水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

やりたいことノート(4)

2021年09月05日 | 学年だよりなど
1学年だより「やりたいことノート(4)」


 自分の好きなものをあげようとして、気がつくと他人の軸で判断している場合がある。
 わたしたちには、周りの空気感にあわせようとする感覚がしみついているからだ。
 自分の本当の部分に目をつぶり、他人からの見え方を気にしすぎたり、親や先生の価値観に「素直に」なりすぎたりしない方がいい。
 自分が「好きなもの」を書き出す作業は、自分を知るための一番基本の作業だ。
 たとえば好きな食べ物は何か? その何が好きなのか? 味?、香り?、食感? 見た目?
 そこから、好きな食材、調理法、盛り付け、お店、飲み物、スイーツ……と広げてみる。
 好きな場所、季節、景色、洋服、本、映画、ドラマ、番組、サイト、アプリ……。
 好きな芸能人、芸人、俳優、ジャニーズ、店員さん、クラスメイト、グッズ、イベント……
 好きな教科、単元、学問分野、スポーツ、部活動、遊び、ゲーム、遊具、行事、……。
 「好き」を、「落ち着く」「あがる」「ドキドキする」「せつなくなる」などに置き換えてみると、よりイメージがわきやすいかもしれない。
 みんなが好きと言いそうなもので、自分ではそうでもないところが、個性だ。
 みんなが「ええっ?」と言いそうなものが気になってしょうがないいのは、個性だ。
 恥ずかしがらずに、正直に開き直って、それらを書き出してみる。どんな様式でもいい。
 そうやって書き出したものを、齋藤孝氏は「偏愛マップ」と呼ぶ。


~ 偏愛マップはいうならば、自分自身の“見える化”です。
「自分の世界を持っている」と自他ともに認めるような人は、例外なく、偏愛するものもたくさん持っています。
 偏愛の数が問題だというわけではありませんが、一つの世界に深く心を奪われると、自然に、その世界に関連するものから偏愛するものがいくつも出てくるし、偏愛は偏愛を呼び、ますます偏愛が増殖していくからです。
 偏愛マップをつくると、自分の偏愛の総体が見えてきます。それをしっかり意識する。その結果、自分自身が立体的になり、リアルな存在として見えてくるはずです。
 鏡に映る姿は二次元映像。ふだんの自己認識は鏡に映した姿のように、前を向いた自分だけ。 後ろを向いたとしても、平面的な映像しか見えません。
 偏愛マップに映し出される自分像は3D映像のように奥行きと拡がりをともなった自分自身。 時間軸も加えると四次元映像で、影もあればヒダもある。奥行きもある、歴史もある、より正確な自己像だといえます。
   (齋藤孝『偏愛力 人付き合いがうまくいくコミュニケーションの基本50』大和書房) ~


 自由に、好きに書いたそれぞれの「偏愛マップ」は、この世に一つとして同じものがない。
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