学年だより「文系・理系」
「理系の方が就職がいいと聞いたから」という理由を、文系・理系選択の条件にしようとする人を毎年見かける。
現実には、「理系だから」いい就職ができるということは一切無い。
それぐらいの理由で理系に進み、理系の学問をいかした就職をした先輩の例もない。
どこかで聞きかじった知識を鵜呑みにし、具体的なデータを調べもせずに、そのような雑な思考をしてしまうということ自体が、将来的にかなり心配な状況だと言える。
有名な難関大学に行けばいい就職にありつけるという時代でもないことも、卒業生たちの話を聞いてみるとわかる。
「いい」大学・学部に入れれば将来は安定だという時代ではなくなっている。というか、もともと幻想だったのかもしれない。
どんな仕事をしたいかという将来像を描くことにも、それほど大きな意味はない。
まず、大学で「何を」、「どれだけ」学ぼうとしているかが大切だ。
それは「どんな自分を作るか」ということと同義だからだ。
一般に就職はよくないと言われている学部に行っても、そこで大きく自分を成長させる人はいる。
就職に強い、有利だと噂の大学や学部に進めても、そこでの過ごし方の違いによって、卒業後の人生は大きく変わる。
けっきょくは本人しだいという身もふたもない結論になってしまうのだが、それが真実なのではないだろうか。
~ 文系、理系も、3年のコース選択も、安易に選ばないことが大事だと思います。
ただし、それよりもっと大事なのは、選んだ方で頑張ることです(by増田涼太先輩) ~
1代前に東大文3に入った先輩も同様のことを話していた。
~ 安易な選択はいけないとよく言われる。友だちが行くからとか理系にするとか、数学がきらい、だから文系とか。でも、それはそれでいいんじゃないかな。将来こういう仕事したいとか決まってないのがふつうだよね。やりたいことって、変わるしね。理由はなんでもいいと思う。ただ、決めたらその決断については、ないがしろにしないようにしよう。どっちに進んでも、選んだ方で成功すればいいだけのことだと思う」(by高橋航喜先輩) ~
決めることに時間を費やすより、決めたことを成功に導くことに時間をまわす方が、人生の時間は有効に使える。
どんなことがらも、必ずどこかで決断して行動にうつさないといけない。
人生は本質的に「見切り発車」の積み重ねだ。自分が決めたこを「ないがしろにせず」、それを成功に導くための努力に自らのリソースを費やしたときはじめて、自分の向いていることや、やるべきことが見えてくる。やりはじめていない段階で、それは見えないものだ。