名でレッズに入団した。
 ロレンゼンは「投打両方やらせてほしい」と申し出たものの、チームはあくまでも投手として起用したがった。しかし、大谷選手のメジャー移籍を機に、チャンスが与えられるようになる。


~「僕は大谷にとても感謝しているんだ。彼が二刀流という夢を貫いて努力してきたおかげで、道が拓けた。大谷がいなければ、レッズが僕に二刀流のチャンスを与えることはなかっただろう。
……僕は基本的に、投打両方ともやる場合は、どちらかに特化した練習ではなくて、アスリートとしてのトレーニングに重点を置いた方が効率的だと考えている。両方をトレーニングするには時間が足りない、ということもあるけど、そもそもグラウンドでのパフォーマンスは身体能力に任せればいいんだ。大谷は究極のアスリートだから、二刀流をハイレベルで実現しているよね。……怪我したらすぐに『やめたほうがいい。どちらかに集中すればいい』という批判が起きるけど、『ノー、違うよ』と僕は言いたい。大谷は怪我を克服して今年、活躍した。だからこそ大谷は、これから何があっても二刀流を続けていくべきだと思うし、僕もそうありたいと思っている」        (マイケル・ロレンゼン「大谷のおかげで人生が変わった」雑誌Number9/24号) ~


 大谷選手の功績は「野球に興味がなかった人まで関心をもっていることだ」とエンゼルスのマドン監督は言う。「100年にひとりの才能なのです。私は今、67歳ですが、そんな才能を持つ翔平と関われたことが本当に嬉しいです。改めて、ありがとうと彼に言いたいですね」。
 この監督に出会えた運も、大谷翔平選手の実力といえるだろう。
コメント
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